第2話「トップ5」
1週間後、群馬県、特設サーキットピットガレージにて。
「大輝、どうだ?特設サーキットは。」
「市街地なだけあって、マシンが跳ねますね。クルマが壊れそうです。」
サーキット舗装は市街地と比べて路面の段差などが少ない。
「あ、あと、ランオフエリア(退避場所)もないんで、一発アウトですよね。」
「壁に囲まれたサーキットだからな。さっきも結構クラッシュあったよな。」
「そうっすね。1回目の前であって焦りました。」
「このあとの予選、行けそうか?」
「はい、バッチリです。セッティングも決まってます。」
「じゃあ、このあとの予選、期待しておくよ。」
予選が始まる。
いつもとは違い、予選開始とともにコースイン。
すぐに結果を残しに行く。
群馬の市街地を疾走していく。
高速かつ緩やかな右コーナーに差し掛かる。
「ぐぉっ、横Gキツ…」
横Gとは、コーナーに入る際、体が横に引っ張られるときにかかる力のこと。
これの力が上のカテゴリーでは凄まじいので、呼吸を止めてコーナーを曲がる選手もいるとも言われている。
最終コーナーへ。
フィニッシュラインを通過。
タイムはまだ誰も記録していないのでトップタイムを記録する。
ミラーを見ると後ろから速いペースで迫ってくるマシンが2台。
黄色いマシンが1台、黒に蛍光イエローのラインが入ったマシンが1台。HRN Grand PrixとTRP racingのものだ。
『ヒロキ、堀本と小林が上がってきた。この周は計測しなくていい。2台に進路を譲れ。』
「了解。」
進路を譲るためにレコードラインから外れる。
2台が連なって走っていく。
『次の周からもう一度計測しよう。タイヤにしっかり熱を入れておいて。』
「OKです。」
この周はウィービングをし、タイヤにしっかり熱を入れていく。群馬の11月の気温は低く、タイヤの熱も入りにくい。
しっかりと熱を入れられなかった結果が午前中のフリー走行でクラッシュしたマシンたちだ。
もう一回計測ラップに入る。
その時ふと、ファンたちが見る大型ビジョンが目に入る。
そこには自分のマシンとラップタイムが大きく映し出されていた。
「注目してくれてありがとね~」ニヤニヤしてしまう。
結果は3位。無事予選Q2、2回戦目に進出決定だ。ここに進めるのはデビューイヤーぶりだ。
「大輝、やったな。久しぶりの予選Q2進出だ。今年最後の大会、ぶちかましてこい。」
「了解」ニヤつきながら答える。
GOサインとともにピットを飛び出す。
計測ラップでは自分史上最高の走りを見せる。
セッティングも決まり、完全にマシンと一つになった気分だ。
ゴールラインを通過、結果は…
5位。
惜しくもトップ3には届かなかった。
『大輝、ポジション5、ポジション5。よく頑張った!過去最高のリザルトだ!』
「たぁ〜、トップ3届かなかったの悔しすぎる〜、でも、監督明日は魅せてやりますよ。」
『おう!この位置からのスタートならもしかするともしかするかもな。』
ピットに戻って来るとメカニックたちも祝福してくれる。
その時、奥の方からこちらを見ている男性が目に入った。
その人の着ていた服には様々なスポンサーロゴがあったが、そのデザインのウェアはどのチームにも属さないものだった。
誰だろう。あの人。ただのレース好きか。少し気になったがその後は気にもとめなかった。
今日の結果を受けてチームは宴状態だった。




