響き渡る祝福のエルブンソング
「そもさん!!」
ふんどし幼女の古エルフは叫んだ。
「せっぱ!!」
銀髪褐色肌の巨乳エルフ、全裸のドゥームビッチが答える。
エルブン問答だ!!
「この宇宙において何故生きるものはみな死ぬ?何故形あるものはみな滅ぶ?」
「……サメの不可視の消化液が、宇宙に満ちているからです」
…そうなのか?ノリヒロは訝しむ。
「この宇宙はどこにある」
「サメの胃袋の中です。多元宇宙でさえ、サメの胃酸のあぶくにすぎない」
……そうなのか???ノリヒロには分からない。
「ワシらエルフとは一体何者じゃ!ドゥームビッチ!答えよ!」
「…サメに食われて消化を待つ哀れなエルフの末裔です。エルフが宇宙を作ったのは、ただサメの消化による死を先延ばしにしただけ。エルフはサメを殺し、自身と宇宙を救わなければならない」
今のノリヒロには、その問答の意味が考えられなかった。
激しい負傷と体内森林の枯渇、およびSMCに陥ったためである。ノリヒロは失神した。
「ふむ、鍛錬は怠っておらなんだな、ドゥームビッチ。結構結構!」
「…いいえ。感服いたしました、おひいさま。私の負けです」
ドゥームビッチは全裸土下座!その大きな乳も、地に伏した。
決着である!!
ノリヒロが目を覚ますと、エルブン城円卓の間に布団をしいて寝かされていた。傷も癒えている。
円卓には来た時と同様に、グレーターエルフとコアラたちが居並んでいた。
盃を手に、ドゥームビッチは言った。
「ノリヒロ、ポンティの両名をサメ殺し同好会の一員として認めます」
反感は多い…というよりほぼ反感しかないが、グレーターエルフに連なるわけではない。56の下位会員の末席として迎えられるのだ。
サメ殺し同好会は、下位のエルフですら現代エルフ史に名が乗るほどの猛者の集まりだ。二人の実績からすると十分に破格である。
盃を受け取るノリヒロとポンティ。その液体はとろりと粘性が高く、触れた舌が焼けるようであった。
神聖な儀式だ。ノリヒロは謹んで飲み干した。
「なにこれ、牛のザー○ン?あれマズいのよね…」
ポンティはブレない。飲んだことがあるのか。
その胸中は様々ではあるが、エルフたちは二人を祝福する。
「ノリヒロ!あたしはあんたが気に入った。今度遊びに来いよ!一発やらせてあげてもいい」
アメリカン!拳を交えて築かれた、グロウリィホールの友情!
「ビッチ…ビッチ…」
まだポンティにキレているアスホール!
「絶対許さないんだから……責任、取ってよね…」
ノリヒロへのフラグが立ったメスガキエルフのスパンキング!
「さあシメはエルブン・ソングじゃ!まずは発声!!」
ESH!!
「「「アアアアアアアアアアアアアアアアアア」」」
エルブン城に高らかに響く、グレーターエルフたちの魔力を帯びた声。エルブンスペースに強力な磁場が満ち、オーロラを生じる。
なんという神秘的光景!あたかも新たなるサメ殺し同好会メンバーの門出を、祝福しているかのようだ!!コアラたちも目が覚めた!
「さあ、みな歌え!サメ殺し同好会唱歌!!」
(前奏)
ああ〜いいわ すごくいい
ビンビン森林感じてる
そこへ飛び込むデバガメのサメ
マジで許さん ぶっ潰せ
艱難辛苦 四苦八苦
全部サメのせい
サメを見かけりゃすぐに殺れ
我らサメ殺し同好会
(間奏)
ちょっと何なの そのコアラ
ひとつこっちに 貸しなさい
それをかっさらうひったくりのサメ
マジで許さん 追いつめろ
荒らしチーターサクラレビュー
全部サメのせい
性癖恐れずいざ進め
我らサメ殺し同好会
(間奏)
今日のご飯は 何にしよう
葉っぱか肉か お魚か
あら財布がないわ これもサメ
今に見ていろ 覚えてろ
動悸息切れ 手の痺れ
全部サメのせい
父はコアラで母ボイン
我らサメ殺し同好会
(間奏)
「…一体何番まであるんだ?」
ノリヒロは怪訝に思う。六番と九番の内容はかなり淫猥であった!
帰り際、ドゥームビッチがゲートまで見送りに来た。
「おひいさま、連絡の不手際については本当に申し訳ございませんでした。
私の指示ではないけれど、おそらく誰かがおもんばかってやったことなのでしょう。おひいさまたちが参加しなくなって…正直安心していた。サメと戦わずに済むと。それで放置していた面もございます」
「会長を辞することは許さんぞ、ドゥームビッチ。お前はワシらが選んだのじゃ」
「分かっております、おひいさま。
…宇宙の監督者顔は可能な限りやめにします…今すぐにとはいきませんが。他の古エルフも探し出し、サメ殺し元老院を復旧するよう計らいましょう」
「うむ。お前ももうちょい自分に正直に、どスケベにやるが良い。
…ところでノリヒロよ、ポンティはどこ行った?」
「また野糞では?」
「失礼、おひいさま。ちょっと野暮用を済ませてました」
ポンティ。そしてポンティにしなだれかかる、謎めいた目隠しのエルフ、アスホール。
アスホール!?イニシエーションの場で、ビッチビッチとポンティへの敵意をむき出しにしていたはずでは!?
「んもう!あっち行ってよ!ケツメドエルフ!!」
ポンティに突き放されるアスホール。明らかに様子がおかしい!
「ふぁい…わかりまひたぁ…ごしゅじんさまぁ」
ノリヒロは尋ねた。
「あのエルフとは険悪だったはず…一体何があったんだ!?」
「何って、あんまりしつこかったから…ケツの穴に腕突っ込んで奥歯ガタガタ言わせてやったのよ。文字通り」
「…一種の慣用表現だが、本当にそれをやる奴があるか!!」
「本人はめちゃくちゃ喜んでたわよ?」
「うむ、あやつの弱点をうまく突いたようじゃな。さあ、帰って飯にしよう」
3人のエルフは、エルブンゲートを通じて地球へ帰っていった。彼らの住む、奥多摩森林の古民家へ。
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