第二十話「隠し味はいかほどに」
第二十話「隠し味はいかほどに」
戦士たちは森の異変を酒場で訴えていた。そのためなのだろう。複数のパーティが徒党を成して森を進み始めた。
「……厄介ですね。装備がしっかりとした者も混じっています」
ステラは森の地図と人間たちを交互に見ながら作戦を練っていた。幸いにも今回は真っ直ぐにダンジョンを目指すように歩いてなかったので、まだ検討する時間はある。
「……何をそんなに検討しておる? こやつらを戦わせれば圧勝ではないのかのう?」
いかに装備がしっかりしていても、キメラやゴーレム、シャドウに囲まれれば無事では済まない。普通の魔王であればダンジョンの奥でふんぞり返って、配下の魔物たちを戦わせているはずだ。
「正面からぶつかればこちらも被害が大きくなります。可能な限りスマートに、それが代理人の意地の見せ所です」
「……そうじゃな。魔物がやられるところを見るのは不愉快じゃ。して、どうするのじゃ?」
「理想形としては敵を完膚なきまでに叩き潰し、再起までの時間を稼ぐことです。そうすれば……」
「何かあるのかのう?」
「はい、私が天塩にかけて育てあげている子の準備が整います。そうなればもっと楽になるはずです」
「なるほどのう……我が幻惑魔法でもっと時間稼ぎしても良いぞ?」
「それだと、あの戦士たちが現れた時に戦況が大きく変わってしまいます。できれば何等かの直接的な力で迎えたいところですね」
「うぬぅ……ではまた、水を使うのはどうかの?」
「水……ですか?」
「ここに池がある。うまくここにおびき寄せて一網打尽にし、上から一斉攻撃じゃ!」
「なるほど……ではそこに、一つ隠し味を混ぜましょうか」
「う……嫌な隠し味になりそうだのう」
「最高の味になりますよ、きっと。そうと決まれば行きましょうか。スライム、キメラ、シャドウは付いて来て下さい」
一行は池を目指して進軍を開始した。




