31、先輩④
戸田葵の真剣な語りに俺と八神はつい聞き入ってしまった…
「戸田さん、ゴメンな。なんか重い話させちゃって・・・」
「いえ…」
「てかさ、現メンバーでは葵とちさ以外は誰も知らない話なの?」
「う~ん…麻衣さん!白田麻衣さんだけは知ってるかな。あの人は樹里さんと同期だし!」
「あ~、麻衣さんは口が堅いから誰にも漏れなかったのか…
なんか…そんな話、初めて聞いたからショッキングだったよ。」
「なんだ、八神にも相談なかったのか?」
「だって、私は高校1年くらいから疎遠になったし・・・」
「あ~!そうだったな・・・」
「そういや!中学生のとき、ちさがお姉ちゃんみたいな人がいるとは言ってたな…
それが西村樹里奈だったのか・・・」
「私は正直、樹里さんとは口も聞きたくないんだけど、
ちさは今でも仲直りしたいと思ってるんだ…」
「えっ!?仲直り?あのとんでもない女と?」
「あの女の根性は昔っから凄かったよ!エリーザのユースのときに何回か対戦したのは覚えてる!
当時は確かにズバ抜けて上手かったしキレイな子だった!」
「この前の試合でも一人だけ凄い気迫だったでしょ?
私は怖くて仕方がなかった…案の定、ちさはケガさせられたし。」
「まあ、そんな過去があったから葵とちさは仲良しなんだね…
私は怪しい関係なんじゃないかと疑ってたよ!ははは。」
「そんなんじゃないよ!」
「そういや、その…速水さんって人とはどうなったの?」
「エロホスト、なに気にしてんだよ!ウケる。」
「あ~、ちさがサッカーがあるから付き合えません!って断ったんだけど…
速水さんはそれならサッカーヤメるまで待ってる!って言ってた‼」
「じゃあ今でも速水さんって人は・・・」
「ううん…速水さんは大学生のときに病気で亡くなったらしいの。」
「えっ!そ…そうなの?」
「エロホスト!なにニヤけてんの?最低!!」
「あ~そう!!亡くなったの~!」
「テメー!マジ最低だぞ!!」
「聞いた話によると樹里さんは病院に通い続けて最後まで付き添ってたらしいよ・・・」
「なんか、西村も八神と一緒で寂しい女なのかもしれないな…」
「なんで!私が寂しいんだよ!ふざけんな!」
「まあまあ!すぐ口をとがらせて怒りやがる…はは。」
「あっ…綾香!そろそろ帰んなきゃ。」
「そんな時間か…エロホスト、お勘定!」
「今日は俺がオゴってやるよ!ははは。」
「うわ、最悪!まだニコニコしてやがる。しかもオゴるって…」
「お兄さん、ありがとうございます。」
「いいってことよ!あっ…北原さんも連れて帰ってね!」
「はーい。」
俺と幸一郎は3人を見送るために店の外に出た。
「幸一郎!今日は楽しかった~また来るね!」
北原はよっぽど楽しかったのか、かなりテンションが上がっており
大声で叫んでいた。
3人は大騒ぎしながら駅へと向かっていた…
「あ…ちょっと待ってて!」
葵がこちらへ駆け寄ってきた…
「ん!?戸田さん、どうしたの?」
「あの、さっき言ってた速水さんって~お兄さんにそっくりなんですよ!」
「えっ!」
「頑張って下さいね!じゃあ。」
そう言い残し葵は2人のもとへ戻っていった。
「葵、何を言ってきたの?」
「ひみつ」
「なにそれ~教えてよ!」
「イヤだよ~」
「もう!」
3人はキャッキャ言いながら帰って行った。
店に遊びに来てくれて喜んでくれるのはありがたいが俺達はホストだ…
幸一郎を気に入った北原のことが心配だった。
「あのさ、幸一郎。北原のことなんだけど…」
「あの人、サッカー選手らしいですね!」
「あぁ…」
「実は俺の妹もサッカーしてましてね…まぁ高校の部活なんですけど。
最初は女の子がサッカー?なんて思ってたんすけど
何をやらせても三日坊主の妹がサッカーに関しては楽しい楽しいって頑張ってるんですよ…」
「そっか!じゃあ…」
「妹、浅草エンジェルスの大ファンで亜由ちゃんにそれを言ったら妹宛にサイン書いてくれて。
今度、妹と一緒に試合でも見に行こうかなと思ってるんですよ!俺も勇気さんと同じで妹に甘いから。はは。」
「同じは余計だよ。」
「それにね…最近、情にもろくなっちゃって。
以前は客なんか金を持ってくる道具としか思ってなかったんですが…
最近は俺をNo.1にしてくれようとしてくれる人達を本当にありがたい存在だなって思うんですよ。」
「この野郎、中身までイケメンになりやがったな!ははは。」
「それに勇気さんは俺の憧れの先輩ですから…
じゃあ、まだお客さん待ってるんで!行きますね。」
「おう!頼んだぞ№1!!」
西村の話も驚かされたが北原のことが心配だった…
幸一郎にその気はないようで安心した…
(あっ…結局、ちさちゃんのケガの具合はどうだったのか分からず終いだった!)




