夏祭り2
――瞬間移動で現場につき、私はそっと目を開ける。
そこに飛び込んできたのは、飛び散る瓦礫と、逃げ惑う人々を執拗に追いかけるたくさんの妖魔。
「いや、どうしたらこうなる?いくら人が多いとはいえ、妖魔が多すぎないか?」
冷静に蓮くんがそうつぶやいた。
「本当に、せっかくの蓮くんとのお祭りを台無しにしやがって。本当に許さない!」
そう言って一歩前に出る。
「うん。そうだけど柚葉ちょっと落ち着こうね?でも、怒ってるのはこっちもなんだよねー」
ニコッと笑って一歩踏み出し、私の隣に立つ。
口元は笑ってるが、目が笑っていない。
結構こわい。
「やっちゃいますか?」
「ええ。でもその前に一般人の避難ね」
そう言って妖力で声を拡散させる。
「皆様に連絡をします。落ち着いて、本部テントの方まで避難してください。こちらはなんとかします。繰り返します。落ち着いて、本部テントまで避難してください。従業員の方々は避難の誘導をお願いします」
そう呼びかけると、一般人が本部テントの方に避難していった。
少しすると、人もまばらになってきた。
「そろそろいい?」
「ええ。もう建物も壊れているようだし? 今更もっと壊したところで費用だって変わらん! 全力で行くわよ」
こうなったらもうどうにでもなれと、思いっきり狐火を作っていき、死角がないよう蓮くんと背中合わせにしてたつ。
「行くわよ」
「ああ」
私たちは思いっきり攻撃を妖魔に当てていく。
実戦経験はあまりないが、対人戦とあんまり変わらない。
妖力を当てればいいだけのこと。
そういう考えを「脳筋」というのだろうが、まあ仕方ない。
「脳筋とでも何とでも呼びやがれ!」
「ごめん、なんの話?」
蓮くんに冷静に突っ込まれながら怒りに任せてどんどん狐火と風を合わせながら妖魔に当てていく。
「思ったより雑魚ばっかり!」
「そりゃ柚葉にとっては大体の妖魔が雑魚でしょ!」
叫びながら攻撃を撃つこと20分。
「片付いたかな?」
見える範囲にいる妖魔は撃ち倒したようだ。
瓦礫の数が到着した時より増えているが、まあ仕方ない。気にせずに行こう。
「そうだね。漏れがあったらいけないから確認しようか」
「うん」
そう言って奥に足を踏み出した時。
「あら。もう終わってしもたん? 早かったねぇ。応援はいらなかったかい?」
朗らかに笑う母が後ろに立っていた。
彼女は、瓦礫の惨状を見て呆れたように笑った。
「ずいぶん派手にやってくれはったねぇ」
「すみません……私たちがついた時にはもう瓦礫の山があったので修理代は変わらないかと……ここまできたら暴れていいかと思いまして」
「まあよくてよ。後は討ち漏らしの確認だけでよろしいの?」
「はい」
「それやったらうちがやっておきますさかい、先にお戻り。催しものは中止になってしもたけど、ちぃとは楽しめるやろ」
「「本当ですか?!」」
見事私たちの声がハモった。
クスクスと笑いながら華蓮は続ける。
「こっちはうちに任せて、楽しんとおくれやす」
「「ありがとうございます」」
そう言って、蓮くんは私に手を差し出す。
「行こっか」
「うん!」
私は蓮くんの手を握って屋台が立ち並ぶ道へと歩き出した。
――そんな私たちを母は微笑ましそうに、見守っていた。




