↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地球はファンタジーにアップデートしました  作者: けろりぬ
第1部:ダンジョン黎明期
33/36

第33話:72時間の猶予と、ネットの熱狂

四月第二週の土曜日、午前十一時。

霧島第一ダンジョン第十層の階層主【デーモンゴート&デーモンシープ】が討伐された直後に鳴り響いた、全人類共通の『ワールドアナウンス』。


その瞬間、永田町の首相官邸地下にある危機管理センターでは、非常呼集を告げるブザーがけたたましく鳴り響いていた。

休日の朝であるにもかかわらず、内閣総理大臣をはじめ、官房長官、防衛大臣、国家公安委員長、農水大臣、経済産業大臣、そして日本探索者協会(JDA)の幹部らが、鬼気迫る形相で円卓を囲んでいた。


大型スクリーンに映し出されているのは、美濃ダンジョンの俯瞰図と、非情に刻まれ続ける巨大な真紅のタイマー。

『71:42:15』――。


「総理、JDA美濃支部より緊急連絡! 現在、美濃ダンジョンに入場している一般探索者は推定四万二千名! 全ゲートに対し、即時退避勧告および新規入場の全面停止を発令しました!」

「自衛隊美濃駐屯地、即応機動連隊に対し、ダンジョン中央ゲート前への重火器展開および防衛陣地の構築命令を下達済みです!」

「アナウンスの文言を再確認しろ! 『防衛条件を達成できなかった場合、モンスター分布に不可逆的な狂乱(高難易度化・低層氾濫)が発生する』……これが何を意味するか分かるか!? せっかく軌道に乗り始めたダンジョン経済、食糧・資源供給網が、初日から完全に瓦解するということだぞ!!」


怒号と汗が飛び交う地下作戦室。

その張り詰めた空気の中、モニターの隅に映る霧島前線ベースキャンプから、赤城燈主任の通信が割り込んできた。


『皆さん、パニックを起こしている暇はないわよ! 霧島特務小隊――あかねちゃん、橘一尉、熊倉二曹の三名は、先ほど第十層ポータルより地上へ無傷で帰還完了したわ! バイタル極めて良好、そして何より……三人の戦力値は、突入前とは比較にならない異次元の領域へ到達しているわ!』


燈さんの背後には、治療カプセルを必要とせず、ピンピンとした足取りでベースキャンプの土を踏むあかねたちの姿があった。

あかねの手には、黄金の輝きを放つ『破邪の神楽鈴』。

そして、その隣に並ぶ橘一尉の周囲には神速の青い疾風、熊倉二曹の肌にはダイヤモンドのごとき金剛石の紋様が刻まれていた。


『72時間のカウントダウンは、我々に与えられた「準備期間」よ! 防衛目標は美濃第5層安全エリアへの侵攻阻止、および変異核の破壊! 特務小隊を直ちに美濃へ前進配備し、美濃ダンジョンの主力部隊と連携した迎撃体制を構築するわよ!!』


政府高官たちが息を呑み、総理大臣が力強く頷くその裏で――。

地上のインターネット空間、国内最大の総合掲示板群は、サーバーが物理的に融解するのではないかという勢いのトラフィックと書き込みに飲み込まれていた。


---


【第10層攻略】霧島ダンジョン本スレ Part.100【ダンジョンカーニバル開幕】


1 :名無しさん@全人類待機中:203X/04/11(土) 11:15:33.45 ID:Carnival001

203X年4月11日、全人類の脳内に【ワールドアナウンス】が強制着弾。

霧島第一ダンジョン第十層、笹貫あかね小隊により完全踏破完了!

しかし歓喜も束の間、新システム【ダンジョンカーニバル】および美濃ダンジョンへの72時間カウントダウンが発令!


■本日確定した超重要情報

・第十層階層主【デーモンゴート&デーモンシープ】(危険度C)完全討伐!

・あかねちゃんの絶体絶命の危機に【宇迦之御霊神(九尾仙狐)】が降臨!

・神宝【破邪の神楽鈴】があかねちゃんに授与(全状態異常・結界の強制無効化)。

・護衛の自衛官二名が奇跡の【種族進化】を果たす!

