23 生徒会室に寄り道しちゃった
帰る前に少し寄り道です
「君達にはこれを渡しておこう。その眼鏡と同じ色にしておくといいだろう」
そう言って師匠は手袋をした手で透明な眼鏡ケースを渡してくれた。眼鏡と同じで手に取ると色が変わっていく。
── すごいなー、カーッコいいーっ!
「しーちゃん、この眼鏡、元の世界に持って帰っても大丈夫かな?」
「んー、どうだろう」
「しーちゃん、れーちゃん、その眼鏡私が預っておきましょうか?」
ソフィーちゃんが声をかけてくれた。
「うん、そうしてくれると助かるよ。失くしちゃったら大変だし、戻ったら使い道ないもんね」
あたしとれーちゃんは眼鏡ケースをソフィーちゃんに預けると実験室を出た。
「師匠、眼鏡ありがとうございました! それじゃあ、また来るね」
「詩雛くん、怜奈くん、次回はぜひ実験に参加してくれたまえ。怜奈くんのデータを早速解析しておくとしよう」
「プロフェッサー芹澤さん、ありがとうございました」
「副会長、ありがとうございました。実験はほどほどにしておいてくださいね。後でレアさんに報告しますので」
言乃花お姉ちゃんがそう言うと、師匠が急にダラダラと汗を流し始めて、
「ぜ、善処しよう」
と答えた。
「言乃花お姉ちゃん、レアさんって?」
「ふふ、副会長のお母様よ。この前のことがあるから私とリーゼは『無理しないように見張っておいて』と頼まれているの」
「なるほどー。わかったよ、あたしも気をつけるようにするねっ」
「しーちゃんもほどほどにね。またアレを起こすとリーゼが飛んでくるわよ」
「う、わざとじゃないんだよー」
廊下を歩きながら言乃花お姉ちゃんと話していると、れーちゃんと手を繋いでいたソフィーちゃんが言った。
「言乃花さん、しーちゃん。メイとリーゼさんにれーちゃんを紹介したいので生徒会室に寄ってくれますか?」
あたしたちは学園長室に行く前に、廊下をまっすぐ進んで生徒会室に向かった。眼鏡をかけていなかった時は何の教室なのか全然わからなかったけど、教室の前に出ているプレートで「生徒会室」があるのかすぐにわかった。
── ここは通ったことがあるけど、何の教室かさっぱりわかんないから気にもしてなかったんだよね。
生徒会室は上がってきた階段のすぐ隣だった。奥には準備室、工作室といったプレートがかかっている。
── ふふ、生徒会ってなんかかっこいいよね。師匠が「副会長」って呼ばれてるってことは、師匠も生徒会の役員だってことだよね。さっすが師匠ー!
言乃花お姉ちゃんが生徒会室のドアを軽くノックすると、
「リーゼ、入るわよ」
と言いながらサッとドアを開けた。
「どう、捗っているかしら」
中ではリーゼお姉ちゃんとメイお姉ちゃんが書類とタブレットを持って何かしているところだった。
でも、リーゼお姉ちゃんが慌ててタブレットを操作しているのを見た言乃花お姉ちゃんの髪が、サラリと揺れると涼しい風がリーゼお姉ちゃんの方に向かって流れていく。
── うん、もうわかったよ。これは怒ってるときだよね!
そーっと離れようとしたら、ソフィーちゃんが言った。
「メイ、リーゼさん。新しいお友達をしょうかいしますね、しーちゃんの大親友のれーちゃんです」
「あの、はじめまして。守川 怜奈です。よろしくお願いします」
「こんにちは、れーちゃん。メイです。ソフィーとお友達になってくれてありがとう。これからよろしくね」
するとリーゼお姉ちゃんも明らかにホッとした顔をキリッと引き締めると言った。
「こんにちは。生徒会長のリーゼ・アズリズルよ。学園へようこそ」
「ところでリーゼ、今、何をしていたのかしら?」
けれども言乃花お姉ちゃんはサラッと無視してリーゼお姉ちゃんに投げかける。リーゼお姉ちゃんの顔色が変わった。
「な、ちょ、ちょっと息抜きをしていただけよ! べ、 別に今ソフィーちゃんが何をしているかなー、なんて気にしていたわけではないわよ! 図書館にいたことなんて知らないわ!」
── リーゼお姉ちゃん。それじゃあ丸わかりだよ。
後ろからクスクス笑う声が聞こえる。
「リーゼさん、いつも心配してくれてありがとうございます。今日はしーちゃんたちが来るのでシャーベットを作ったんですよ。後で食堂に来てくださいね」
「ソフィーちゃんお手製のシャーベット! わかったわ、急いで片付けて行くわね!」
リーゼお姉ちゃんがやる気になって良かったけど。
── ソフィーちゃん、そうじゃないよーっ! 一歩間違えたらリーゼお姉ちゃんがス◯ーカーになっちゃうよっ!!
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