第1章「転入生」(3)
「もしかして、あなたも転入生ですか?」
クラスメイトの1人が彼女に尋ねてみた。
「そうですよ!僕もあずまさんと同じ転入生の加藤鈴乃です!」
私は一人称が「僕」の女の子を初めて見た。
それはどうでもいいとして、大きな声で加藤さんはそのクラスメイトに言葉を返した。
あと、加藤さんも転入生の1人であることがわかった。
「あの子、声デカいなぁ!」
「ちょっと瑠琉、声大きいよ!」
瑠琉も大きな声で私に言ってきた。
それがやっぱり聞こえたのか加藤さんが私と瑠琉の方に近いづいて詫びた。
「声大きかったでしたか、それは申し訳ありません」
「いえいえ、大丈夫ですよ。私は気にしていませんので」
「うちあんたみたいな声の大きい子好きやで!」
「ちょっと瑠琉は黙ってて!」
「えー・・・」
はははと加藤さんはさわやかに笑っていた。
すると加藤さんは私の方に近づき質問をしてきた。
「そういえば、君の名前は?」
私は初めて転入生とお話できると確信した。
「東山です。東山希々です」
「はいはい!うちは希々の親友の白石瑠琉でーす!」
「へぇ・・東山さんと白石さんですか」
「はい」
「今昼休みなので、ちょっとこの学校をぶらっと廻りたいのですが、何せこの学校のことをよく知らないのでちょっと案内していただけませんか?」
「え?」
現在時刻は13時丁度。次の授業は13時30分からなので、あと20分くらいは案内できる時間がある。
私は願ってもいなかった転入生とゆっくりと話せるチャンスが訪れた。
「ええ、大丈夫ですよ!」
「本当ですか?ありがとうございます!」
「あ、ウチも付いて行って大丈夫?」
「勿論です!構いませんよ」
「ありがとう!」
「ではあずまさんも一緒に行きませんか?」
「ええ!」
「え?太浪さんも?」
こうして私と瑠琉は、残りの昼休みの時間を使って加藤さんと太浪さんに学校を案内することとなった。