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天使のフットボール  作者: リリー
32/39

32、人間模様

レッドディア広島をホームに迎えての第6節。

入場待ちをしている間、俺は武藤ちさのケガの具合ばかり心配していた。

(今日は出場してくれるのだろうか…

ひょっとしたら欠場しちさを見ることは出来ないんじゃないか?)

そんなことばかり考えていた。


すると・・・


「勇気さん、おはよーございます。」

振り向くと幸一郎だった。

横にはジャージ姿の女の子が立っていた。

多少日焼けはしているがロングヘアが似合って可愛らしい。

さすがは№1ホストの妹だけあって美形だ。

「おぉ!マジで来たのか。」

「はい。妹が今日のオフを逃すとしばらく来れないって言うんで…」

「こんにちは。妹の可憐です!いつも兄がお世話になってます。」

「こんにちは。礼儀正しくて可愛らしい妹さんだな!」

「そうっすか?こいつ、高校の部活のくせに遠征とか合宿とかで忙しいんですよ…

この前も何とかって国に…なんか海外まで行ってるんですよ!」

「へー、最近の高校生はずいぶん恵まれてるんだな。ははは。」


入場し選手の登場を待った・・・


ちさが現れた!

(よっし!)

まぶしいくらいの笑顔で登場したちさの顔を見れて俺は本当に嬉しかった。

他の選手には申し訳ないが出場しなかったら帰ろうかと思ったくらいだ。



北原は観客席の幸一郎に気づいたようだ・・・

「綾香、幸一郎が来てる!!

よーし!ちょっとダッシュしてくるわ。おりゃーー!」


「あーぁ。張り切っちゃって…ねえ、葵。」

「うん…よっぽど嬉しかったんだろうね。」

「ニヤニヤし過ぎだよ…相当、ご機嫌だな。」


「なんで、亜由は良いの?」

ちさが八神と戸田のところへ来た。

「ギクッ!あ…ちさ。」

「なんで二人ともそんなにビックリしてるの?」

「してない!してない!ねえ、葵。」

「う、うん…」

「だから、なんで亜由はご機嫌なの?」

「いや、天気が良いからじゃない?快晴だし。」

「そんなんで機嫌が良いの?」

「た…多分ね。」

「亜由は晴れてると暑いから嫌なんじゃなかったかな…」

「さあ、ちさのケガも治ったことだし私達も張り切っていこう!」

「変なの…」



試合が始まるといつものようにちさが走り回っていた。

ケガの心配は全く問題ないようだ!

それよりも北原の張り切り具合が異常だった・・・

(北原、幸一郎が来てるから張り切ってやがるな…)

浅草エンジェルスは好調を維持しているようだった。

武藤と戸田のゴールで2対0で前半を終了した。


ハーフタイムで引き上げる北原の顔が明らかに不愉快な感じになっていた。

俺はふと幸一郎の方を見た。

(寝てやがる…あいつ、試合なんか全く見てないんだろうな)



「葵、亜由が機嫌悪そうだけど…」

「あのホストの人、居眠りしてるね。」

八神と戸田がひそひそ話していると…


「なんで亜由は機嫌悪くなったの?」

また、ちさが来た。

「うわぁ!ちさ。」

「え?なに?なんで今日はそんなに驚くの?」

「そ…そんなことない!驚いてない!」

「なんか怪しい…葵、今日のあやはおかしいよね?」

「ん…いつもと変わらないよ!」

「そう?まあ、後半もこの調子で頑張ろうね!」

「おう!」

(感が鋭い・・・)

(ふぅ・・・)

安堵の表情を浮かべる八神と戸田だった・・・



後半が始まっても幸一郎は眠り続けていた。


北原は相変わらず不機嫌そうな態度でプレーをしていた。

そんな北原のプレーっぷりに業を煮やした西田監督は交代命じた。

試合は3対0でエンジェルスが勝利したが後味の悪い試合となった!


「勇気さん、お疲れっす!」

「お前、寝てただろ…北原カンカンだったぞ!」

「これでもう店にも来ないし連絡もないでしょ?」

「えっ?じゃあ、お前わざと・・・」

「さあ、どうでしょうね?ははは。」

「そういうことかよ。ははは。」

(ピピピピピピピ!)

幸一郎の携帯音が鳴った。

「あれ、亜由ちゃんだよ…」

「マジか…」

「今日は退屈な試合をしてゴメンナサイ。もっと魅力あるプレーをするからまた見に来てね!

だそうです。勇気さん・・・」

「イケメンは何やっても許されるんだよな!ははは。」

「参ったな…じゃあ、妹を送るんで帰りますね!」

「おう!また店でな!妹さんも勉強になってよかったね。」

「はい。エンジェルスが勝ったし!とっても楽しかったです!それじゃ、さようなら。」

「うん、さようなら。またね!」

二人は仲良さそうに帰って行った。


「おう、兄ちゃん!」

「長老!お疲れです。武藤さんのケガは大したことなくて良かったですね。」

「そうだな!そういや~今、話してたのは知り合いかい?」

「後輩とその妹ですよ。」

「あの子は高橋可憐だろ?」

「高橋…長老、なんでアイツらの名字を知ってるんです?」

「何言ってんだい!高橋可憐だよ!!」

「幸一郎の妹は有名なんですか?」

「そうだよ!この前、U-17のW杯があって日本が優勝しただろ?」

「そういや、ニュースでやってましたね…」

「高橋可憐はそのチームの大エースで大会MVPまで獲得した選手だよ!」

「えーっ!マジっすか?そんなスゴイ子だったんだ…」

(高校生の部活程度と思ってたよ。そういや、海外がどうのこうの言ってたな…)

「浅草エンジェルスに来てくれねえかな。」

「エンジェルスの大ファンらしいですよ!」

「兄ちゃん、そりゃホントかい!」

「えぇ!来てくれたらいいですね!」

「そうだな!2年後を楽しみに待ってるよ。じゃあな!」

「そうっすね!じゃあまた!」



パッと見、ジャージ姿の普通の女子高生が世界大会のMVPか・・・

世の中分からないものだな…

そんなことを思いながらスタジアムを後にした。


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