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夏休み

私が中学2年生の夏休みの頃、部活も落ち着きはじめて国体強化選手の合宿を終えた時にみっちゃんが夜の街に誘いだす電話をくれたのは、ある意味タイミングの妙だったかもしれません。




私は連日続いたキツい練習のストレスの捌け口を見失っていた、と今だからこそ思うがそもそもはストレスなんて物を感じる敏感な方でもなかったので、日課である早起きして朝練をして授業をこなし部活をする。


そんな毎日に慣れていました。


泥だらけで帰ってきては「早く風呂に入ってサッパリしてこい!」と父に急かされるような、土とボールに全てを賭けてきた女子中学生のこれまで。


私が中学2年生の夏休みまでに積み上げてきた今までの人生の大半は、白球と汗と叱咤で作られてきた。



夏休み、思春期特有の冒険の欲に駆られて電話の向こうの誘いにのった私が、みっちゃんに連れられ市内の24時間営業のファミリーレストランに足を踏み入れたのは忘れもしない8月16日。


私達は市内から自転車でおよそ20分ほど離れた

村から、そこを目指し夜の国道を2人乗りのフラついた自転車で目指しました。


安い腕時計は午後10時の少し手前を短針が指していた。



市内のごくごく一般的なファミレス。だけれど、この街ではここにいる若者は少しだけ大人で少しだけ不良。


所謂、溜まり場のような、そこにいるだけで今の若者の流行と事情を知れるそんな場所。


私達は席に案内され、小腹が空いたみっちゃんはミートソーススパゲティと私はチョコフルーツパフェを頼んで駄弁る。ただそれだけで楽しい中学生のちょっとした冒険。



店内には仕事帰りかと思われるスーツ姿の2人組と私達と同じような夜遊びを楽しんでいる、同じ年くらいのグループが3組。


それと少し年上にみえる高校生くらいのグループが角の席にいました。


あとは、だだっ広い店内の向こうに何組か。



「お待たせしました」


私達のテーブルに並べられたのはどこからどう見ても冷奴と餃子とビールが2つ、それと灰皿も置かれいそいそと店員は厨房の中へと戻っていきました。


「あの、スミマセン」という私の声を遮るようにみっちゃんが「待って!」と電光石火で私の声をかき消す。


良かった。こういう時のみっちゃんは頼りになる。物怖じぜずズカズカと発言できるみっちゃんは、それとは真逆な私には救世主に見える時すらあった。


「ダメ!あっちが間違えたんだから良いじゃん」


「えっ?」と小さく漏らした私に「良いじゃん。せっかくだからバレないうちに飲んで食べちゃお?私、お酒飲むの初めてなんだ」


少し間を空け小さく頷く私はみっちゃんには覚悟を決めたかのように見えたのか、ジョッキをカチンと突き合わせ勢いだけで液体を飲み込む。


私も泡立って黄金色の液体をぐっと飲む。


「にがい」


二人の第一声は大人の味の子供の感想。

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