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恋と死刑の始まり

 灰色のコンクリートに囲まれた死刑場。その中央に立つ十字架には、囚人服を着せられた男が目隠しされたまま固定されている。腕は横に真っすぐ伸ばされている。首に彫られた赤字の囚人番号が目に入る。真新しい。

 アタシはその男を起こす。

「っ——」

 目を覚ました男が、首を動かす。アタシに気づいたのか口を開くが、その寸前に監獄全体へ向けたアナウンスが始まる。

「ただいまより、昨日、獄中殺人を犯した男の死刑を執行します。繰り返します——」

「——こんなのがまかり通っていいはずない!」

 自身の危機的状況に気がついたのか、男は叫んだ。アタシはすでにそれを見てゾクゾクしている。目隠しというギミックは、やはりそそるものがある。

 死刑場にアナウンスが響く。

「1082番、今回はマジックミラーの内側に、他の監獄の署長と、国の関係者がいます。それを踏まえて、いい死刑を執行してください」

 署長と、国の人たち。つまり、公開処刑ってことだ。

「——運がいいね」

 アタシは嬉しさを抑えきれずに、ニヤニヤしてしまう。男は黙ったままアタシの方に顔を向ける。

「だって、みんなに見られてなんて、興奮するよねぇっ! キャハハハハ!」

 アタシは今、最高に興奮している。死刑場に響き渡る自分の狂った笑い声が、そう感じさせる。

「——こんなの絶対間違ってる! おかしい!」

 男は抗議するも、無情にもアナウンスは流れる。男の名と性別、年齢などが読み上げられる。そして、

「——死刑、執行」

「あり得ない! ダメだ! 間違ってる! こんな制度、許されるわけがない!」

 男が必死に唾を飛ばして叫んでいる。なんていい光景だろう。アタシは身震いする。

「アタシ、——ずうっと処刑したかったんだ」

 斧を引きずる音をわざと立てながら、男の周りをゆっくりと歩き回る。

「ホント、夢が叶って嬉しいよ」

 斧を担ぎ、振り下ろす。絶叫が部屋中に響く。斧を振り切り、切断する。絶叫。振り下ろす。振り下ろす。振り下ろす……。

 アタシは今、最高に幸せだ。

 大好きな人の脳天に、全力で、斧を振り下ろした。

「キャハハハハハハハハハハハ——!」

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