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モノクロームの夢の中から  作者: 彩霞
1章 白枝亭での毎日
99/130

98 アリサさんのお師匠様

「こんにちはー。」

「ああ、アリサさん、お戻りでしたか。」

「はいー、お昼にー、着いたところですよー。」


魔法士ギルドも2回目だけど、やっぱりちょっとちっちゃい気がする。

今は受付の人とアリサさんがあいさつしてるところ。


「それで、今日はどこに用事ですか?」

「はいー、午前中にー、[根源たる色彩オリジナルカラーズ]のことでー、鱗妖のー、魔法士さんがー、いらっしゃったとー、思うのですがー…」

「ええ、ギルド長とお話されていたみたいですが。」

「その件にー、関わるお話なのでー、まずはー、お師匠様のところにー、お願いしますー。」

「わかりました。

 それでは奥へどうぞ。」


奥の扉から、前は入らなかったところへ通された。

中は少し大きめの真四角な部屋になってて、入ってきた扉の他に、前に1つ、左右に1つずつの扉が見える。


「ここ…?」

「ミアちゃんはー、初めてですねー。

 普通ー、ギルドの人以外はー、この奥にー、入ることがー、ないのですよー。」

「ほへ…そんなとこにあたしが入っていいの?」

「わたしがー、付き添ってますからー、問題はー、ないですよー。

 ではー、床のー、真ん中のー、円の中にー、立ってくださいねー。」


そう言われて床を見ると、何か複雑な模様みたいなものが描いてある。

ちょうど部屋の真ん中くらいに、ぽっかりと何も描かれていない円になってる部分があった。

円は結構広くて、2人で立つには広すぎるくらい。

たぶん、10人くらいはいける感じかな?詰めたらもうちょっといけそう。


「それではー、いきますよー。

 わたしとー、手をー、繋いでー、くださいー。

 あとー、眩しいからー、目をつむっててくださいねー。」

「は、はひ。」


アリサさんと手をつなぐと、アリサさんもしっかり握り返してくれた。

あとは、目をしっかりつむって待ってる。

アリサさんの声が聞こえた。


「〈白色の層へ我らを導け〉」


一瞬、体がふわっとした。

けどそれ以外に何か変わった様子はないみたい。


「着きましたー。

 もうー、目を開けてもー、大丈夫ですよー。」


目を開けると…とっても良く似た部屋にいた。

同じ床の模様の、同じ円の中に立ってる…

目の前の壁にも左右の壁にも後ろの壁にも扉がある…

ただ、灰色だった壁や床や天井の色が、白になってる。


「これって…?」

「転送陣ですよー。

 緑色魔法をー、固定化してー、マナを送り込むことでー、起動させていますー。」

「ほへ…??」

「そうですねー…

 [魔結晶マジッククリスタル]のー、大がかりなものー…でしょうかー?」


…うん、あんまり考えないようにしよう。


「白色の層はー、光に関する魔法とー、治癒に関する魔法とー、精神に関する魔法をー、研究する研究室がー、ありますー。

 あとー、ギルド長の部屋がー、あるんですー。

 わたしがー、魔法を習ったー、お師匠様はー、精神に関する魔法をー、研究しているんですー。」

「アリサさんの先生なんですね。」

「はいー、まずはそこにー、行きましょうー。」


アリサさんの先生っていうと、アリサさんよりすごいのかな…

どんな人だろう、ちょっとどきどき。


アリサさんは4つある扉のうちの1つに近づいていく。

あたしも後を追ってついていく。

扉には『精神系魔法研究室』と書かれた小さなプレートが付いていた。

アリサさんがその扉を開けると、通路がのびていて、いくつか扉も見えた。


「お師匠様のー、お部屋はー、奥から2番目ですー。

 行きますよー。」

「あ、待ってくださいっ。」


アリサさんが歩き出したので、あわてて追いかける。

通路はそんなに長くなくて、扉は左右に2つずつと、突当たりに1つある。

アリサさんと一緒に奥から2番目の扉の前に立った。

アリサさんが扉をノックすると、部屋から返事が返ってきた。


「はい、どうぞ。」

「アリサですー。

 失礼しますー。」

「し、失礼します。」


アリサさんについて部屋に入ると、そこは大きめの机があって、壁際にはいくつも本棚がある部屋だった。

机の上にはいくつも本が広げられていて、イスに座ったおじさんが本を読んでる。


「お師匠様ー、ただいま戻りましたー。」

「お帰り、アリサ。

 そちらのお嬢さんは?」

「以前にー、お話したー、白枝亭のー、ミアちゃんですー。」

「ああ、なるほど。」


そういっておじさんは立ちあがった。

背が高くて、ちょっと髪の毛は白髪混じり。

んー…ラルフさんのお父さんのボルトさんよりも年上かな?


「はじめまして、わたしは精神魔法研究のまとめをしているジョルジュと申します。」

「あ、ミアです。

 よろしくお願いします。」

「君は白色魔法が使えるそうだね。

 ギルドには所属するつもりがないみたいだが、また何かあればいつでも相談に来るといいよ。」


うん…とっても丁寧な感じがする。

アリサさんの先生だし、当然っていえば当然なのかも?


「さて、何か用事があってきたのだろう?」

「はいー、午前中にー、[根源たる色彩]のことでー、ギルドにお客様がー、いらしたと思いますー。」

「ああ、報告は受けている。

 わたしは直接見ていないが、赤と契約を結べたそうだね。」

「実はー、わたしもー、直接見ていないのですー。」

「ふむ…それでは赤についてのことではないのだね?」

「いえー、赤についてですー。」


…えっと、何か話がかみ合ってるのかかみ合ってないのかよくわかんなくなってきた。

でも、ジョルジュさんは怒るでもなく、ペースを崩さずに会話を続けてる。

アリサさんのペース、よくわかってるんだよね、きっと。


「ということは、ミアさんと何か関係があるのだね?」

「そうですー。

 実はー、ミアちゃんがー、赤に触れたときにー、契約の儀式なしにー、契約ができてしまったみたいなんですー。」

「ほう……何だって?!」


ふんふんとうなずいていたジョルジュさんが急におっきな声をあげたから、あたしはびっくりした。

けど、アリサさんは特にびっくりした風でもなく、何も変わらず…すごい。


「お師匠様ー…」

「ん、何だね?」

「急にー、大きなー、声を上げるとー、びっくりしてしまいますー。」


…びっくりしてたんだ。

全然見えなかったけど…


「ああ、すまないね。

 だが…このことは、午前中の来客者からギルド長に伝わっているのかな?」

「どうでしょうかー…

 お話してるとはー、思いますがー…」

「ふむ…すまないが、アリサもミアさんも、少し来てもらえるかな?

 ギルド長に直接確認をとっておいた方がいいだろう。」


何か、大変なことになってきた気がする…

あたし何もしてないのになー…

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