文芸同好会
「え、ここしかないわけ?小説について熱く語ろう、的な同好会とかあるかと思ってたのに」
私がまだ高校一年生の時。
本が好きで好きでしょうがなかった私は、中学生の頃から本に関係する部か同好会に入ろうと決めてた。
なのに、書くこと専門の文芸同好会しかなかった。
「まぁ、しょうがないや。親からは何かに入っとけって言われてるしなぁ」
そもそも、小説の需要がだんだん減ってきてるのに2個も小説関連の同好会が作られるわけないかぁ。
「梓はどうするの?いっしょに入る?」
梓は幼稚園からの腐れ縁で高校までそれをずるずると引っ張ってきた。
春休みに急いで染めたその明るい茶髪をくるくると人差し指で巻きながら、梓は唸ってる。
「いいんだけどさ、それさ、地味系でしょー?やっぱさ、女マネの方が彼氏出来やすくない?私、青春したいわぁ」
梓はドラマで見るような青春に憧れて、まるで高校デビューだとでも言わんばかりに目一杯のオシャレをしてくる。
私たちの通う高校は校則ゆるゆるの学校だけど、マニキュアもメイクもヘアスタイルも制服の着こなしも全てに隙がない彼女は若干と言わず浮いていた。
どうやら、そういう感じの彼氏を捕まえたいらしい。
一方の私は、スカート丈くらいは膝上にするけど他はいい意味でも悪い意味でも目立たないと思う。
「あー、梓はそうだった。私は別に青春に憧れてないからなぁ、適当にやっていける所でいいや」
結局、梓は男バレのマネージャーで。
私は文芸同好会へと入部した。
文芸同好会は本当に地味っ子ばっかりだったけど、変なノリのオタクみたいな奴は幸いにもいなくて少し安心した。




