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55話:箱と覇者

10/18日の連投はこれでおしまいです。

次の更新も長引く可能性が有りますが、更新が出来そうであれば近い内にでも…。


衝撃を生んだ朝食を取り終えた、起きて間もないと言うのに疲労をみせたラキュア達が部屋へと戻って行った。彼女達の足音が消えた途端、食堂のざわ付きが激しさを増していた。


ざわざわ…ざわざわ…

「クッソッ!!全然目が覚めねぇッ!!」

「俺もだ…こんなのは夢で有るべきなんだよッ!!」

「俺達は全員、おとぎ話にでも迷い込んだとでもいうのかよッ!!」


ざわざわ…ざわざわ…

「まさかあのミーミルが…あの様な幼女に負けを宣言するなんぞ…」

「あの様な?おぬし、アレを見て居なかったのかッ!!」

「あぁ…ワシはやっと解ったわい、エレメンターであろう者があの子にひれ伏す理由がのッ…」


ざわざわ…ざわざわ…

「なに?父さんや爺婆様が騒ぎ出してるけど…どうしたの?」

「俺達には良く分からないが、分かった事はただ一つ…ミーミルが猛者だって事だ…」

「そうは言っても未だに信じられねぇぜ…」


パンパンッ!!

「そろそろ落ち着いたらどうじゃ…。それと子供達や勤めが有る者は持ち場に向かうのじゃよ。このまま何も言わなきゃ止まる気配が無いわい…」

「もとはと言えばワイズが爆弾を落としてくれたからじゃろうにッ!!」

「おぬしのように落ち着いて居られる方が可笑しいのじゃよッ!!」

「ワイズッ!!さてはお前知っていたなッ!!」

「ホホッ!!何の事かのうッ!!」

「とぼけおってッ!!対応を間違えて居れば村が滅んでいたのだぞッ!!」

「すまん、だがワシも昨夜知ったのじゃよ。確かに、ひとつ間違えれば勇者の一匙が振り翳されていたかもしれんッ…だが今はどうじゃ?ウルフ達から村を守る英雄には見えんか?」

「結果的にはな…」

「長老ッ!!彼女達はやはりッ!!」

「なら彼女達に任せればこの村は!!」

「ワシはな、ワシ達の生き様を彼女が残す歴史に刻みたかったのじゃよ。この村を救って貰った只の村人で無く、彼女と戦った魔族の一人としてなッ、我らが崇める氷神様のようにッ」

「成る程、ワイズが馬鹿な事を言いだした本当の理由が良く分かったわい。だが、そうも行かなくなった訳だ」

「覇王の伝説に我等の死は許されない…そういう事じゃな…。さてワイズよ、さっさと選別に取り掛かるぞい」

「ホッホッホッ!!先ほどまで騒いでいた癖にのうッ!!さて…呼ばれた者達は大部屋に集合じゃぞ」


ササッ

「ビーク…今の聞いて何か分かったか?」

「俺が頭脳系のイケ男子にみえるか?」

「そうだったな、聞いた俺が馬鹿だった…にしても爺様達の話しはいつも難しいな…」

「そうだな、だが俺でも分かった事がひとつある」

「お、なんだそれは」

「それはな、ミルフィちゃんはラキュアちゃんにしか興味無いって事だ」

「ビーク…お前それしか見て無かったのか…流石の俺でも呆れたぜ…」

「おや、お前達まだ居たのか…はやく訓練に向かいなさい…」


((「へーい…」))


こうして長老によって呼ばれた者達が、騒がしかった食堂からぽつりぽつりと消えた。

残された者達の感情には悔しさと歓喜の渦が漂い、それぞれの持ち場へと向かって行った。

その頃、ラキュア達は長老に呼ばれるまでの間に部屋でくつろいでいた。


シュシュッカチャッ!!

「どうですか?」

「まだまだ甘いですね…」

「はうぅぅ…」

シュシュッカチャッ!!シュシュッカチャッ!!


がさごそッがさごそッ

『ミルフィちゃんは真面目ですね…それにしても碌な本ないですね…』ボソ


ダンダンダンッ!!


狩の教え③ - 気になるあの子の落とし方編-

受け継がれし鞘

楽園の英雄 -序章-

楽園の英雄 -終章

覇道を歩む者

楽園の秘密

疾風迅雷 -英雄は下から覗き込む-

女将の鉄槌  -知られざる苦悩の対策-

精剣と魔剣 -私が見た禁断の恋路-


『面白そうなのこれ位かな…』


ラキュアは本棚から気になる本を取り出しては放り投げる様に下に積み重ねていた。

そしてそれ等をソファの上で流し読みし始めて幾分と時間が経過していた。


ペラッぺラッ 

『これ多分この村の昔話だよね…これが実話だったら恥ずかしくて生きていけないんだけど…』

「駄目ですよラキュア様、ソファでその様に本を読んでは…」

「物凄い海老ぞりですね。それよりラキュア様は本も読めるのですね。流石で御座います。一体どんな本を…」

ズルッ!!ドテンッ!!ボトッ

『痛たた…み、見ない方が良いですよ…特にミルフィちゃんはねッ!!うんしょッ!!』

「そういわれると余計に…」

「どれどれ…ふむふむ…」パラパラ

『あ、ちょ下僕ッ!!』ぴょんッ!!ぴょんッ!!

