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仮想の現実は無法地帯  作者: 雪斎拓馬
仮想の現実は無法地帯 上
12/55

第二話 「悪魔は日常に潜む」 3

    3


 蔵里英司は無法地帯で目覚めた。彼もこの自由世界という麻薬の中毒者なのだ。しかし彼の禁断症状といえば尋常ではない。他の人間の比ではない。

 最近はトワイライトゲートへ引っ越した。最初は悪人の集まりだと聞いたが、訳あってこの街へ移住することに決めた。

 彼が()()()から行うことと言えば監視だった。現段階では情報収集である。情報が少ない、まだ早い。彼は計画的に物事を進める性格の持ち主である。自分の衝動に逆らえない嫌いがあるが、衝動がない限りは物事を計画に進める。その為、現実世界では公務員という安定した職業に就いている。

 監視していた建物から二つの人影が現れた。彼の監視は別に誰かの依頼というわけではない。むしろ、誰にも依頼されない方がそれこそ自由である。男と女だ。人影は何かを話し、共にどこかへ消えて行った。

「男と餓鬼か」英司は不気味に笑い呟いた。「別に餓鬼でも良いが、可愛げがないのが残念だな、普通過ぎる」

 英司は双眼鏡を再び覗いた。彼の最近の日常は監視に変貌してしまった。無法地帯とは麻薬であり、人を変える。化物になる者がいれば、死人になる者もいる。きっと、彼の場合は「悪魔」になったのだろう。もう少し具体的な言い回しをすれば「鬼」だ。

 双眼鏡に少し大人っぽい女性が映った瞬間、彼は思わず笑った。さて、私は動くとしよう。情報は十分だ。

 肩の()()はとっくに消えている。


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