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男1:女9の世界で、パパと僕は自由を求めてダンジョンへ走る  ~ 婚約者刺客と母親連合から逃げる父子の珍道中 ~  作者: かぶんす


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第28話:『新しい波多野家の日常(そしてお仕置きは続く)』

それから、数日後。

リビングの外壁が綺麗に修復(エレナがギルドの予算で特急工事させた)された、我が波多野家のリビング。

テーブルの上には、再びお茶が並べられ、お母様たちがソファに優雅に腰掛けていた。


「央太。今回のことは、健吾に騙されたとはいえ、大変な反逆行為よ。……でも、零華たちから聞いたわ。あなたが、あの大迷宮神を一人で倒したって」


志乃が、ハニーブロンドの長いハーフアップを揺らしながら、エメラルドグリーンの瞳で僕をじっと見つめた。

薫子ママも、エレナママも、僕の成長をどこか誇らしげに見つめている。


「お母様方」


僕はソファの前に立ち、姿勢を正して、完璧に上品な標準語で頭を下げた。


「国の義務である生殖センターへの定期的な提供は、一人の成人男性として、しっかりと行います。……ですが、お母様たちの用意したお見合い書類に、そのままサインすることはできません」


「あら、どうしてかしら? 零華たちに不満でもあるの?」


志乃の目が少し細くなる。

僕は顔を上げ、実母と全く同じエメラルドグリーンの瞳で、まっすぐに彼女を見つめ返した。


「不満など、ありません。……僕は、彼女たちを『お母様たちに与えられたお見合いの義務ペット』にしたくないんです。僕は、一人の冒険者として彼女たちと対等に出会い、僕自身の意志で、一から信頼関係を築きたい。彼女たちと、対等な『冒険者クラン』を共に歩みたいんです」


僕の、カゴの鳥からの、真の自立の宣言。

その凛とした言葉に、志乃たちは驚き、それから……。

薫子ママがはんなりと微笑み、エレナママが「まぁ、ウチの央太がこんな格好いい男になっちゃって!」と頬を赤らめ、そして志乃が、ふっと誇らしげに目を細めた。


「……ふん。少しは、いい男になったじゃない。……認めましょう。ただし、央太。あのバカ父親の『腰の軽さ』だけは、絶対に真似するんじゃないよ」


「はい。それだけは、絶対に真似しません」


僕は間髪入れずに即答した。

リビングの隅で、お尻に包帯を巻いて大人しくビールを飲んでいた健吾が、「おい、そこ即答するなや!」と関西弁で突っ込みを入れる。


「央太殿……。私、あなたと共に戦うクランの一員として、生涯鍛錬に励むにござる!」


リビングのドアを開け、戦闘巫女装束を少し恥ずかしそうに揺らした零華が入ってくる。男性免疫ゼロの彼女だが、僕を見つめる目は、もうパニックではない本気の恋の光が宿っていた。


「了解。波多野クランの技術・内務担当として、央太の私生活を24時間サポート(共同生活)することを推奨」


クロエがだぶだぶの白衣の萌え袖をパタパタさせながら入ってくる。


「おーほっほっほ! クランの活動資金と装備は、すべて大河内重工がスポンサーとなって提供して差し上げますわ! 央太君、対等な関係から、じっくり私に惚れさせてみせますわよ!」


雅も完璧な縦ロールを揺らし、華やかにリビングへと合流した。

お見合い義務から逃げ出した僕たちは、今、自分たちの意志で結ばれた、新しい『冒険者クラン』として歩み出そうとしていた。

一件落着。

そう思われた、まさにその時だった。

健吾がビール缶をぷはぁと干し、ワイルドな三白眼をニヤつかせながら、お調子者の関西弁で口を開いた。


「いやぁ、雨降って地固まるちゅうやつやな! 央太も立派になって、俺も鼻が高いわ! ……よっしゃ、じゃあ解決したことやし、俺も奈落の底で助けた『あの金髪ナイスバディの美女冒険者』を、我が波多野家の4人目の嫁に――」


その瞬間。

リビングの空気が、マイナス百度まで凍りついた。


「……健吾?」


志乃のエメラルドグリーンの瞳から、完全に光が消えた。

黄金の結晶スタッフから放たれた、最大出力の超重力魔法が、健吾の頭上に展開される。


「ぎゃああああ重い重い重い! 志乃ぉ! 不倫は無罪、法律がそう言うてんねんから、しゃあないやろォ!」


「薫子、エレナ。お仕置きの準備よ。手足を折ってから、しびれ薬を飲ませなさい」


「御意にござりますえ、健吾さん、またトイレから出られへんようにしたげますねぇ」


「クソ親父! 今月の裏金没収! 一生草だけ食べてなさい!」


「あかーーーっ! 央太、助けてぇな! お前も男の覚悟って言うたやろぉ!」


「パパ。自分の『覚悟』の代償は、自分で骨を折られて払ってください」


僕は完璧な標準語で微笑み、お上品に紅茶を啜った。

(本音:パパ……ほんまに懲りひん男やな。でも、このお仕置きされとる賑やかでうるさい我が家が、やっぱり世界で一番面白いわ!)

健吾の関西弁の悲鳴とお母様方の怒号、そして零華たちの呆れた笑い声が、修復されたばかりの青空の下に響き渡る中、僕たちの、新しくも賑やかすぎる「婚活サバイバル・ダンジョン」は、これからもずっと続いていくのだった。

(完)


最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!


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また次の物語でお会いできることを楽しみにしています。本当にありがとうございました!

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