9、チラシ
リーグ戦はさらに進み、残り3節となっていた。
3強の三つ巴となっているNリーグ
1位・東京エリーザ 14勝1敗
2位・神戸クイーンズ、浅草エンジェルス 13勝2敗
俺は毎週末の試合が楽しみで楽しみで仕方がなかった。
でも、少しは仕事も頑張らなくてはと思い
上客様のご機嫌伺いを兼ねて浅草にある豊美宝飾店をサプライズ訪問した。
礼子社長お勧めの時計を購入したらお昼は最高級の鰻重を御馳走になった。
どうやら、礼子社長はご満悦のようだ。
さて、出勤だ!と気合を入れ、浅草駅に向かった。
すると、サッカーのユニフォームを着た3人の女の子がチラシを配っている。
武藤ちさ 北原亜由 戸田葵 いつもの仲良し3人組だ。
(ちさちゃんだ!やべぇー!!どうしよう。
話しかけようかな…いや、俺のことなんか知らねーよな…
いきなり話しかけたら、マジキモイこいつとかなるよな…)
こんなモジモジしている自分が意外だった・・・
戸田が気づいたようだ。
「あっ!ちさユニのホストがいるよー」
「マジだ!ちさの方を見ながらブツブツ言ってるよ・・・」
俺は勇気を振り絞って3人組の方へ向かった。
「亜由、どうしよう。ニヤニヤしながらこっちに近づいて来たよ!
ちさに変なことするかもしれないよ!!」
「よっしゃ!私が股間を蹴り上げてやる!!おりゃーー!」
「こんにちはー!!」
ちさが元気のいい声で挨拶をしてきた。
「こ・こ・こんにちは…あ、あの…」
(あれ?なんで俺はこんなに緊張しまくっているんだ?全くしゃべれない…)
緊張している俺に、ちさが笑顔で話しかけてくる。
(なんて、素敵な笑顔なんだ、まるで太陽じゃん。)
「明日は東京エリーザとの大一番です。
勝てばエリーザに並びます!
でも負ければ…優勝の可能性が本当に低くなります。」
「勝ちましょう!もちろん応援に行きますから。頑張って!!」
「はい。一緒に戦って一緒に優勝しましょう!!
いつものように背番号15のユニフォームを着てくださいね。」
(え?いつものように背番号15のユニフォームを・・・
この子、俺のことを知ってる!よっしゃー!
知ってる!知ってるんだな!!!)
「はい。もちろん!着て行きますとも!!」
俺はルンルン気分ってやつで電車に乗り込んだ。
戸田と北原が安堵の表情を浮かべていた。
「ちさに何か変なことしてくるのかと思った…案外、いい人そうだったね。」
「そうだね。このイケメン殺し!フーフー!」
「ちょっと!亜由、股間蹴り上げるはダメでしょ…
サッカー選手なんだから・・・」
「ゴメン…蹴り上げて使い物にならなくなったら
ちさが困るもんねー」
「コラー!」
「あっはっはー」
ほんの少しではあるが武藤ちさと話すことが出来た!
よし!待ってろよ!東京エリーザ!!!