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モノクロームの夢の中から  作者: 彩霞
2章 力の解放
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129 帝都へ

少し紫がかった薄暗い感じの空、まばらに木が生えてる野原の中の街道を、大きな馬車に揺られながら進む。

あたしたちは乗合馬車で、エルメート帝国の帝都ハーメステルグに向かっていた。

気分はおひさまが沈んだ後の夕方っぽいけど、まだまだこれでお昼前。

ちなみに今日のお天気は、雲一つない晴れ。

その証拠に、ちゃんとおひさまが頭の上の方に輝いている。

ここはアンフィト大陸、闇の女神さまの加護を受けた場所なのです。


結局、あたしたちは今、みんなで一緒に行動している。

っていうのも、あたしの向かう[純粋なる黒パーフェクトブラック]と、ハーメステルグに行くための道が、しばらくは同じだからだ。

一応、フィランダーさんたちが帝国に協力をお願いするために、ギルドを通じて連絡した上で、直接行くことになったっていうのが建前だとおもう。

アンフィト大陸に渡って、いきなりあたしを放り出すのが少々(だいぶ?)心配だったからっていうのは、さすがのあたしでもひしひしと感じちゃったよ。

だって、最初の予定では、フィランダーさんたちは、[永久なる青エターナルブルー]を探すはずだったんだから。

それなのに、急に昨日の晩ごはんのときに、帝国に[高鳴る黄ランブリングイエロー]のことをお願いしてからにするっていうんだもん。

昨日の晩、ぼそっと「信用されてないのかなぁ…」なんてつぶやいたら、ミディアドーレとレアさんから「「それはそうでしょう。」」って同時にツッコミをもらったんだよね。


ところで、初のアンフィト大陸(もしかしたら以前の記憶にはあったのかもしれないけど)は、リュシア大陸よりも暗い感じがするところだった。

っていっても、別に寂しいとか、怖いっていう感じはしなくて、むしろやさしい暗さ…って自分で言っててもよくわかんないけど、嫌な感じはしないところだった。


「そういえばミアちゃん、こっちに渡ってもあんまり落ち着かないとかないわね?」

「ふぇ…?そですか?けっこうドキドキしてるけど…」

「ええ、でも初めてリュシア大陸から来た人って、みんなそわそわするっていうか、落ち着かないっていうか、そんな感じになるんですって。」


ふふっと笑いながらあたしに声をかけてくれるレイアさん。

歩きながら説明してくれたことによると、それぞれの大陸は光と闇の陣営に属したものが住みやすい環境になってるみたいで、異なる陣営の大陸に初めて入ると、何だか落ち着かないっていう話だった。


「わたしもリュシアに渡ったとき、何だか落ち着かなかったもの。

 エメットもそうだって言ってたわ。」

「ティスミア様はどちらにも属していない、からですね。

 まあ、それ以前に神族ですからそのような影響を受けることはありませんが。」


返事をしたのは、さっきまでフィランダーさんと打ち合わせしてたはずのレアさん。

いつの間にかあたしたちの横から会話に入ってきてた。

それを聞いて、レイアさんと一緒に「へぇ」ってなってたら、ミディアドーレがため息ついてた…何で?


「先程、フィランダー様とも相談したのですが、このまま全員で一度帝都に入った後、すぐに別行動となります。

 フィランダー様も、わたくしが同行するのであれば問題ないと仰られたので。」

「あれ、そうなんだ…レアさんは信用してもらえてるんだねー…」

(主は記憶を失っておられるのだから、仕方がないでしょう。

 そんなことで拗ねていては、世界の危機などに対処はできませんぞ。)


何かちょっとおもしろくないなぁ…って思ったんだけど、これまたいつの間にか足元に来てたミディアドーレに諭された。

でも、そうだよね…何か変な意地はっちゃったかな…


「レアさん、ごめんなさい。

 ちょっと八つ当たりみたくなって。」

「いえ、お気になさらずに。

 とにかく今はしっかりと力を蓄えておいてください。」


レアさんに謝ると、ちょっとだけ驚いたような顔をした後、笑ってそういってくれた。

そんなレアさんを見て、ミディアドーレが何かつぶやいたけど、あたしにはよく聞こえなかった。

レアさんはミディアドーレをにらんでたけど…何言ったんだろう?


しばらく進んだところで、馬車がゆっくりと止まった。

何かあったかな?ってちょっと身構えたんだけど、馭者さんからの「ここで一度休憩です。」って声に、力が抜けた。

どうやらお昼休憩みたい。

ずっと座ってじっとしてたから、何だか体が固まっちゃったみたい。

うーーっと伸びをすると少しほぐれて気持ち良かった。

でも、おしりはちょっと痛い…クッション借りてたのに。


「一度降りましょうか。

 エステルたちも降りてきてると思うわ。」

「はーい。」


レイアさんの誘いに元気よく返事して、後について馬車を降りた。

あたしたちが着いた港町ディムドと帝都エルメートは、馬車で2日の旅になるみたい。

たくさんの人が行きかう道だから、整備も進んでて、馬車の旅としてはずいぶんと楽なところみたいだけど、それでも大変なんだねー。

今回は馬車3台での旅で、人を乗せるためだけの馬車なんだって。


「レイアー、ミアちんー、こっちこっちー。」

「そんなに叫ばなくたってわかるのに…」


向こうで大きな声をあげてるのは、もちろんエステルさん。

隣でエメットさんがため息ついてるのが見えた…大変そーだね…

とりあえず無事(?)合流を果たして、お昼ごはん。

朝、宿でみんなの分をお願いしてたんだよね。

ちなみに、夜はちゃんと泊まるところがあるんだって。

何でも、あまりにたくさん往来があるから、宿場町ができてるってことで、とっても快適な旅みたい。


「いただきまーす。」

「もうお弁当開けてるし…」

「うぇふにひーひゃにゃい。」

「口に物を入れたまましゃべらない!」


エステルさんとレイアさんの掛け合いが始まった…

あたしもお弁当食べよっと。

さすがは港町のお弁当だけあって、魚介類が豊富なのかな?

ミディアドーレにお魚を見せたけど、ぷいってされた。

何かすねちゃったかな?って思ったんだけど、横で見てたレアさんが何か笑いをこらえてた。

…ま、いいよね?

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