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プロローグ

昭和27年4月17日、福島県の片田舎に生まれたその子は物心がつき始めた6歳の頃、親の手で捨てられた。



早くに病気で父親を亡くして、二人兄弟だった弟もダウン症を患わっており母親はノイローゼ気味になりその子を見限った。



2016年になった今じゃよくありそうな話でも昭和の半ば、しかも6歳の男の子がいかにして毎日を生き抜いてきたのか。



私が今から話すのは、そんな男の子の乱暴でも人情に溢れた人生の物語です。




私が初めて彼を見たのは市内の中学校に通っている頃。



まだ不良な文化が盛んでしたから、荒っぽい集団が彼方此方にいて自分達の縄張りをこれでもかと主張して守るそんな時代でした。



高校生くらいのそんな集団に1人混じらず、皆が格好悪く制服を着崩しているその向こう、ニッカポッカ姿で酒屋で1人ビールを買うまだ幼げな顔を見たのを覚えています。



「あれ、ここ辺で悪くて有名なよっさんだよ」



お友達のみっちゃんがひどく強張った表情で絶対に目を合わせないよう細く弱い声で教えてくれたのを覚えています。



「馬鹿すぎて高校にも行けなくて、働いてるらしいんだけど親もいないし誰も手をつけられないんだって」



その当時の私はソフトボールの国体強化選手でしたので、地元のそういった状況が分からぬほど練習に打ち込み過ぎていて、人づてに聞くそんな情報に胸をワクワクさせていました。



「そんな悪い人には見えないけれど」と言ったか「そうね。育ちが格好に出すぎてるわ」と言ったか定かではありませんが、その時は別世界の人だとしか思うことはありませんでした。




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