熊倉二曹:【金剛の巨神(ティタノ・ギガンテス)】

橘一尉:【風天の戦巫女(ヴァルキリア・ゲイル)】

・ワールドアナウンス:第1フェーズ終了、第2フェーズ(共生と試練)へ移行。

・【警告】:72時間後、美濃ダンジョンにて【領域変異事象(スタンピード・フェスティバル)】発生予定!


前スレ:【霧島第10層突入】笹貫あかねちゃん応援スレ Part.99

[http://to〇ho.net/dan/99/](https://www.g〇gle.com/search?q=http://to〇ho.net/dan/99/)


15 :名無しさん@全人類待機中:203X/04/11(土) 11:17:10.89 ID:KusaMofu99

スレタイ100Part到達&第10層踏破おめでとううううううううううううううっっっ!!!!

……って叫びたいところなんだが、情報量が銀河系衝突レベルで脳みそが追いつかない。


28 :名無しさん@全人類待機中:203X/04/11(土) 11:19:02.12 ID:OtaGachi07


> > 15

> > マジでそれ。

> > 前半:コロッセオ閉じ込められてボス二体のコンビネーションが凶悪すぎて絶望

> > 中盤:あかねちゃん倒れて熊倉さんと橘さんも血まみれになって本気で泣いた

> > 後半:時間が止まってウカノミタマ様(神様)降臨して自衛官二人が種族進化して神楽鈴シャンシャン鳴らして極大レーザーでボス消滅

> > 結末:頭の中に響く謎のシステム音声「第2フェーズ開始、72時間後に美濃でカーニバルな」

>

>


感情のジェットコースターで吐きそうなんだが????


42 :名無しさん@全人類待機中:203X/04/11(土) 11:21:45.34 ID:KamiShinwa

てかさ、ウカノミタマ様……お稲荷様ご本尊だよな?

あの九尾の神狐のお姿、あまりにも美しすぎて画面越しに土下座したわ。

「我が小さき後継者よ」って言ってたから、あかねちゃんの種族が【霊狐】だった理由が完全に回収されたな。

日本の神話体系がガチでダンジョンシステムの根幹に絡んでる証拠じゃん。


59 :名無しさん@全人類待機中:203X/04/11(土) 11:24:12.78 ID:ShuzokuKousatsu

それより何より、【種族進化】の考察しようぜ!!

世界で5人しかいなかったはずの種族進化者が、あの瞬間日本で一気に2人増えて計3人になったんだぞ!?


73 :名無しさん@全人類待機中:203X/04/11(土) 11:26:30.01 ID:DanKenkyu


> > 59

> > これまでの定説:

> > 「進化者はダンジョン発生時に極めて稀に覚醒した突然変異(世界で5人だけ)」

> > ↓

> > 本日の事実更新:

> > 「人間でも、極限の死線越え+自己犠牲の精神+霊的契機(神の祝福や試練突破)によって、”後天的に種族進化が可能”」

>

>


これ、全人類の探索者に夢と希望を与えると同時に、世界の軍事バランス完全に狂わせたぞ。


88 :名無しさん@全人類待機中:203X/04/11(土) 11:28:55.45 ID:KumaGodTsuiteki

熊倉二曹の進化【金剛の巨神】、あれ人間やめてて最高だったわwww

数トンの処刑斧を素手の平でペシッと止めて「あ? てめえの斧軽くなったな」は少年漫画の主人公側最強タンクの台詞なんよ。

皮膚がダイヤモンド化して大地と同化して不動の要塞化。

北欧の霜の巨人とタイマン張れるだろあれ。


104 :名無しさん@全人類待機中:203X/04/11(土) 11:31:20.12 ID:TachibanaOshi

橘一尉の【風天の戦巫女】も美しすぎて鳥肌立った。

もともと精密射撃の鬼だったのに、光速機動と魔弾の神化合わさって、一瞬で数百発のホーミング神弾ぶち込んでたぞ。

しかもあかねちゃんの【破邪の神楽鈴】のバフが乗ってたとはいえ、あかねちゃん(サポーター)・熊倉さん(絶対防壁)・橘さん(神速殲滅アタッカー)の三人、完全に世界最強パーティーだろ。


