第十八話「謎の直進劇」
第十八話「謎の直進劇」
ダンジョン内に警報が鳴り響く。人間たちが森のダンジョンに入ったことを察知できるよう、ステラが取り付けたものだった。
「……来ましたか。キメラ、シャドウの情報は?」
偵察として送り出されたキメラ、シャドウによると侵入したのは戦士一行とのこと。ステラはその進軍の様子をカメラ越しに見ていた。
「そんな装備があったとはのう……」
「本格的にこちらで活動するので、借りて来ました。それはいいです。それよりも、この前の戦士たちみたいですよ」
何かしら魔法の加護を受けているのだろう。アルの幻惑魔法が全く効果を成していない。まっすぐに森を進み、ダンジョン到達は目前だった。
「……できれば、まだ見つからない方が得策です」
ダンジョンが発見されると更に多くの人間たちが攻略のために乗り込むことになるだろう。そうなると、こんな小さなダンジョンではいずれ完全に攻略されてしまう。ステラとしては、せめて悪魔と契約できるくらい力を付けてから招き入れたいと考えていたようだ。
「アルさん、平地型ダンジョンにはいくつかの更地があります。そこで迎え撃ちましょう」
「うぬぅ……まだ迎え入れるには早いのかのう?」
「いえ、この戦士たちならばもう十分でしょう。ですが、それが新米魔王がよくやりがちな過ちなんです」
「……なるほどのう。では、キメラを……」
「待って下さい。強い魔物を堂々と送ると、それもまた人間たちを煽ることになります。ここは姿を消すことができるシャドウに闇討ちして貰いましょう」
「……ステラ、お主、結構黒いのう?」
「代理人ですから。シャドウ、スライム進軍開始! 私たちも出ましょう」
影から生まれた魔物のシャドウが数体出撃する。それを追うようにしてスライムたちが続々と更地を目指して進軍した。
戦士一行は道中、決して曲がることなく真っ直ぐに進んでいる。その先に何かあるのなら最短となりうる進み方だが、それは一種の賭けのようなもの。崖や川、別の集落がある可能性もあるのだ。
「……やっぱり変ですね。どうしてこちらを目指して真っ直ぐに進むことができるのでしょう?」
現地に向かいながら様子を見ていたステラは首を傾げる。
「天に運を任せたのかのう?」
「そうだといいんですが……」
ステラは終始不思議そうにしていた。




