第二十一話「罠のお味はいかがですか?」
第二十一話「罠のお味はいかがですか?」
人間たちは森の奥を目指して進んでいた。
「この森に魔物がいるんじゃ、ぐっすり眠れない。さっさと片付けるぞ」
戦闘に立つ男の声に呼応し、やる気十分の掛け声が続く。
「うぬぅ……奴ら、かなり士気が高いのう」
その様子を空から眺めているステラは渋い顔をしていた。
「……キメラ、伝令をお願い」
キメラは伝言を従えてダンジョンに戻って行く。
「……のう、ところで魔物たちは言葉を話せないのではないのか?」
「はい、我々の言葉は話せませんよ。ですが、あの子たちの言語はあります」
「……なるほどのぅ。さっきのよくわからない言葉はその言語か。ところで、何を伝えたのじゃ?」
「さて、それは後のお楽しみです。それよりも、スライムたちの準備はできましたか?」
「ステラはやたらと秘密にしたがるのう……、まぁ良い。スライムたちはスラミーを筆頭に池で待機しておるぞ」
「……なら、始めましょうか。アルさん、お願いします」
アルは頷き、魔法陣を展開する。幻惑魔法で一行を地面に偽装した池へと導くのだ。
「……うぬ、上手くいきそうじゃ」
「シャドウたちも配置に付いて下さい。どうやら、作戦は順調にいくようです」
一行は何も知らぬまま前進し、先頭を歩く男が池にはまる。
「な……なんだ!?」
「偽装された池……罠か!?」
「……今です」
ステラが手で合図すると、姿を消したシャドウたちが一斉に戦闘をしかける。
「あれは……シャドウ!? どうしてこんなところに!?」
一般的な服を着ているだけの男がシャドウを指さし叫ぶ。
「……シャドウに気が付きましたか。これはやはり……裏に何かがありそうですね。まぁ、それは後にしましょう。今は……一斉攻撃です」
シャドウたちは急停止して地面を攻撃する。その瞬間、地面は陥落し人間たちは皆池に落ちる。
「な……二重の罠、だと!?」
葉の上に砂をかけただけの簡単な罠の周囲には、木で編んだ足場が存在した。幻惑魔法の影響もあり、人間たちはそれに気づかず全員が罠の上に乗っていたのだ。
「あとはシャドウたちが上空から、スライムたちが水中から攻撃するだけです。さて、撤退まで何秒かかるでしょうか」
「うぬぅ……ステラは可愛い顔して案外えげつないのう」
「これでも、代理人ですから。手は抜きません」
一行は脱出手段を持たないのか、最後まで抵抗するも遂に全滅した。




