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消える『セカイ』と笑う『ボク』  作者: 生贄さん
第3章 『妖精姫の願い』
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第八話 朝の戯れ

ーーーここは館の3階にある、一つの部屋。

幸崎先生との約束で、幸崎先生の部屋へと来ている。

「…確か、一緒にいた…精霊だったか?」

部屋に入るなり幸崎先生が聞いてくる。


「そうです。…一緒に説明したほうが早いかと思って。」

「なるほどな。」

部屋の中は、大人っぽさの雰囲気がある。女性の部屋というのはここまで綺麗なのだな。

中には幸崎先生の他に、南先生もいた。

「日向君、やっほ〜。」

ずいぶんと人の部屋でくつろいでいるんだな…


「あれ?もう1人いませんでしたっけ?」

男の先生がいたような気がするが。

「ああ、黒ヶ崎先生なら、あまり関わりがないからいると逆に失礼だろうって言ってどこかに行ったわ。」

なるほど。確かに、あの先生は何を考えているか分からないし話を聞かれないなら幸いだ。


「まずは、座ってくれ。」

と、幸崎先生は自分の正面を指さしている。

「失礼します。」

俺は言われた場所に座り、シェードを隣に座らせる。

「ふふっ。日向君って珍しいよね。」

と、何故かシェードの反対側、俺の隣に南先生が座り直した。

「…なんです?」

「もうっ、辛辣なんだから〜!」

と、俺の肩をつついてくる。

「…寧音(ねおん)。そんなにしつこく接すると嫌われるぞ?」

「えぇー?男の子はこんなことで私の事、嫌いにならないわよ。…それよりも神奈(かんな)ちゃんはもっと女の子らしくすればいいのに〜。」

「そういう歳でも立場でもないからな。」

と、2人は仲睦まじく会話をしている。


「2人って…仲が良いんですか?」

俺は2人に聞いてみる。

「分かっちゃう?そうなの、幼なじみなのよ〜。」

「腐れ縁だけどな。」

それは意外だった。

だが、言われてみれば歳下の幸崎先生が南先生とタメ口で仲良く話しているのだから納得がいく。


「…それじゃあ生徒の有意義な時間をもらっていることだし。早速本題に入らせてもらう。」

幸崎先生が一度咳払いをする。


「…日向、お前の事について、それと今朝の神とここにいる精霊について話してほしい。」







「…この精霊はさっき会ったばかりなのでそこまで詳しいことは分からないです。」

と、すでに座っておらず部屋の中を飛び回っているシェードを指さす。

「…それにしてはずいぶんと仲良くなるのが早いのだな?」

「…俺は、他の生徒と違いますからね。」

含みのある言い方をすると、幸崎先生が僅かに反応を示す。


「ついでに、七香と結乃、竜那と竜佳も俺側ですよ。」

「…日向側というのは?」

「……実戦経験がある、ということです。」

「えっ!?」

幸崎先生が驚き、南先生はオーバーリアクションをする。


「だからあの時も、魔物に臆することなく立ち向かったの?すごくない!?」

「…そうです。…離れてください。」

俺に顔を近づけながら聞いてくる南先生をなんとか押し返す。

魔物襲撃のことは、しっかりと幸崎先生の耳にも入っていることから、薄々と気づいてはいただろう。


「…お前たちは適性測定で手を抜いていたということだな?」

「俺と七香と結乃はそうです。…竜那と竜佳は最近、実戦を経験したので適性測定では手を抜いてはいないんじゃないですか?」

「ねえねえ、本気の力見たいなぁ〜?」

南先生が余計なことを言ってくる。

「…寧音もたまにはいいことを言う。日向、見せてもらえるか?」

「…まぁ、良いですよ。」


そして、俺は再び属性の測定を行う。

もちろん火属性だ。ここに来る前では、測定では 30 前後辺りだったな。

ここで手加減をする意味は無いので全力で試してみる。

すると、数値は 93 を表示した。…ほんの少し適性値が増えたな。


「…えぇっ!?すごっ!?」

「…これは…」

2人とも激しく驚いている。


「私とあんまり変わらないじゃん!?」

南先生がそう声を上げる。

「…ちなみに南先生の火属性の適性値は?」

聞くと、少し声の調子を落として、

「… 95 。」

と答えた。…いや、適性値 80 越えとなると数値が 1 違うだけでかなり力に差ができる。そのため、そこまで気を落とす必要はないんじゃないかと俺は思う。


「…なるほど。日向が手加減をしていた理由は聞いても大丈夫か?」

「はい。実はーーー…」

このあと、星ノ使徒のことや、アランの存在について2人に話した。


「…信じ難いな。」

やはりそうだろう。

「確かに、俺が言っているのがおかしいと思うのが普通です。…なので、半分だけ信じてもらえますか?」

「と言うと?」

「もし、俺が今言ったように…星ノ使徒による被害が増えたり、アランが敵であるということが証明されたり、あるいは他種族全てが敵ではなく、手を取り合うことができる者がいる。…今後これらを自分の目で見て、それが事実だと知った時に俺を信じてください。」