121 :名無しさん@全人類待機中:203X/04/11(土) 11:33:45.67 ID:SekaiNoHanno

海外の反応スレ見てきたけど、ホワイトハウスとペンタゴンが緊急招集で蜂の巣をつついたような騒ぎになってるらしい。

「なぜジャパニーズの女子高生が神を召喚し、兵士二人が神話生物へとアセンション(昇天進化)したのか?」

「我々のアメリカのハイエルフ(アーサー)も強化できるのか?」

って軍事アナリストたちが発狂してて草。


138 :名無しさん@全人類待機中:203X/04/11(土) 11:36:10.89 ID:CarnivalKousatsu

で、問題はあの【ダンジョンカーニバル】と【72時間のカウントダウン】だよ。

これ、ゲーム脳で考察すると完全に『定期ワールドレイドイベント』の実装だろ。


155 :名無しさん@全人類待機中:203X/04/11(土) 11:38:40.23 ID:GameHaijin

アナウンスの文面から読み取れる仕様まとめとくぞ。


【ダンジョンカーニバル(領域変異事象)の仕様考察】

① トリガー:世界のいずれかの特級ダンジョンで「第十層(節目)」が突破されるとフェーズ移行。

② 発生形式:世界各地のダンジョンで不定期に発生。ただし発生の【72時間前】に事前通告タイマーが作動。

③ 防衛失敗時のペナルティ:

「該当ダンジョンおよび周辺のモンスター分布に不可逆的な狂乱(高難易度化・低層氾濫)」

→つまり、第1層〜第5層の平和な草原に、奥底のヤバい魔獣がドバドバ溢れ出して、初心者や農林水産業の採取が完全に不可能になる。

④ 防衛目標:

「第5層安全エリアへの侵攻阻止、および変異核の破壊」

→タワーディフェンス+拠点防衛+ボス討伐の複合レイド戦。


172 :名無しさん@全人類待機中:203X/04/11(土) 11:41:05.56 ID:MinoShimin


> > 155

> > うわあああああああああ!!

> > やっぱり美濃が標的なのヤバすぎるだろ!!

> > 美濃の第1層〜第2層なんて、今まさに一般人がスライム狩って塩集めたり、ルビーベリー摘んで家族でジャム作ったりしてるところだぞ!?

> > あそこに高難易度の化け物が雪崩れ込んできたら、美濃ダンジョンが永久に閉鎖されちまう!!

>

>


189 :名無しさん@全人類待機中:203X/04/11(土) 11:43:30.45 ID:GachiHunter

しかも一般探索者の最前線パーティー『暁の鉄槌』が、ようやく先週第5層に到達したばっかりなんだぞ?

防衛ラインが「第5層安全エリア」ってことは、民間人の実力じゃどう考えても耐えきれない。

スタンピードって、数千頭規模のモンスターが暴走して突進してくるんだろ?


205 :名無しさん@全人類待機中:203X/04/11(土) 11:46:00.12 ID:KagoshimaNet

だからこその「72時間(3日間)」の猶予なんだよ。

あかねちゃんたち、霧島の第十層から地上に戻ったあと、即座に自衛隊の超音速輸送機で美濃へ移動する準備に入ってるらしい。

鹿児島の駐屯地前が今ものすごい勢いで装甲車と物資の積み込みやってるぞ。


221 :名無しさん@全人類待機中:203X/04/11(土) 11:48:25.89 ID:CraftSakiOshi

あかねちゃんの専属細工師のサキちゃんと、錬金術師の兄貴も絶対美濃に招集されるなこれ。

美濃ダンジョン全体を防衛するための広域結界具とか、防衛戦用の特級ポーションの大量生産。

3日間、不眠不休の国家総力戦になるぞ。


238 :名無しさん@全人類待機中:203X/04/11(土) 11:50:50.34 ID:TasukattaLeader

美濃第2層で以前あかねちゃんに命を救われたパーティーのリーダーです。

俺たち、さっき仲間と話し合って決めた。

第5層の最前線には立てないかもしれないけど、第1層から第3層までの後方支援、避難誘導、物資の運搬なら俺たちでもできる。

あかねちゃんが守ってくれた命を、今度は俺たちが美濃を守るために使う番だ。

美濃の全探索者、逃げるんじゃなくて一致団結して迎え撃つぞ!!


