15 妖魔王、復活
闇が濃く立ち込める夜、零は静かに剣を握りしめていた。
町の北方に広がる山間部から、これまでとは比べ物にならないほど強い波動が放たれ始めた。
それは、リヴォールの完全な復活を告げるかのようだった。
「来たか…。」
零は深く息を吐き、そばで待機していたハルに目をやった。彼女の琥珀色の瞳も不安げに揺れている。
「零、あの波動、すごいよ。今までの魔物とは全然違う。」
「ああ、奴が目覚めたようだな。この規模じゃ、もう隠しておけないかもしれない。」
零は短剣を鞘から抜き、その刃に静かに魔力を込めた。
その輝きが夜の闇を照らし、彼の表情には緊張が滲んでいた。
やがて、町外れの森から無数の魔物が押し寄せ始めた。
その姿は狼のようなものから、羽を持つ獣までさまざまだった。
町の人々は悲鳴を上げ、零の耳にも混乱の声が届いてきた。
「町が危ない!」
ハルが焦った声で念話を送る。零は頷き、素早く駆け出した。
彼はできる限り人々の前に立つことを避けながら、影のように動き魔物を次々と討伐していった。剣が一閃するたびに黒い霧が舞い、魔物の群れが静かに消えていく。
「零、右側に大きなやつがいるよ!」
ハルが警告を発する。その方向には、群れの中でもひと際大きな魔物が立ちはだかっていた。
その姿は蛇と鳥が融合したような異形で、全身が黒い炎に包まれていた。
零は短剣を握り直し、その魔物に向かって一直線に走り出した。
魔力を込めた一撃を放つと、魔物の黒い炎が一瞬だけ揺らぎ、咆哮を上げながら倒れた。
その瞬間、町の北方にそびえる山の上空に、巨大な影が浮かび上がった。
それは妖魔王リヴォールの復活を告げる象徴だった。彼の全身から放たれる圧倒的な魔力が周囲の空気を震わせ、町全体に恐怖を広げた。
リヴォールの低く響く声が夜の静寂を打ち破り、零はその声に静かに剣を構えた。
「リヴォール…。」
その名を呟いた瞬間、リヴォールが彼に視線を向ける。そ
の瞳にはかつての戦いの記憶が宿っているようだった。
「貴様…再び立ちはだかるつもりか?」
「そうだ。俺の役目は終わってない。」
零の言葉にリヴォールは不敵に笑い、翼を広げて闇を切り裂いた。
その動きに連動するように、魔物の軍勢がさらに活性化し、町へと押し寄せていく。
零は冷静に状況を見極めながら、再び剣を振るった。
彼の斬撃は魔物を次々と退け、ハルもその近くで警戒を怠らない。
だが、リヴォールの魔力の一部が放たれるたびに、周囲の空間が歪み、町の人々の安全が脅かされていく。
「動き出すよ!」
ハルの念話に零は頷き、視線をリヴォールに向けた。
彼は全ての力を振り絞り、この町を守るために戦い抜く決意を新たにした。
零の目には揺るぎない光が宿り、夜の闇を切り裂く戦いがいよいよ本格化するのだった。




