表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雪月花  作者: 湯灯畳
63/92

第六十三夜 萌芽

額に、何か当たる。


目を開けると、猫が前足で、


顔をぽんぽんしていた。


 


雪は、変わらず降り続き――


兎は、変わらず腕の中に収まっている。


 


目を開けたまま、呆然と遠くの空を見る。


歩けなくなってから、どのくらい経ったのか。


 


ふと、雪の中に香るもの。


懐かしい、ふわりとした――


 


湯の香。


 


湯も、


力になる――


 


あのお湯が、


今も――


 


ようやく、


体を起こす。


 


薄く光を帯びた空。


降る雪にどこか、煌めきを感じる。


 


――お手伝い、


させてください。


 


知らない声。


 


……どこから――


 


見上げると、


ご神木の上――


 


一匹の猿が、


こちらを見下ろしている。


 


今、話……


 


――力に、


なります。


 


目の前。


 


……猫、も。


 


……


 


……だからもう、


そんな顔、


しないで。


 


腕の中。


 


じっと見る、


瞳。


 


……


 


皆――


 


お爺ちゃん――


 


私……


 


俯いて、


息が漏れる――


 


そして、


ただ、


頷いた。


 


遠く香る湯けむりが、


光の中を、


泳いでいた。


 


――第六十三夜・了

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