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「なんてったか姉さんの師匠」
「ソウ・リュウだ」
師匠がいたのなら合点が行く。
コクが我流というのも驚きだが、それよりも聞きなれない名前に耳を傾けた。
「リュウ?親戚の方ですか?」
「ノアは知らねぇのか」
ノアは首を横に振った。
ハク・リュウ、コク・リュウと姓が同じで家族か親戚かと思ったがどうやらそう言うわけでもないようだった。
「リュウの民はこの世界に存在する種族の中で氏族名を名乗る習慣がなく、基本的に名前と種族名を名乗るんだぜ。
ルーツまではわかんないけどあってる?なんだぜ」
「よく知ってんな」
氏族名の存在しない種族。それはノアも初めて聞いた事でレイルの博識ぶりに舌を巻いた。
レイルはシチューをかきこみ、少し乱暴に器を置いた。
「というか皆ひどいぜー、オイラだって仲良くしたいのに空気なんだぜ。
げきおこなんだぜ!」
「あら、すみません」
レイルはぷりぷりと怒りだし、寂しかったのか頬を膨らませた。
「レイル、デザートあるぞ」
「許す!」
そんな話もそこそこに夜はふけ、皆は眠りについた──。
──
朝陽が昇る。
皆は朝食をとり、そうそうに旅支度を始める。
今日はコクとハクが御者台に上がり、ハクが手綱を握る。
おそらくあと少しでクィーントゥスにつくだろう。
霧立ち込める早朝、草原の中。
ゆっくりと馬車は動き出した。
荷台で揺られながら、ノアは始まった馬車の旅を楽しむ。




