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消える『セカイ』と笑う『ボク』  作者: 生贄さん
第3章 『妖精姫の願い』
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第四話 黒装束の美女

ーーー悪精霊。それは、邪悪の塊がそのまま命を授かったようなものだ。


「…「悪精霊」って?」

俺が聞いた精霊というのは3つの段階があるらしいが、その3つには「悪精霊」というのは入っていない。


「悪精霊は、そういう概念の外の生物!だから、やっつけないと大変な事になる〜!」

と、シェードは慌てながらそう説明してくる。


「分かった。とりあえず、音のした方に向かうか。」

そう言い、俺たちはシェードの案内で目的の場所へ向かっていく。






…そして、目的地だと思わしき場所に到着する。

そこには、大きなクレーターのような穴が数箇所空いていた。

「何これ…」

竜佳もその地面を見て驚きを隠せない。

「誰もいないわよ?」

竜那が周りを見てそう声を出す。


「…ん〜。おそらく噂がある方に向かっていったぞ〜。」

シェードが考えながらそう言う。

「その方向は?」

「ん〜とね、あっち!」

そう指で方向を指して言う。

「よし、急いで向かえば追いつくかも!」

俺はそう言い、シェードの示す方へ走っていった。



「…あ、あれは?」

しばらく走っていると、目の前に一人の人物らしき姿を見つける。

その人物の周りには黒いモヤのようなものが纏っており、長い服の端を引きずりながら歩いている。


「…精霊じゃないぞ?」

シェードが否定する。

すると、


「…だれ?」

目の前を歩いている謎の人物がこちらを振り返る。


「気づかれた…!?」

「くっ…皆、気を抜くなよ。」

俺たちは少し身構える。


「……あら、精霊さんがいるのね。」

その人物は俺の横にいるシェードを見てそう言う。


「…いいわね、あっちは後でにしようかしら…」

何を言っているんだ?

