第二十四話「小さな力持ちさん」
第二十四話「小さな力持ちさん」
熊のような手と足、キツネに似た尻尾。悪魔の中でも戦闘に特化された誇り高き種族アマゾネスだった。
「くそ……悪魔か」
戦士は剣を構える。他の二人は意識を失っていた。
「あれ? その二人、お仲間さんじゃないの?」
声は六、七歳くらいの女の子に似ている。見た目からもわかるように幼い悪魔だった。
「……だからどうした?」
「別にー。たださ、仲間がやられたら気にするものじゃないの?」
「知るか。今は俺の方が危険なんだからよ」
「そっかー。じゃあ、止めを刺しても文句はないね?」
アマゾネスの少女は倒れて動かない二人を目指して駆ける。
「あれー、本当にいいのー?」
少女は腕を振り上げ、戦士の方を見た。戦士は剣を構えて少女に迫る。
「好きにしろ。その隙にお前を斬り捨てる!」
「ふーん……」
少女は戦士の腹部と右腕を蹴り飛ばす。戦士と剣が全く違うところへ飛んで行った。
「ま、いいならいいかな? こっちだってたくさんやられたし」
「待って下さい!」
振り上げられた腕を、間一髪のところでステラが押さえる。
「あ、お姉ちゃん!」
「な……悪魔、じゃと?」
「あ、そっちは魔王さまだね。二人片付けました! あとは止めを刺すだけなんですけど……」
少女はステラの方を見る。
「駄目です! 不要な殺生は誰のためにもなりません!」
「でもでも、キメラとかゴーレムがやられたんでしょ? なら私たちだっていいじゃない?」
「それでも駄目です!」
「そっかー。お姉ちゃんがそう言うならやーめた。でも、あっちを倒すのはいいよね?」
少女は戦士の方に目を向けた。黒いオーラのようなものを纏った戦士がゆっくりと立ち上がる。
「お前ら……舐めるなよ」
その目つきは鋭く、瞳は鈍く赤色に光っている。防具は腐り落ちるように崩壊し、新たな防具が形成されていく。
「……強化魔法。それも、際限のない禁断の秘術クラスですか」
ステラは悲しそうにそう呟く。強化魔法は一種の麻薬みたいなものだ。本来人間の体内には麻薬に似た性質の物質が存在しており、強化魔法はその流れを加速させている。だが禁断の秘術クラスになると直接麻薬を大量投入しているようなもので、耐えきれなくなった体と心は崩壊する。
「待て、それだけだと説明がつかんぞ?」
「そうですね。恐らく回復魔法の重ねがけが常時行われていて、かつ魔法による攻撃・防御手段を有したというところでしょうか」
普通に考えれば魔王クラスでなければ太刀打ちできないほどの力だろう。もっとも、本人が完全に制御できれば、の話だが。
「……スバル、相手はできそうですか?」
ステラは少女の名前を呼ぶ。呼ばれたスバルは元気よく答えた。
「うん、お任せあれ、だよ!」




