13 あったかい
「こんにちはー。」
「あら、いらっしゃい。できてるよ。ちょっと取ってくるから待っててね。」
そういうと武器屋のおばさんは奥に入っていった。
注文の日からもう3日。もうできてるだろうってことで、今日はお出かけ用の服を取りに来たんだ。
「はい、じゃあこれね。合わせてくれるかい?」
服を受け取って、試着室に入る。
しっかりとあたしに合わせてくれてあるから、前よりも着るのが楽になってる。
「着れましたー。」
「よし、じゃその場でゆっくり回って…うん、右手を上げて…左手も…大丈夫そうだね。」
あたしが動くのをじっと見ながらおばさんは満足そうにうなずいた。
「それじゃ、元の服に着替えてね。」
試着室に戻って、普段着に着替えてると、男の人の声が聞こえた。
「母さん、注文いってくるね。」
「はいよ、気をつけて。」
息子さんかな?おばさん1人でやってるわけじゃなかったんだ。
着替えが終わって出ていくと、おばさんは冒険者の服をきれいにたたみ直してくれた。
持ってきた小袋に手を触れて、出てくるときのことを思い出した。
「ミア、今日はあたしはついていってあげられないけど、もう仕上がってると思うし、今から服を受け取りに行っておいで。」
「はい、いってきますー。」
「こらこら、今日は手ぶらじゃダメよ。」
そういって、小さな袋を渡してくれた。
受け取って持ち上げると、中で金属が触れ合ってチャリチャリなってる。
「あ、これ…。」
「うん、支払いもしなきゃね。」
「え、でも…あたしお金持ってなかったんだよね…。
マリーさん…ごめんなさい。何も考えずにお出かけしたいなんて言ったから…。」
あたしが余計なこと言わなきゃ、無駄なお金を使うこともなかったんだ…。
そう思ったら、何か涙が出そうになった。そんな顔も見せたくなくって、うつむいてしまう。
あたしの頭を、ポンポンとマリーさんがなでて、そのままぎゅっと抱きしめてくれた。
「ミア、あんたはほんとにいい子だね。でもね、このお金はあんたのお金だよ。
毎日毎日、うちでがんばってたじゃない。」
「えっ、でも、ずっと泊めてもらってて…ご飯とか…。」
「もう、そんなことまで心配して…。
大丈夫、あたしもクルトも、ミアが来てくれて本当に助かってるし、むしろ受け取ってもらえなきゃちょっと困るんだけど、ね?」
マリーさんがあたしの顔を覗き込んでにっこり笑ってくれた。
すっごく嬉しかったのに、どうしても涙が止まらなくなったあたしを、マリーさんはまたぎゅってしてくれた。
そのあと、落ち着くまでしばらく抱きついたまま、グスグスしちゃったんだよね。
マリーさん、あったかかった…
「さて、できたよ。」
「はひ?!え、えと…おいくらですか?」
「あー、そうだね。マリーの注文みたいなもんだし、40でいいよ。」
小袋から、10枚銀貨を4つ出して、おばさんにわたす。
「はい、確かに。また何か入用になったら相談しにきてね。」
「ありがとうございました。」
「マリーにもよろしく伝えておくれよ。」
おばさんのお見送りを受けて、お店を出たあたしは、両手に服を抱えて歩きだす。
早く帰って、マリーさんとクルトさんに服を見てもらいたい、何だかそんな風に思ったから。
何だかちょっといつもより早足で宿へ向かっちゃいました。
いつも時間がバラバラですみません…