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英雄の異世界戦記〜敵を使役する異端な存在〜  作者: もぐのすけ
閑話

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英雄と呼ばれた少年7

 バネッサ・フォーリン・シルヴァード・バックスと別れた後、私は次に文献に記されていた『アンダーグラウンド』と呼ばれる国へと向かうことにした。

 しかし、そこから先の捜索は難航した。


 アンダーグラウンドと呼ばれる国は過去にも存在していないのだという。


 記載されている地点には、魔王ジェイドロード、そして魔王ベルファイアが支配していた『ゲヴィッター属国』と呼ばれる国があっただけだ。

 現在は魔者はいなくなり、残った建物などをそのまま人類が活用している状況にあったが、聞く人聞く人皆『アンダーグラウンド』については知らなかった。


 そこで私は方向性を変え、国とともに記載されている人物を探すことにした。

 その名前はリー・ウェイバー。

 本名はあまり知られてはいないが、その二つ名はスノウェイ大陸において有名であった。


 《拳闘獅子》。


 拳一つで立ち向かう孤高の武闘家。

 女性であった彼女は、その強さと性格の気性の荒さから男だと思っていた人も少なくはない。

 また、彼女は魔族だけでなく強い相手であれば誰彼構わず勝負を仕掛けるという獰猛な一面があることも有名である。


 しかし、晩年ではその噂も途切れてしまっている。

 戦うことに飽きたのか、または戦うことができなくなったのか。

 その真相について、私はとある民家で知ることとなった。



 ーーーーーーーーーーーーーーー



「ああ…………そうさ。アタシがリー・ウェイバーだ。この15年で、《拳闘獅子》としてのアタシに用があって来たのは貴様が初めてだ。何を聞きに来た?」


「ヤシロミナト………………《避雷神》……か。ああ、知ってるよ。知っていたと言うべきか。今じゃ顔も思い出せねぇ、不思議とな」


「アイツとは付き合いが長かった。アンダーグラウンドで初めて会った時は、頼りねぇというか弱そうというか。当時のアタシは他人の強さしか見てなかったからな」


「だが、いざ実際に戦ってみりゃ…………アイツは化け物だった。アタシや《剣聖》に引けを取らない身体能力や剣術、お伽話の四神が使う雷魔法、遠距離における特殊な武器を用いた狙撃。全距離オールレンジに対応した戦い方ができる異常な奴だったよ。格闘術は雑魚だったがな」


「魔王ローズフィリップも奴と討伐した。ほとんど《避雷神》がやりやがったけどな。アタシは一撃が精一杯だった。魔王に挑戦してやろうって、あの頃は息巻いていたのが懐かしいくらいだ。今じゃ考えらんねぇな」


「その後か? そうだな……しばらく奴とは会わなかったが、ある決戦の場で奴とは会ったな。その辺りも靄がかかったように思い出せねぇんだが…………まぁ殺し合うようなことはしてねーだろうよ。その頃からアタシは、戦いには拘らなくなったからな」


「今のアタシは、《拳闘獅子》なんて呼ばれるような女じゃねぇ。ただの二児の母さ。昔の知り合い共が聞いたら驚くだろうよ。『お前のような戦いに狂った獅子が母親!?』ってな。まぁ…………一方的に報告はしたけどよ…………………………墓の前でだがな」


「悪いが、そろそろ帰ってくれ。旦那と子供達が帰ってくる頃なんでな。あとそうだな……晩年の奴が何て呼ばれていたか、知ってるか? 『英雄』だよ」



 ーーーーーーーーーーーーーーー



 実際に彼女と話した感じは、とても獰猛なようには見えなかった。

 口は確かにぶっきらぼうで悪かったが、母性に溢れた母親といった感じであった。


 彼女が話した魔王ローズフィリップの討伐について。

 これは現在、魔王同士の衝突によって討伐されたと歴史上記録されている。

 だが、彼女の話が間違いないのであれば、歴史学における人魔戦記を書き換えなければならない案件だろう。


 情報の伝達が難しいこの世の中では、こういった新事実が発覚するのは少なくない。

 このまま『ヤシロミナト』という少年を追っていけば、これまでの勇者に関する記録が一新されるかもしれないのだ。


 学者として、この旅を途中で投げ出すわけにはいかない。

 この手記の最後に記されているページ、私はここまで必ず追い求めるだろう。

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