第三十一話「その憎い顔を見せなさい」
第三十一話「その憎い顔を見せなさい」
深夜、ルーテシアが闇に包まれた空を駆ける。鉄をも切り裂くルーテシアの鋭い爪は、月明かりを浴びて剣よりも鮮やかに輝いていた。
「それじゃ、始めましょうか」
「……うぬ」
スバルやシャドウも所定の位置に付き、準備は完了した。
「……始めるわよ、ステラ」
アルが幻惑魔法をかけると、人間たちは夜だというのに大軍となって森を目指して進み始めた。
「……へぇ、伊達に魔王をやってないわね。じゃ、ここからはシャドウに任せるわ」
「うぬ、任せておけ!」
アルはシャドウに連れられて大軍を誘導しに行った。
「……ふふ、あのチビッ子魔王にも活躍して貰わないとね」
本来、作戦によればアルは敵を誘導した後、ルーテシアたちと行動する予定だった。しかしそれではダンジョンにかかる負担が大きい。アルとルーテシアで相談した結果、このようにして可能な限り誘導する作戦に出ていた。
「さて……行くわよ、スバル」
「はいはーい! いっくよーっ!」
警備が手薄になった建物にスバルが脱兎の如く駆け寄る。あっという間に守備の兵士たちは吹き飛ばされていった。
「ふぅん……流石に派手ね。でも力だけで敵う相手じゃないわよ」
相手は間接的に魔王を滅ぼした人物。真っ向からの力技だけでは不利なことこの上ない。ルーテシアは魔法陣を展開する。
「……チビッ子魔王ほどじゃなくても、私はサキュバス。幻惑魔法くらい使えるわよ」
途端に建物の明かりが点いていき、中で剣戟の音が鳴り響く。ルーテシアの魔法で人間たちが同士討ちを始めたのだ。
「さ、今よスバル。一気に突入するわ」
「はいはーい! やっちゃうよーっ!」
スバルの一打で建物の扉が吹き飛び、シャドウを連れたルーテシアとスバルが内部へ侵入する。人間たちは同士討ちを止めることなく、ルーテシアたちは一切戦闘することなく奥へ進んで行った。
「さぁ……見せて貰いましょうか。私をコケにしてくれた人間の顔を!」
最深部に辿り着いた時、ルーテシアは先頭に立って突入した。
「な……っ!?」
その光景を見て、ルーテシアたちは驚愕した。




