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モノクロームの夢の中から  作者: 彩霞
1章 白枝亭での毎日
70/130

69 今日は特別?

今日もいつも通り目が覚めて、いつも通りの朝が始まった。

窓を少し開けると、さわやかな風が感じられる。

んー、今日もいい天気になりそうだね。


服を着替えて下に降りると、ちょうどマリーさんも食堂に入ってきたとこだった。


「おはよーございます!」

「おはよう、今日もバッチリみたいね。」

「バッチリです!」

「それじゃ、準備に取り掛かりましょ。」

「はーい。」


布巾をしぼりに厨房に入ると、クルトさんももう仕込みの真っ最中。


「おはよーございます!」

「ああ、おはよう。

 今日もミアは元気いっぱいだね。

 しっかり頼むよ。」

「はーい。」


返事しながら布巾をしぼって、食堂に戻る。

テーブルとカウンターを布巾でふきあげれば、ここは準備完了だね。


「はい、じゃあとはわたしやっておくから、クルトの方を手伝ってきてね。」


残り少しをマリーさんに任せて、厨房に戻る。

クルトさんがあまり動かなくてすむように、お皿とかの準備を先にしちゃおうかな?

そう思って棚に向かって、いつものお皿を準備した。


「あ、ミア、今日はもう1つお皿を出してくれるかな。」

「もう1つ?」

「うん、その上の右側のところに片付けてあるやつにしようか。」


朝にこんなに食器並べることないのにどうしたんだろ?

今日は特別メニューかな?


「さて、そろそろお客様が降りてくるころだね。

 こっちはいいから、食堂の様子を見てきてくれるかな?」

「はーい。お客様が来たら、運ぶ方に回るね。」


そう言って食堂に戻ったけど、今日はお客様があんまり来てないみたい?

いつも常連さんがこのくらいには来てる人が何人かいるのに少ないよね…


「あ、ミア、順番にお願いね。

 手が足りなくなったらわたしも回るから。」

「はひ…?」


いつもならマリーさんが運ぶ方に回ることはほとんどないのに、お客様が少なそうなのにどうしたんだろ…

とりあえず、厨房に戻って順番に運んで行こうとしてびっくりした。

いつものお皿に、いつもよりたくさん盛り付けてあって、さらに別のちょっと小さいお皿にも…


「今日はちょっと運ぶのが大変だろうけど、頼むよ。」

「クルトさん、これって…?!」

「ん?…あ、そうか。

 ミアはもしかして日食のことを覚えてないのかい?」


日食…って、とりあえずそれ以外もだけど覚えてないよ…

むーってなってるあたしに、クルトさんはとりあえず運んできてって。

うん、お客様を待たせちゃだめだよね。


食堂まで運んでいくと、お客様もだいぶ増えてて、いつもと同じ感じになってた。

あ、そっか、今日のメニューだと、あたしだけじゃきっと運ぶの間に合わない…

マリーさんが言ってたのはこのことなんだね。

とにかく、できるところまではやらなきゃ!






結局、途中からマリーさんにも運ぶのを手伝ってもらって、何とか配膳できた。

お客様も今日は少し遅い感じがするけど、みんなたくさんのご飯をしっかり食べてる。

そして、いつもより少し時間がかかる感じで朝の食堂営業が終わりになった。


「ふぅ、お疲れさま。

 わたしたちも早く食べてしまいましょ。」

「ああ、厨房の方に用意してあるよ。」


みんなで厨房に行くと、お客様に出したのと同じ料理、だから量もいつもと違ってすっごく多い。

食べきれるかな…?


「今日はどーしてこんなにたくさんご飯あるの?」

「そうだ、日食のことがミアはわからないんだったね。

 今日は昼間に太陽が隠れる日なんだ。」

「ええっ?!それって…」

「心配することはないよ。毎年あることだから。」


でもでも、おひさまが隠れるって…

それに、このいっぱいのご飯との関係もわかんないし、って思ってたらマリーさんが説明してくれた。


「おひさまが隠れてるときはね、お仕事とかせずに、家でじっとしているのが習わしなのよ。

 だから、今日はお昼ご飯を誰もつくらないから、朝にたくさん食べるのよ。」

「そーなんだ…じゃ、ちゃんと食べないとだめなんだね。」


お昼がないって思うと、食べれそうな気がしてくる…

でも、家でじっとしてるって退屈そう。


「日食のときは何もしちゃだめなの?」

「そうね…仕事はしないけど、それ以外に特に何かしちゃだめってことはないわ。

 もちろん緊急のときや、休んでられないような仕事する人もいるわよ。

 衛兵もそうよね。」


そっか…衛兵さんが休んでるときに何かあったら街は大変だもんね。

それじゃ何でお仕事休むんだろ…?


「別に夜にお仕事する人もいるから、お日様隠れててもお仕事してもいいと思うのに。」

「なるほど、ミアの言うことはもっともだね。

 だけど、これにはちょっと理由があってね。

 実は日食は神々の争いのときに始めて起ったと言われているんだ。」

「ほへ…神さまがしたのかな?」

「そうかもしれないね。

 あるとき、昼間に力が強くなる光の神に対抗するために、闇の神が月に頼んで太陽を隠したんだそうだよ。

 そうして昼間でも夜のように闇の力が強まるようにしたそうだ。」

「じゃあ、闇の神さまがどんどん強くなっちゃうの?」

「ところが、月はあまり長い間、太陽を隠していることができなかったみたいで、次第に太陽が見えるようになってしまったんだ。

 そうすると今度は、日食の間、しっかりと力を蓄えた光の神が有利になったって言われているんだよ。

 その逸話から、闇の神の陣営に属した者たちにとっては、日食中はとても神聖なものとしてその一時を過ごし、光の神の陣営に属した者たちは、日食が明けるまで力を蓄えるという意味で、その一時を安らかに過ごすようになったということなんだよ。」

「ふーん…」


何だかすごいお話だよね…お月様動かしちゃうなんて。

とにかくゆっくり過ごしてればいいみたいだし、それまでにご飯食べちゃわないとね。


「あら、ミア、あんまり急いで食べると…」

「うぐっ…」

「ほら、のどに詰まっちゃったじゃない。

 はい、これゆっくり飲んで…」


マリーさんにお水をもらって、ほっと一息。

はー…急いでてもちゃんと落ち着いて食べないとダメだよね…

いつも読んでいただいてありがとうございます。

7月から初めて、2ヶ月ちょっと、昨日でユニークアクセスが2000を突破していました。本当にありがとうございます。

これからもマイペースなお話になると思いますが、お付き合いいただければ幸いです!

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