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英雄の異世界戦記〜敵を使役する異端な存在〜  作者: もぐのすけ
アクエリア大陸 剣聖編

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201/217

第八師武

「次に向かうとしたら…………」

「何ということだ。貴公の夢はここで潰えるのか、剣聖よ」

「え?」


 その場から離れようとした俺は、突然の声に振り返った。

 そこにいたのは巨大な緑色の体格をした鬼のような生き物。

 下顎から伸びた二本の牙が特徴的。

 俺が見てきた魔者の中でも異端。


「少ない時間ではあったが、何としてでも目的を達成しようとする気概、我は嫌いではなかったぞ」


 そう言って剣聖の亡骸を見下ろす魔者。


 こいつは普通の魔者じゃないな。

 もしや使徒か!?

 だとしたら上級魔人より厄介だ!


(やられる前にやるべし!)


 俺はポーチの中から青いビー球を数個掴み、地面に叩きつけた。

 中から下級魔人が現れる。


「ほう……魔人を使役するその力、貴公が噂の人間か。確か……ヤシロミナトと言ったか」


 !!

 俺の名前を!?


「噂されるほど……有名になっちゃいねーよ」

「いやいや、『番犬』がよく口にしていた。グロスクロウ、ローズフィリップを討伐した腕前の事は我らの耳にも入ってきている」


『番犬』って誰のことだよ。

 俺はそんな奴知らねーし。


「ここに貴公がいた事が、この男にとっての不運となったようだな。これほどの戦力を割いても、未だ目立った戦果が無いのは…………貴公のせいか?」


 とてつもない圧力が飛んできた。

 上級魔人のような意思のない威圧とはまた違う、明確な敵意を向けてきている圧力だ。


 それと同時に雨足が弱くなってきた。

 魔法の効果が切れ始めたのかもしれない。


「この国の人達の心が強かっただけだろう」

「心の強さでどうにかなるのであれば、己が力を磨く必要は無い」

「なら、あんた達よりも力があっただけさ」

「詭弁だな。しかしそれは、この場においても同じことが言えるだろう。力がある方が勝つ」


 魔者が背中に背負っていた斧を持ち出した。

 魔者の体と同じくらい、3m近くある巨大な斧だ。


「我は魔王ベルファイア様の配下、第八師武のフォルゲート。『番犬』には悪いが、ヤシロミナトはここで葬らせてもらう」


 第八……師武?

 アイラが言っていた魔王ベルファイアの10人の配下の一人か!

 使徒じゃないのは助かったが…………魔王の中でのNO.8!


「くっ! 行け!」


 俺の指示で下級魔人が咆哮を上げながら襲いかかった。


 召喚した魔人は全部で6体で全て下級。

 唯一、魔力を使わなくても使える俺の力。


 下級魔人の後を俺は、雷鳥を引き抜いて続いた。


「魔人と戦うとは斬新である。しかしてその肉体」


 ズゥオオオン!!


「まっことやわい」


 一振り。

 一振りで下級魔人2体が真っ二つにされた。

 まるで紙粘土だ。


「ふんっ!」


 続いてもう一体が真っ二つにされた。


「ぐっ! 正面切ってはまずいか!?」

「引くや良し。しかして、ここに来るまでに我が背後に何の策も講じていないと?」

「何っ!?」


 即座に後ろを振り返った。

 しかし、辺りには誰もいない。


「嘘だ」

「はっ!?」


 すぐ目の前で斧が振りかぶられている。


 雷鳥で受け止められるか!?

 でももし剣ごと叩き折られれば……死……!


「うおおおおおお!!」


 剣を横からなぎ、振り落ちてくる斧の腹に添え、攻撃を受け流した。

 少しでもズレていれば死んでいた。

 数多くの経験が、俺の体を突き動かした。


「ぬっ」

「ゴオアアアアアア!!」


 下級魔人の一撃が、フォルゲートの肩口に入った。

 フォルゲートは大きく吹っ飛んだが、倒れる事は無かった。

 下級魔人よりも大きな身体が、周りを小さく見せる。


 圧倒的な体格差。


「今のを受け流すのか……。我も驚きの一芸だ」

「芸じゃねぇよ……! くそっ。下級魔人の一撃も無意味ってか?」

「我の体を下級魔人などという低俗な生き物と一緒にするな。オーガと呼ばれる高貴な種族ぞ」

「知らんわ」


 瞬間、背後から風を切る音を感じ、俺は咄嗟に横へ一回転するように飛び跳ねた。


 ドッ!


「がっ!」


 右足に激痛が走った。

 足を確認すると、矢が深々と貫通していた。

 血が流れ出て、ズキズキとした痛みが足から脳へと繋がる。


「あれ。何でバレたかな。頭を狙ったのに、これだから人間の武器は嫌いなんだ」


 およそ30mほど離れたところに、赤い鎧を着た男がいた。

 いや、魔者だ。

 剣聖と一緒にいた奴らと同じ格好をしてやがる。


「おっとすまない。先程、嘘と言ったのも嘘だ。策は講じておいた」


 こいつ……!

 脳筋みたいなデカイ図体しておいて、頭脳プレーなんかしてんじゃねーよ!


「やっぱり魔法で仕留めるべきでしたよフォルゲート様」

「いや、油断は出来まい。ヤシロミナトは攻撃を弾くという情報もある。攻撃動作の大きい魔法では気付かれる恐れがあった。一手一手確実に詰んでいく」

「実力もあるのに恐ろしい限りですこと。それじゃ…………デスフレイム!!」


 黒い炎が唸るようにして魔者から放たれた。


「くそっ!」


 俺は痛む足をこらえながら、ひたすらに逃げた。


「あれれ? 弾きませんよこいつ。もしかして使えないんじゃないですか?」

「油断するなと言っている。そのまま追い込め。我は魔人を始末する」

「へーい。デスサンダー!」


 黒い雷が一瞬の間に襲ってきた。

 俺は何とか雷鳥でそれを受け止める。


「げっ! なんだありゃ!」


 雷鳥は雷を纏うことができる特殊な剣。


 雷の魔法であれば防ぐことができる。


「足一本の借りは返してやるよ…………! 飛撃!!」


 雷を纏った雷鳥から放たれた斬撃が、魔者へと飛んでいった。


 魔者はそれを素早くかわす。


(上級魔人を…………召喚すべきか?)

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