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許嫁が出来たと思ったら、その許嫁が学校で有名な『悪役令嬢』だったんだけど、どうすればいい?  作者: 疎陀 陽
えくすとら!

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えくすとら! その二百三十三 負の遺産


 茜の言葉に目を輝かせる桐生。そんな桐生を呆れた目で見つめながら、俺は視線を隣の秀明に向ける。

「……なにこれ?」

「いえ……それ、俺のセリフなんっすけど……浩之さん、取説とかあったんですか?」

「家電か。ねーよ」

 ねーよ、俺に取説なんて。そんな俺と秀明のジト目に気付かないのか、茜は得意げに右手の人差し指をピンと立て、その指をフリフリと振りながら桐生に説く。

「いいですか、彩音さん? おにぃの基本属性は『ヘタレ』です。彩音さんの前で言うのもなんですが……もし、ですよ? 中学生の時に智美ちゃんに『私は三人が良いな……?』なんて、遠回りに告白を拒否られたとしても、『うるせー! 俺はお前の事が好きなんだよっ!!』みたいな、世界の中心で愛を叫んでいれば、きっと私の睡眠時間は確保されていた筈なんですよ!」

「そ、それは確かにそうかも知れないわね……智美さん相手だと特に、その傾向はあるかも知れないわ。私にとってはラッキーと言えばラッキーなんだけど……」

「そこなんですよっ! いいですか、彩音さん? さっきも言いましたけど、おにぃと智美ちゃんはどっちもヘタレなんですよっ! 正直、おにぃが智美ちゃんに告白紛いの事をしようとしたのだってびっくりな事なんですから!」

「そ、そうなの? そんなにびっくりすることなの?」

「そーですよ! 彩音さんも思いませんでした? 『あれ? コイツ、そんな行動力あんの?』って!」

「そ、そう言われてみれば……で、でも待って? 東九条君、結構男らしいというか……行くときは行くというか……そういう面もあるんじゃないかしら? ほら、瑞穂さんの為って言うとアレだけど……あの市民大会のバスケだって、東九条君の発案だし。行動力はあるんじゃないかしら?」

「それは自分の得意な事の時か……まあ、追いつめられた時くらいですね。少なくとも、恋愛方面に関しては全然ですよ?」

 そう言ってちらっとこちらを見てため息を吐く。

「……そもそも、そこまで行動力があれば彼女の一人や二人、さっさと出来てたハズですし、おにぃ」

「そ、そうなの? もしかしてモテてた、とか……」

「まあ、基本は優しいですしね、おにぃ。理沙や雫から聞いていません?」

「……何をかしら? ひょっとして……!」

 そう言って修羅の顔を見せる桐生に、茜が『ひぅ!』と息を呑む。

「顔! 顔が怖いですよ、彩音さん!? ま、まあ、雫はともかく……理沙は同じガードじゃないですか。よくおにぃに練習教えて貰っていましたし……他のガードの子とかも、おにぃの指導を仰いだ子もいますよ。なんと言っても国体候補ですし? だから、男女云々はともかく……まあ、慕われてはいました」

「……そう。良かったわ、理沙さんを処さないといけないかと思ったわ」

「だから、怖いですって! と、ともかく! バスケしている時は……というか、中学女子でスポーツマンを毛嫌いする人間は少数派でしょう? 頭が良いか、運動神経が良いか……まあ、顔が良いか。このうちの一つでも持っていればそこまで嫌われる事は無いでしょう?」

「……確かに。じゃ、じゃあ! 東九条君、やっぱり学校でモテてたのかしら!?」

 少しだけ焦った様な桐生の声。そんな声に俺は苦笑を浮かべる。

「おい、桐生。んなワケねーだろ? 俺がモテるわけ――」


「はい、モテてましたよ」


「――……はい?」

 ……は? 俺がモテてた? んな事無くない?

「おい、嘘は止めろ茜。俺がモテる? んなワケねーだろ。告白なんかされた事ねーぞ、俺?」

「そりゃそうでしょ」

 そう言って呆れた様な視線をこちらに向ける。あ、あれ?

「……どういう事?」

「はぁ。あんね、おにぃ? おにぃの周りって誰がいたと思う? 涼子ちゃんに智美ちゃんだよ? カレシカノジョでもないのに馬鹿みたいに距離感近くて、しかも明らかにおにぃに好き好きムーブかましている美少女だよ? 知っている? 中学女子ってさ? そこまで勇者でも愚者でも無いんだよ? 誰が負け戦だって分かってるのに突っ込むのさ?」

「……」

「それじゃおにぃと幼馴染ーずの仲を知らない後輩は? って話だけど……一個下には瑞穂がいたじゃん。あの子もおにぃガチ勢だしさ? 理沙も言ってたよ? 『東九条先輩の事は尊敬するよ? 好きか嫌いかで言えば好きな先輩だし、仮によ? 仮に告白とかされたら嬉しいと思うけど……でもさ? そんな事態になったら私、瑞穂に喰い殺されない?』って」

「……狂犬はお前のキャラじゃん」

 まあ、瑞穂もどっちかって言えば犬っぽいが。だがあいつはアレだ。茜が猛犬注意なら、瑞穂は喜び庭駆け回る方の犬っぽさだ。俺のジト目に、茜は少しだけ気まずそうに顔を逸らして。

「あー……うん。それも原因の一端にはあるのは認める」

「は?」



「ほら? 私、学校でも『狂犬』って呼ばれてたじゃん? 中学では大人しくしていたけど……小学校の遺産が生きてね~。だから、『東九条さんのお兄さん、優しそうだけど……東九条さんのお兄さんかぁ~』って言われてた」



「……思いっきり負の遺産じゃねーか」


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