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告白

 年も明けた正月三が日。

 俺と一ノ瀬さんは初詣のため神社に来ていた。

 一応有名どころで、かつ縁結びにもご利益がありそうなところをチョイスしておいた。

 神頼みというのは好きでないが、すがれるものにはすがっておきたい。

 今日は絶対に俺の気持ちを伝える。

 駅に到着すると、改札を出たところに一ノ瀬さんの姿があった。

 

「お待たせしてごめんね、あけましておめでとう」

 

 そう声をかけると彼女は明るい笑顔で返事をした。

 

「あけましておめでとうございます。六本木さん。今年もよろしくお願いしますね」

 

 服装はいつも通り、美しい。寒くなってくると華やかでいいよな。

 振袖姿も見てみたいものだ。

 

 二人で神社に向かって歩いていく。すぐに目的地には到着した。

 

「すごい人ですねー」

 

「そうだな、実は初詣とか来るのは久しぶりだよ」

 

「私も普段は実家の近所の小さい神社に家族で行くくらいなので、こういう大きいところに来るのは久しぶりです」

 

 二人でお参りをした。彼女と一緒に5年玉を投げ込んだ後、こっそり1万円も入れておいた。神様頼む、円満にしてくれ。

 

 おみくじも引いた。驚くことに二人とも大吉であった。

 商売繁盛、期待できそうですね!と二人で盛り上がった。

  本心では縁談の方しか関心はなかった。


「時間も時間だしこの辺りで昼食でもとっていこうか」


 ここが勝負だ。木村のアドバイスによれば、警戒心がないところに切り出すのがいいそうだ。

 緊張で手が汗ばむのを感じた。


 ◇

 

 

「このおまかせコースでいいかな」

 

「色々食べられていいですね、そうしましょう」


 適当に入った洋食屋でメニューを見ながら話す。

 おまかせコースはリーズナブルな価格で結構品数があったのでそれを選んでみた。

 

  店員さんを呼んで、注文するとコースの内容を教えてもらえた。

 すると電話が鳴った。

 

「あれ、妹から電話だ。ごめんね」

 

 間が悪いことに電話がかかってきた。どうせ大した用事じゃないだろうが、出ておかないと面倒だ。


 そういって席を立つ。

 一ノ瀬さんの様子をちらっと見たが店員と何か話をしているようだった。


 妹との電話を終えて席に戻る。くだらない内容だったが、おかげで緊張は少し溶けたということもあって、気軽に話を切り出すことができた。

 時間が経つと決意が鈍る。思い切って俺の気持ちを打ち明ける。

 

「一ノ瀬さん、今日はちょっと聞いて欲しいことがあるんだ」

 

 改まっていったいなんだろうと不思議そうな表情をする彼女。

 やっぱり緊張してきた。喉が乾く。

 

「実は、気づいているかも知れないけど……好きなんだ」

 

 ひどく驚いた様子の彼女。やはり気づいていなかったようだ。

 自分では分かりやすく好意を伝えていたつもりではあったが直接言わないと伝わらないこともあるな、と思った。

 

「意外でした……」

 

「そうかな、自分では伝えていたつもりだったんだけど」

 

「あんまり好きって言う方を見たことがなくて……ちょっとびっくりしちゃいました。苦手な方多くないですか」

 

「そんなことない、誰だって好きになると思うよ」

 

「……珍しいですよ」

 

 謙遜だろうか、彼女くらい素敵な女性だったら、普通の男は放っておかないだろうし。もしかしてそういうのは鈍い方なのだろうか。確かに聞いたかんじだとしばらく彼氏もいないようだったし。

 

「一ノ瀬さんの気持ちも聞かせて欲しい、どう思ってる?」

 

 考えこんでしまう彼女。どうにもいい反応とは言えない。嫌な予感がした。

 

 

 

「私は……はっきり言って好きではないですね」

 

 目の前が真っ暗になるような感覚に陥った。

 

 ざんねん!

 わたしのぼうけんはここでおわってしまった!


 てか?

 

 なんで先走ってしまったんだろう。

 俺の気持ちを知られてしまった今、これから友人関係を続けていくのも難しいだろう。

 恋人になりたいなんて身の丈に合わないことを考えた罰だ。

 

 でもこれでいいのだろうか、これで終わってしまっていいのか。

 彼女に対する気持ちってそんなものだったのか。

 

 これから彼女以上に好きになれる人に会える気はしない。

 

 だったら、答えはひとつだろう。かっこ悪くたっていい。

 俺はカラカラに乾いた喉の奥から、必死に言葉を搾り出した。



 

「どうしたら好きになってもらえるかな」

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