表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/10

第9話 もう一度あの部屋に魂を漂わせて。

……冷たい、ここは?

そこは土と木が多くあり、どんよりとした空気を醸し出していた。

私は体を起こそうと手を付け、前のめりに立とうとしたら、フワッと軽く浮いてしまった。


…体が軽い。


ふわふわと空気と共存する私の体はまるで幽霊みたいだった。


私が周辺を見渡すと、そこには沢山の墓があった。


………ロルロボ、ここに眠る。


……ヒル、ここに眠る。


…エリー、ここに眠る。

…?


ああそうか。

その時、私はあのハイアントの本に書いてあった文章を思い出した。

「I世界線と言うのを私達が生きてる地球だと仮定しよう。するとO世界は私達が生きる魂を保管し、半永久的に生きられる事だとする」

成功した。

私は賭けに勝ったんだ。

しかし何故だろう。

友達に裏切られ、会う人々は消え、こんなにも虚しいと感じた事があっただろうか。


そしてここが私達が目指していた地球なのか?

いや、違和感がある。

違和感しかない。


例えばの話だ。しかし辻褄は合いそうな気もする。

……ここはO世界の中で、魂を保管しているところ。

魂の保管庫なんじゃないか?


「…ということはっ、」

ツキは天性の才能である勘の良さを持ち合わせていた。


この墓の下に魂が埋まっているのだろうか。

…ん?

…ヒナタ、ここに眠る。

…ツキ、ここに眠る。


そのツキの勘の才能は、人よりも察するのが早い為、辛い面もあった。


…そうか、私達もこのO世界の仕組みの中にすっぽりとハマっていたんだ。

ツキ博士、あんたか。

あんたの手のひらで踊らせていただけなのか。

くそ。


「報われないよな。」

私はそうボソッと言って覚悟を決めた。


「聞いてるか!ツキ博士!!私はお前の所へ行く!本当の地球へ!本当の真実知りに!!」

…まるで、分からなくどうしようも無い怒りをとにかくぶつけるように。


底知れない憎悪を感じるような声が四方八方から響く。


「……黙れよ。コピー品。これは私の作品であり、研究なんだ。ごちゃごちゃと言うんじゃあない。社会貢献だと思って何も知らずに生きてくれ。」


…女性の声。

「ツキ博士か!お前!私の運命はお前が狂わせたんだな!?ふざけるな!記憶を戻せ!元の場所に返せ!」


ツキ博士はため息混じりに面倒くさそうにしゃべった。

「はぁ、何で言っても伝わらないのかな。けど大丈夫だよ。お前の記憶にそれ以上もそれ以下もない。」


「どういう事だ?」


「…黙れ。ごちゃごちゃ言わずに繰り返せ、死を。」


その言葉を聞き、じっくりと時が流れているように感じる時、私は怒りで感情が収まらなかった。


「出てこい!!お前は何処にいる!ツキ博士!!!」

前のめりになり上を見上げる。

踏ん張って潰れるはずの草むらも、私の魂の形がふわりと覆い守っていた。


「ツキ博士ぇ!!!!」

その時、私の魂がフワッと不安定になり、小さくなる。

私の意識も段々と無くなり、消えて無くなる感覚に陥った。


……

………

「う〜…」

視界が歪む。


「目…覚めた?」

女の子の声だ。

「わ、私!ヒナタって言うらしい!君の名前は?」

「なまえ……?」

ヒナタ。凄く元気で可愛い女の子だなと思った。見た感じ私と同じ高校生と言った所か。


金髪で髪の毛は長くて、なぜだか白衣を着ている。

そして拳銃が手元にある。

「名前だよっ。な・ま・え。」


そこでやっと名前というのを思い出した。


「ツ、ツキ…?」


…いや、名前以外も今!

今!この時思い出した!空気を吸って今!

「ツキちゃん!髪の毛は青くて短くて、なんだか大人っぽいというか、かっこいいというかっ。」


「…あっありがっ!?」


その時、ヒナタがめいっぱい両手を広げて、抱きしめてきた。


「これからよろしくねぇ〜。ツキちゃん!」


「…うんよろしく。じゃあ、この拳銃はよろしくの拳銃なのかな?」

ヒナタは私のお腹に向けて、銃を突きつけていた。

「うん!よろしくの、拳銃だよぉ!」


私はもう覚悟を決めていた。

「そうやってまた私を撃つのかい?」


ヒナタは少し動揺して口を開ける

「…何の事?。」


「…とぼけるなよ。人殺し。」

「何で…何で覚えているの!!」


私達は白い部屋にいた。


白い壁に白い床、そしてひとつのドア。


気持ち悪い程に感情が入り浸っているこの簡素な部屋は、殺風景で気味が悪かった。

第1部[完]

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