「お前は、一体誰なんだ?」

「ふふっ。そうね…自己紹介をしてあげるわ。」

そう言いながら、黒マントを纏った黒装束の少し年上のお姉さんが口を開く。


「私は、星神『大地を司る女神・デメテル』の継承者、セレス・ケレアリアよ。」

と、彼女は答えた。






「…星ノ使徒…!?」

ここしばらく、結乃を除き星ノ使徒とは会わなかったため、驚きを隠せない。


「…どうしてこんな所に?」

見た感じ、「妖精族」には見えない。

ここにいるには、あまりにも不自然だ。


「…確かに私は妖精ではないわ。…どの種族かは、いつか分かると思うわ。」

つまり教えるつもりはないという事だ。

「ここにいる理由はね…色々とあるのよ?察してもらえるかしら?」

「それは少し無理があるな…」

俺は、一歩引き下がる。理由は明白。

…目の前に立っているセレスと言う星ノ使徒…力が桁違いだ。

もはや神と同等と言われても不思議ではないように見える。


「…あのセレスって女はとても強い…」

同じ星ノ使徒である、結乃でさえも、セレスに対して高い評価をつけている。


「…さぁ、精霊ちゃん。私の糧になってもらうわ?」

そう言い、セレスが一歩踏み出す…と、蜃気楼のようにその姿が揺れ、次の瞬間目前にまで迫っている。


「はやっ…」

七香がそう声をこぼし、竜那たちが魔法を行使しようとするが間に合わない。


「《クリアシールド》!」

結乃が咄嗟に、目の前に障壁を作る。

だが…

「甘いわ!」

セレスのマントのようになっている服の内側から一本の短剣が出てくる。

そして、その短剣で《クリアシールド》を真っ二つに斬り裂いた。


「くっ…!」

だが、その刹那の隙ができれば充分だ。


「くらえ!《インフェルノ》!」

俺はセレスに向かって思いっきり放つ。


俺の魔法が地面にぶつかり、大きな音と煙を立てる。


「…セレスは!?」

竜那が叫ぶ。

「落ち着け、目の前にいる。」

俺は魔法がぶつかった地面を睨みつけている。

そこからは、


「…中々良いわね、あなた。」

傷一つない姿で、セレスが立っていた。


「…不思議、と言いたげな顔ね?ふふっ、この短剣は特注品なのよ?」

そう言い、服とは真逆の白を基調とした形が少し歪な短剣を片手で持ち、こちらに見せてくる。


「これは、「奪烈剣スティル」というのよ。美しいでしょ?」

そう言いながら、短剣の先を舐めている。

「この剣に斬られたものは、奪われるものよ…」

そして、再びその短剣を持ち直し、突撃してくる。


「くっ…」

やばい、このままだとジリ貧になる。

「…「心器(こころうつわ)」!」

七香が意識を込めて、『異能』を行使する。

その両手には、片手剣を持っている。二刀流だ。


「おりゃあ!」

「動きが初心者のそれだわ。」

七香がセレスに向かって斬りかかるが、その全てが綺麗に躱されている。

「ーーーくっ!!!」

「ふふっ。これでは戦いにならないわよ?」

七香とセレスはお世辞にも剣を交わしているとは言えない状況だ。


「行くよ!」

「「《ルクス・デフォン》!!」」

竜那と竜佳の融合魔法が放たれる。


「…良い攻撃ね!」

それを奪烈剣スティルで一閃する。

瞬く間に、融合魔法が二つに斬り落とされた。


「嘘っ…!?」

「強い…!」

2人とも、その圧倒的な力に絶望を感じている。


「…まず一人。」

「!!ぐぁああー!?」

「七香ぁー!!」

七香の肩から胸にかけて奪烈剣が斬り裂いた。


「くそっ!《インフェルノ》!」

俺は咄嗟に魔法を放つ。が、セレスはそれを難なく躱す。

その躱した隙を見逃さず、俺は七香の元へ駆け寄る。

肩口から大量の出血をしている。

「くっ…!!」

今になって、これほど「治癒魔法」が使えないことに苛立ちを覚えている。

「耐えてくれ!」

「…ぁ…」

七香も意識が薄く、目も閉じかけている。


「七香ちゃんは私に任せて。…絡斗君はなんとかあいつを追い払うか逃げ切るかの作戦を!」

結乃が七香を受け取ってそう告げてくる。


「くっ…頼んだ!」

俺は結乃に七香を任せて、セレスと向き合う。

「…シェード、なんかいい方法ないか?」

「ない!逃げられない!終わりだぁ〜!」

シェードが頭を抱え込んで嘆いている。


…どうする。

「…お前は、今生まれた悪精霊を追っていたんじゃないのか?」

状況を落ち着けるために、頭を高速で回転させる。


「ああ、さっきの精霊ちゃんね?あれ悪精霊っていうのね。教えてくれて感謝するわ。」

まともに話を聞いてくれそうにないな。


「ふふっ、あなたの言い分は分かるわ。逃げられる隙が欲しいのでしょ?」

的確にこちらの考えを見抜いている。


「…その考え乗ってあげるわ?」

「…なっ…」

それは予想とは違う言葉だった。


「このまま君たちを倒して、そこの精霊ちゃんを良いようにするには多少骨が折れそうだからね。」

そう言い、俺たちを見回す。


「だからお互いに有益になる交換条件を致しましょう?」








「…交換条件?」

「そうよ。…あなたたちは逃がして欲しい。私は精霊ちゃんを糧にしたい。お互い利益がでる条件よ。」

そうセレスは提案をしてくる。


「…なんで優位に立っているお前から対等な条件を要求する?」

明らかに罠である可能性が高い。


「…時間が惜しいのよ。そのためになるべく時間がかからない選択をしてるのよ?」

そう説明をしてくる。

だが、その条件次第では、悪くは無いかもしれない。

「…内容は?」

「さっきの精霊ちゃんを追いかけるのを手伝って欲しいの。そして、見つけたら精霊ちゃんは私の好きなようにさせてもらうわ。」

「好きなようにとは?」

「もちろん、私の糧にするために…消滅してもらうわ。」


「……」

竜那たちが俺の方を見ている。

「シェード…どうする?」

俺はシェードを見る。

「あいつの言ってることが本当なら、こっちもありがたいぞ〜…」

確かに、俺たちも最初は今生まれた悪精霊がシェードの天敵となっていたため倒すのが目的だったわけだ。

今セレスが言っていることは俺たちがしようとしていることと変わらない。


…今のセレスの要求を飲めば、セレスが強くなることは間違いないだろう。

だが、


「…分かった。その代わり、その悪精霊を倒したあと、俺たちには手を出さないと約束しろ。もちろん、シェードにもだ。」

俺は今最適だと思う選択をする。

「…良いわ。今の間は休戦してあげる。」

やはり今後会えばまた戦うことにはなるのだろうな。


「それじゃあ、その子を早く癒しなさい?癒し終えたら、追うわよ。」

そう言い、セレスは近くにあった岩場に腰をかけた。


「…結乃、どうだ?」

俺は結乃の方を振り向く。

「今、治癒してる所よ。…もう少しで終わる。」

そう治癒魔法をかけながら結乃は答える。



それから数分後、七香の治癒がなんとか完了し、七香も目が覚めた。

「なんとか、深いところは治癒し終えたけど、軽傷の部分は後回しにしたから手がついてないわ。」

結乃がそう伝えてくる。

「分かった。…七香、どうだ?」

「んー…少し歩くのがつらいわね。」

さっきの戦いは体に大きな負担をかけただろう。


「よし、俺がおんぶしてやるよ。」

そう言い、七香の前で腰を下ろして背中を向ける。

「えっ…!?い、いや…それはちょっと恥ずかしい…」

七香は顔を赤くして首を横に振った。

「だが急がないと、セレスの条件を破っちまう。仕方の無いことだから我慢してくれ。」

俺はそう言う。


「別に…嫌って訳じゃ…」

小さく何かを呟いたがよく聞こえなかった。

「とりあえず、セレス、こっちは終わった。」


「やっと?日が暮れるかと思ったわ。」

そう言いながら、立ち上がる。



「それでは向かいましょ?」

俺は七香を背負い、俺たちはセレスの後をついていった。

セレス・ケレアリア

???歳、誕生日不明、血液型不明。『異能』は不明。何族かは不明。「星ノ使徒『大地』継承者」。『継承』は不明。

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