「…なるほど。今は、冗談半分で聞いておいてほしいと言うことか。」

「そうです。」

意外とすんなり話を聞いてもらえた。…100%信じてもらうことは今の時点では無理だとは分かっていたが、真っ向から否定されなかっただけ良い先生なんだと改めて思える。


「…それにしても、結乃は星ノ使徒か…それについて、本人に確認しても良いか?」

「はい、大丈夫です。今はもう味方ですから。」

この2人には正直に話しても大丈夫だろうと思い、隠し事を一切せずに話した。


「…日向のこととその周りについてよく分かった。…あの神も敵だというアランに太刀打ちするべく存在なのだな。…他種族全てが敵ではない。それは私も思っていたことがある。なんとかその話が真実であることを願っているぞ?」

それから、少し足りない情報などを話した。


結局、幸崎先生の部屋を出て、自分の部屋に戻ってきた時には夜の11時を回っていた。


「流石に寝るとするか。」

と、俺は布団の中に潜り、明日のことを考えながら眠りについた。







ーーー次の日となり、俺は朝早く目が覚めた。

「んっ…ふぁ〜…ぐっ!?」

大きく背伸びをしようとしたとたん、腹の上に衝撃が走る。

「起きたか〜?」

シェードだ。

「…お前のせいで最悪な目覚めだよ!?…ったく、どいてくれ。」

俺はシェードを持ち上げて、横に置く。

時計を見るとまだ7時前である。

「確か、9時からだったよな。」

だいぶ時間があるな。


「…これといってすることがないな。」


俺は着替えなどを済ませて、再び布団に潜り時間までスマホをいじることにした。



「…絡斗君。起きてるかい?」

30分が経った頃、ドアからそんな声が聞こえる。

「起きてるぞ。」

「入っていいかな?」

「ああ。」

と、ドアを開けて中に入ってきたのは雄二だった。


「…なんだか最近自主特訓が多くないか?」

俺は体を布団から出して、雄二に言う。

「…まあね。早く絡斗君に追いつきたいって気持ちがあるからね。」

「…いつも、あの掌也(しょうや)ってやつと特訓してるのか?」

「うん、そうだよ。掌也君は僕より少しだけ上の実力者だからね。近い分、一緒に成長ができてすぐに強くなれるんだよ。」

と、そんなことを言っている。最近、雄二は特訓ばかりしていてまともに話していなかったな。


「…絡斗君の周りにはたくさん女の子がいるよね…羨ましいよ。」

「イケメンが何を言うんだか…お前も俺たちと特訓すればいいんじゃないか?竜那と竜佳もお前と同等くるいだぞ?」

「流石に御影さんと一緒にいたら、他の男子に睨まれるからね。」

「…ん?もしかしてあの二人って人気なのか?」

「クラスでも御影さんたちが好きって人は少なくないよ。」

おいおい、それを先に言ってほしかった。

だから最近、急に俺への視線が増えたのか。


「もう少し強くなったら、また一緒に仲良くしたいと思っているよ。」

「そうか。…まあ、頑張ってくれよな。」

と、俺がそう言うと、急に雰囲気が変わった。


「…そこで、一度お願いがあるんだ。」

「なんだ?急に。」

「…僕と戦ってほしい。」

と、雄二からそんなことを言われる。

「雄二とか?…珍しいことを言ってきたな。」

「掌也君に、まずは自分と圧倒的に力の差がある者と戦って、実戦の感覚を学んでほしいって言われたんだ。」

…なるほど、掌也も一応は「永代の能力者」だから実戦経験があるのか。


「だから、こんな朝早くに来たのか。」

「うん。…ダメかな?」

「いや、いいぞ。雄二が強くなるのは俺も嬉しく思うからな。」

「ありがとう。」


そう言い、俺と雄二は館を出て、すぐ裏手にある森の中へと入っていった。







「…ここら辺でいいかな?」

「そうだな。離れすぎて、9時に間に合わないってなっても困るからな。」

ちなみに、シェードには部屋番を任せている。


「…僕の成長したところ、見せてあげるよ!」

そう言い、雄二は魔力を溜める。

今まで不慣れだった行動が自然とできている。

「かなり特訓したんだな。」


「…行くよっ!《エアストーム》!!」

「…まじか。」

まさかの高威力の風魔法を放ってきた。特訓してきたとはいえ、そこまで日は経っていない。適性値も前は 32 だったはず。伸ばせても 35 から 40 手前じゃないだろうか?

その適性値でこの魔法を放てるとは素質が高いんだな。


「《クリアシールド》!」

俺は防御魔法で、《エアストーム》を防いでみせる。



「…やっぱり強いね、絡斗君。」

「雄二もかなり成長したな。…まさか、これで終わりじゃないだろう?」

「もちろん…!」



そう言い、雄二は俺に対して接近してきた。

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