255 :名無しさん@全人類待機中:203X/04/11(土) 11:53:15.67 ID:AtsuiKome


> > 238

> > うおおおおおおおおっっ!! 熱すぎるだろ!!

> > 民間探索者ギルドの連合も、第5層防衛への志願兵募り始めてるぞ!

> > 元自衛官や警察官の探索者たちが続々と名乗りを上げてる!

>

>


272 :名無しさん@全人類待機中:203X/04/11(土) 11:55:40.01 ID:AkaneShinwa01

霧島第十層の突破で世界が動いた。

あかねちゃんたちが世界最高峰の扉を開けたからこそ、人類に与えられた「共生と試練」の第一関門。

でも、今のあかねちゃんたちには、宇迦之御霊神から授かった【破邪の神楽鈴】がある。

種族進化した熊倉さんと橘さんがいる。

そして、後ろにはあかねちゃんの言葉に背中を押された何十万人の仲間たちがいる!


289 :名無しさん@全人類待機中:203X/04/11(土) 11:58:00.23 ID:TimerWatch

タイマーは現在【71時間01分】。

火曜日の午前中、美濃ダンジョン第5層で全てが決まる。

日本の総力を挙げた初のダンジョン防衛戦、全力で応援するぞ!!


---


夕暮れが迫る鹿児島空港の自衛隊専用エプロン。

エンジンを高らかに鳴らすC-2大型輸送機の巨体の前で、私は新調されたばかりの防風マントを風になびかせながら、タラップを見上げていた。


腰の後ろでふわりと揺れる二本の黄金の尻尾。

その胸元には、淡い温もりを放ち続ける『破邪の神楽鈴』が、守り神のように静かに寄り添っている。

手元には、さきほど自宅で母と父が持たせてくれた温かいおにぎりの包みと、兄・晃が血走った目で渡してきた「美濃防衛用・特級霊薬コンテナ」の数々。


「あかね! 私も機材全部積み込んだわよ! 美濃ベースキャンプに着いたら即座に神楽鈴の魔力増幅台座と、防護フェンスのミスリル結界鋲を叩き出すわ!」

工具箱を両手に抱えたサキが、息を切らしながらタラップを駆け上がっていく。


「あかねさん。」

凛とした声で振り返った橘一尉の瞳には、蒼穹の疾風を宿した青銀色の神光が宿っていた。

隣に立つ熊倉二曹の背中は、まるで動かぬ大山のように雄大で、恐れなど微塵も感じさせない。


「美濃の防衛目標地点――第5層の安全エリアは、私たちが先週通過したあの水没林の先です。……敵の規模は数千。ですが、われわれには退く理由がありません。」

「おうよ!」熊倉二曹が金剛石の光を宿した拳をバチンと打ち鳴らした。「お嬢さんが見つけてくれたあの美味いベリーも、野菜も、新米どもが楽しそうに笑ってたあの草原も、指一本触れさせやしねえ! 全部俺たちの盾で跳ね返してやるぜ!」


「はい!」


私は力強く頷き、美濃の空へと続く夕暮れの雲を見つめた。

空中に浮かぶ、見えない巨大な赤いタイマー。

残り、七十時間。


未知の恐怖に怯える時代は、もう終わったのだ。

大地を愛し、人々を守り、手を取り合って未来を拓く――そのための大いなる試練。


「行きましょう、橘さん、熊倉さん、サキ! ……美濃ダンジョンを、みんなの日常を、絶対に守り抜きます!」


夕日を背に受け、私たちは輸送機のハッチへと足を踏み入れた。

新時代の試練に立ち向かう、人類初の防衛戦――『ダンジョンカーニバル』の決戦の地、美濃へ向かって、翼は力強く空へと飛び立ったのだった。


第一部 完


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。