第5話
ひとだんらく・・・と思いたい・・・
「あら、その色もいいわね」
「ええ、とてもよく似合っているわ」
もはや何がなんだか分からない状態になってきている。
「でも、先ほどのも捨てがたいわね」
「そうね。これも着てくださる」
そう言って差し出されたのはたのはレースがふんだんにあしらわれたドレス。
秋穂にしてみればちょっとどころかかなり抵抗のある代物だった。
「・・・」
「形はだいたい決まっているからあとは色ね。白といっても光沢とかレースのあしらい方で印象は大きく違ってくるから」
いつの間にか、試着している本人を差し置いて盛り上がっている義母たちに秋穂は諦めにも似たため息を零した。
オーダーメイドでドレスを作ることをさっさと決めてしまった義母につれてこられた店で秋穂はもう今日何着目になるかも分からないドレスに袖を通した。
ウエディングドレスは女の子の憧れというがこうも一気に試着させられてしまうと憧れを通り越して夢に出てきて追いかけられそうだ。
どうしてこうなってしまったのか・・・
頭を抱え込むがどうしたって過去には戻れないのだから仕方が無い。
もう半ば義母たちのおもちゃと化していることは仕方がない。
どうせ決まるまで帰れないのだからおとなしくされるがままになっているのが無駄な体力を消耗することもなく賢い手だと言えるだろう。
本当にいったいどうしてこんなことになってしまったのか・・・
今思い返しても不用意な発言だったと秋穂は遠い目をしながら思い返していた。
*****
事の発端は先日のお嬢様襲撃事件の翌日まで遡る。
秋穂と祐一が結婚していたことが社員の知るところとなったため、しばらく仕事にならないだろうという理由で二人は社長からしばらくの休暇をいただいた。
ここのところ働き詰めだった古賀のほうの仕事も軌道に乗り休んでも問題が無いという判断からだった。
同じ職場で働き、同じ家に帰ってきているはずなのに、そういえばここのところろくに顔を合わせていなかったと一日中一緒にいてあらためて思ってしまった。忙しいとそれが当たり前になり二人きりの時間が取れなくても何も感じないが、こうして長い時間一緒に過ごすと、どうして今まであれだけの時間会うだけで我慢できていたのか不思議になる。それは古賀も同じだったようで、その日は一日中ベッドの住人となってしまった。
今思い出しても恥ずかしすぎる。
穴があったら入ってしまいたいくらいの羞恥に本気で襲われた。
そんな秋穂の状況を笑いながら見ていた男にもむかついが。
何より翌日もまた、秋穂をベッドの住人とさせようとしたことには正直驚きを通り越してあきれてしまった。
危うく、引きずり込まれ秋穂が流されそうになったところへ、天の助け、もといお義母様からの電話がかかってきた。
『祐一さん、秋穂さんと一緒にしばらくお休みをいただいたのでしょう。だったら秋穂さんを連れてきて頂戴。今日、これから』
「・・・せっかくの休みなんだからいやですよ」
『あら、拒否権なんて貴方にはないわよ』
「・・・」
『できるだけ早くしてね。したいことがたくさんあるんですから』
「分かりました」
しぶしぶではあったが頷いた古賀に、秋穂は苦笑する。
母は強しとはよく言ったものだ。
あの古賀が素直に従うなど珍しい。
その程度の事しか思っていなかったのに、まさかあんなことに発展しようとは・・・
中途半端なところで・・・
しかも、なんだかまたしても変なフラグが立ってしまったのですが。(お馬鹿)
いや、ちょっと初期設定からあった秋穂ちゃんの過去を書いてみようかな、と思いたったわけです。見通しも無いくせに・・・(ぐぇ)
大丈夫きっとどうにかなるよ!!!(前向き)
そして、気づけばもうトータルで16話目。
中編予定はどこへやら・・・
中編?でもいったいどこまでが中編?
個人的には10話前後で完結する話のことかと。(じゃぁ、もはや中編じゃあないではないか!)
えっ?別にそんなことどうでもいいって?(涙)
そんなこと考える暇があったら話の続きを考えろって事ですね、はい・・・
がんばります(トーンダウン)




