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五十話 始まる指導

 

 とうとう来てしまった、この時間が。

 はあ……。普通に頭が痛くなってきた。

 体調を崩したわけじゃなくて、多分病は気からってことなんだろうけど。


「じゃあ今日もまた私について来い」


 今ここで体調が悪いって言うのは無理だよな……。

 言えば休ませてくれるだろうけど向こうの心証を悪くなる可能性があるのと、そもそも頭痛はやりたくないことが原因だろうから、時間を空けてもまたやろうとしたときにも頭が痛くなるだろうし。

 それに僕はここに来るまでに、あまりにも特訓をやりたくなかったからやらなくてもいい理由を必死に考えたけど、やらない方が良くないという結論を出しちゃったからね。

 だって、どこにも頼るところがない僕にとって強くなることは生きる上で重要なことだし、結局逃げ出したらここでの居心地が悪くなっちゃうから。


「あの一つだけ聞きたいんですけど、いいですか?」


「何だ」

 

 ランニングを始めようとしていたところに声を掛けたからか、ドロレさんは少し不機嫌そうにする。


「多分昨日と同じことをするんですよね?」


「そのつもりだが、貴様の様子によっては次のステップに行くのもいいと思っている」


「……え?次のステップって……?もしかしてこれ以上のことをやらされるんですか!?」


「ええい!近寄るな!」


 僕は次のステップとか言う単語を聞いて動揺してしまい、近づいて問いただそうとしたら追い払われた。


「すみません。それであの、本当にこの後何やらされるんですか」


「まだ具体的なことは決めてない!何か聞きたいことがあるんだろ、早く言え!」


 本当に具体的なことは決まってないのか?具体的に何をやるかを決めてないということかな……?

 次のステップとは何なのか気になるけど、話すつもりもなさそうだし……。けど気になる。

 

「昨日の魔法を使っての走り込みと剣の素振りはどういう意図があるんですか?」


 次のステップについてまだ気になりながらも質問した。

 どういう意図があるかについてはなんとなく予想がついているけど、ドロレさんの口からどんな効果があるのかを聞いて納得したい。

 そうしないと特訓をやることに踏ん切りがつかないから。

 

「剣の素振りは貴様の太刀筋が無茶苦茶だから。走り込みについては、体力の向上というよりも身体強化魔法をなじませるためにやっている」

 

 太刀筋が無茶苦茶なのはルヴィエさんと特訓をしていた時には習わなかったからそりゃそうだろうなって感じだし、走った理由もただ体力を上げることに意味を持たせているのだとしたら魔法を使わせるのはむしろ逆効果だと思っていたから考えていたから予想通りの答えだった。


「魔法をなじませるっていうのは具体的にどういうことなんですか?」


 なんとなくは分かる気はするけど、明確には分からないので聞いてみた。 

 そのなんとなくも、合っているかどうかわからないし。


「貴様は身体強化をするとき、身体強化魔法を魔法として扱っているだろう?」


「まあ、そうですね」


「なら、身体強化をここで使ってみろ」


「分かりました」


 あれ?なんかちょっと魔法を使うことを意識しただけなのにすんなりと使えたな?


「どうだ?少し意識しただけで使えただろう?」


「はい」


「それは貴様が昨日ひたすらに身体強化を使ったことによって魔法の使い方が体になじんだことが原因だ」


「なるほど……」


 つまりは身体強化魔法が魔法を唱えて使ったというよりも、意識しただけで身体能力を上げる術といった感じで使えたということか。


「なら、素振りをしているときも身体強化を使わされたのもそういう意図があったんですか?」


「まあそれもあるが。単純に剣の振り方を覚えさせるという意図もある」


「え、でもあんなくたくたな状態じゃそんなの意味ないような気がするんですけど?」


 実際疲れすぎて何をやっていたかなんて覚えてないし。


「そんなことはない。むしろ極限の状態で太刀筋がしっかりとしていたら、平常時でも剣を振れるからな。そもそも剣なんて体で覚えるものだから頭で考えるものじゃない」


「……なるほど」


 一理あるんだろうけどさ、何その脳みそが筋肉でできていそうな考え方。

 確かにいつかは体が覚えるかもしれないけど、非効率な感じしかしない。

 もっと論理的に体の動かし方を教えるとかあるでしょ、と言いたいところだけどドロレさんがそういう考え方じゃない時点で、そんなこと言っても無駄なんだろうな……。


「もう質問はないか?」


「……はい」


 こんな拷問みたいな方法じゃなくてもっといいやり方があるだろ、という気持ちとここでそんなことを言ってもしょうがないという気持ちがせめぎ合った結果、「はい」という言葉が出た。


「じゃあ行くぞ。……何をしているんだ、早く来い」


 動き出さない僕にドロレさんが声を掛ける。

 ドロレさんがこっちを見ている。行かないと……。そうは思っているが、本当に動く気になれない。

 あと二週間しかないわけだし、その間だけ頑張ると考えれ――まだ二週間もあるのか……。


「はい、行きます」


 ……とりあえず、何も考えずにドロレさんの言うことだけに従うことにしよう。

 頭にリソースを使うぐらいなら、体を動かすためのエネルギーに取っといた方がいいだろうからね……。


高評価とかでなくていいので、評価してくれたらうれしいです。

マイナスなものだとしても、感想も書いてくれるとうれしいです。

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