20 新たな日常
朝焼けが町を照らし、平穏が戻ったことを告げていた。
町の広場では、零の姿を見つけた人々が次々と声をかけてきた。リヴォールの脅威が去った今、町には穏やかな空気が満ちていた。
「零さん、本当にありがとう!おかげで安心して暮らせます。」
「温泉も復活して、みんな元気を取り戻しています!」
零は控えめに微笑みながら、手を軽く振って応えた。
「皆さんが平和に暮らせるなら、それが一番です。」
ハルがそばで尾を揺らしながら念話で話しかける。
「零、ヒーローみたいだね。」
「大げさだ。ただ、自分のできることをやっただけさ。」
その後、零は再び採掘場に足を運んだ。
ルビーの魔石を埋め込んだブレスレットは、戦いの中で力を使い果たしていたが、その輝きはまだわずかに残っていた。
「次はどんな宝石が見つかるかな?」
ハルが軽い口調で言うと、零は苦笑しながら地面を見つめた。
「今度は温泉でも掘り当てて、もっとのんびりした生活を送るのも悪くないな。」
「いいね!温泉はみんな喜ぶし。」
零は採掘道具を手にしながら、新たなスタートを切る決意を静かに固めた。
町の温泉は再び活気を取り戻していた。
戦いの疲れを癒すため、零も久しぶりに湯に浸かっていた。
湯気が立ち込める中、零は目を閉じて静かな時間を楽しんでいた。
「ねえ零、これからは平和が続くのかな?」
ハルが湯船のふちにちょこんと座りながら尋ねる。
「それは分からない。だが、平和を守るためにできることをするだけだ」
零は湯気の向こうに見える朝日を見つめながら、静かに答えた。
町の広場では、零が新たに加工したアクセサリーが並べられ、多くの人々がその美しさに見入っていた。その一方で、零は町の人々との交流を増やし、以前よりもさらに深い絆を築きつつあった。
「この町で、もう一度新しい生活を始めよう。」
零の胸には、平穏な日常を守るという決意が改めて刻まれていた。
ハルが零の肩に乗りながら、念話で笑うように話しかけた。
「ねえ零、次は何を掘り当てるの?」
「さあな。けど、きっとお前と一緒なら面白いものが見つかるだろう。」




