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男女比が偏っている世界で女性アイドルのマネージャーになる  作者: 普通


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10/10

仮マネージャーはアイドルから面接される

寺村てらむら有那ありな


アムールのメンバーは向上心があるけど、その中でも一番は彼女だろう。絶対にTOPアイドルになるという目標。その目標はライブなどでもよく口にされている。



そしてそんな彼女がオレの目の前に座っている。



「面接を始めさせてもらう」


「はい、よろしくお願いします」


なんでこんなことになっているのかはオレにも分からない。だけど、マネージャーさんから言われているのは寺村さんがオレのことを面接したいらしいということだけ。

それ以上の説明はされなかった。



「あなたはアムールのことをどう思っていますか?」


「どう思っている…」


「はい、あなたがアムールについて思っていることをお聞きしたいです」


「オレがアムールについて思っているのは…感謝かな」


「感謝?」


「オレは元々アイドルが好きなんです。でもその中でもアムールっていうグループは別格。あそこまで目が離れないと感じたアイドルは他にいなかった。グループメンバーにそれぞれがしっかり魅力があって、パフォーマンスも文句のつけようがない。そんなアイドルがアムールでした。そんな素敵なアイドルに対する気持ちは一つで出会ってくれてありがとうです」


これ以外のものはない。オレがもしこの世界に転生しなければ、アムールというアイドルを知ることもなかっただろうし。彼女たちがアイドルになると一大決心をしてくれたからこそ、出会うことができた。



全ての偶然というべきものが重なって…今がある。



目の前の寺村さんは顔色を変えずにずっとオレのことを見据えている。


「そう言ってくれるのはアムールの一員として嬉しいです。今までアイドルとしてまだ短いですが、私たちの努力が良い形でファンの方々に伝わっているのは」


するとまた一呼吸を終えてから、寺村さんは質問を投げかけてきた。



「あなたはアムールのマネージャーとしての目標を教えてください」


「目標ですか」


しばらく考え、それを頭で整理して少しずつ言葉を紡ぎ出す。



「オレの目標はアムールをTOPアイドルにさせることですが、何よりもメンバーそれぞれがアイドルをやっていて良かったと思ってもらえるようにすることです」


「アイドルをやっていてよかった…ですか」


「そうです。アイドルという職業を選んだことを後悔せず、やって良かったと思えることが大事だと思っています。いつかアイドルを辞めて、数年経ったある日に昔を思い出した時に、この時アイドルをやっていて良かったと思って欲しいんです。まぁ…目標という問いに対してだとダメかもしれませんね」


寺村はさっきまでと変わらず、静かにオレのことを見る。



「いえ、思っていることが聞けて良かったです。この面接はあなたの性格やアムールというグループに対して、どういう風に向き合っていくのかを見るために行っているので」


「…そうなんですね」





「では最後に一番聞きたかったことをお聞きします。あなたにはこれからの険しい道をアムールと共に歩んでいけますか?」


そう質問してきた時の寺村さんは一番真剣な顔をしていた。



その顔を見た瞬間にオレ自信の覚悟をしっかりと問われている気がした。だからオレも深呼吸を数度繰り返してから自分の言葉を紡ぎ出した。



「…ありますよ。どんな険しい道であったとしてもオレはアムールの皆と一緒に歩んでいく覚悟が」


「本当にありますか?アムールがTOPアイドルになる過程では色んな困難があると思います。時には理不尽なことが起きて、不幸を被ることも全然あると思います。それでもあなたはちゃんとアムールの側で支え、その困難を乗り切るだけの気概があるのですか?」


「あります。アムールのためにどんなことでも頑張ると決めているので。理不尽やどんな最悪な出来事が起こったとしても絶対にアムールの側で支えると」


仮マネージャーになると決断してから、仮マネージャーとして仕事を始めるまで何度も考えた。



その結果としてオレは…決めたんだ。



仮マネージャーになると。






オレの答えを聞いた、寺村はしばらく目を瞑った後に「そうですか」と言い、席を立った。


「この答えが正しかったのか、分からないな」


オレはしばらく席に座りながら考えた。




――――――


「覚悟を聞けてよかった。あの覚悟は本物だった。出来ることならあの気持ちがずっと継続してくれることを願うわ」

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