「ず、ズルいですよシルバさんッ!!私もッ!!」

「官能小説の類ですかね?何か違う気がしますが…それにしても酷いですね…」

「か、官能小説ッ//駄目ですよラキュア様ッ!!そんな物を読んではッ!!」スタタッ!!

バササッ!!テトテトテトテトッ!!


海老ぞりで頭から流れ堕ちたラキュアは握っていた本を落とし、その本をシルバが拾いパラパラと読み始めた。読みかけの本を取られ必死にジャンプするラキュアと、シルバのそれを聞いて、積み重なっていた本を抱え本棚へと向かうミルフィ。


コトッコトッコトッコトッ!!

『み、ミルフィちゃんッ!!私まだ全部読んで無いのにッ!!そんな高い所に置かなくても…』

「いけませんッ!!ラキュア様にはまだ早いのですよッ!!」

『わ、私の暇つぶしぃぃぃッ!!私の暇つぶしぃぃぃぃぃぃぃぃッ!!』グイッグイッ!!

「ラキュア様そんなに引っ張ってはぁぁッ!!あっ!?」

『み、ミルフィちゃんッ!?』

グラグラッ!!ドテンッ!!ドサドサドサドサッ!!


「ら、ラキュア様…ラキュア様ッ!!?」

ガササッ…

『うぐぐ…本が落ちて来るとは…』


ラキュアが本欲しさにミルフィを揺すり、台座から踏み外したミルフィが本棚へと衝突してしまった。

その衝撃でラキュアの真上にあった棚上の幾つもの本が落下し、それはラキュアに直撃していた。


「何事ですかッこれはッ!!」

「ラキュア様ッ!!本がッ!!お怪我はありませんかッ!?」

『大丈夫ですよミルフィちゃんッ!!この通りッ!!』ガササッむきっむきッ!!

「はぁぁぁ…良かったです…次はもう、あんな事しちゃダメですからね?」

『ご、ごめんなさいミルフィちゃん…下僕、見てないで片付け手伝って…』

「そ、それは良いですが…良く平気でしたね…本が落ちて来たんですよね…」


…園児服着込んでるから平気だけど…少しずれてたらミルフィちゃんが本の下敷きに…私はなんて馬鹿な…


『う、うん…でも平気だからこれ早く仕舞ってください…』

「そうですか…っそれなら…」


幸い二人とも無事であったが、少しズレていればミルフィが危なかった事にラキュアは反省し、3人は散らばった本を片付けだした。


「ミルフィさんそれ貸してください、私が棚上に乗せておきますので」

「あ、はいお願いします」

『ミルフィちゃんこれも下僕に渡して下さい』スルッ

「はいラキュア様…」スルッ

ガサガサ

『ん…もしかしてコレも落ちて来たのかな…さっきまで無かったもんね…』

「そんな箱まで落ちて来たのですかッ!?…ラキュア様よく平気でしたね…」

『あ、アハハ…うんしょ…あれ?思ったより軽いですね。はいミルフィちゃんッ』ヒョイッ

「ンッ!?ンンッ!?ら、ラキュア様!?これ…私じゃ…持てませんッ」ググググッ

『えぇ!?』

「ラキュア様それをコチラにッ!!」

『う、うん』


テトテトテトテトッヒョイッ!!

「んぐぐぐぐぐッ!!」

『もしかして下僕も持てないの?』

「うぐぐぐッ!!無理…見たい…ですッ!!」ググググッ

『ふぅ~ん…ほいッ!!』ドスンッ!!

「ぐふぁぁぁッ!!ら、ラキュア様…何故手を離し…グファッ!!腰がッ!!」

「ラキュア様ッ!?」

『ごめんごめん、下僕が持ったまま手を離したらどうなるか試したくなっちゃって…』テヘペロッ!!

「シルバさん指大丈夫ですか!?床と箱に挟まってますよ…」

「指は痛くないのですが…突然前屈にさせられたので腰が…折れるかと思いましたよ…」スポッ

「どういう事でしょう?」

「指が平気と言う事なので、重さは大した事無い…ですが力が加わらない、と言った感じでしょうか…」

『全く意味わかりませんね。下僕でも持ち上がらないなら私を肩車でもしてみます?』

「だ、大丈夫でしょうかそれ…」

『やるよね?勿論やるよね?私の下僕さんだもんねッ!!』ウキウキッ!!

「うぐぐッ!!また離したりしないで下さいね…お願いしますよ…」

『グッフッフッフッ!!任せなさいッ!!』

「明らかに笑い方が可笑しいですよ…それでは失礼しますね…」ヒョイッ グイグイッ!!

『おッ』「わぁッ!!」「……」

『持ち上がりましたね下僕さん』

「ら、ラキュア様…心臓に悪いのでそろそろ上に置いて下さいませんか…」ドクンドクン

『仕方ないですね…と言いたい所ですが、この箱気になるから少し調べましょうよッ』

「私達じゃどうにも出来なかったのでラキュア様にお任せしますが…」

「そうです…ね…私もお任せしますよ…」

『よーしッ!!ならこのまま机までぇぇーーれっつごーぉッ!!!!』揺れ揺れッ!!

「ひぃぃぃッ!!ラキュア様ッ!!分かりましたから揺らさないで下さいッ!!」


片付けの途中、ラキュアが見つけた箱はミルフィとシルバには持つ事が出来なかった。その不思議な箱はラキュアが持ったままシルバの肩車によってテーブルまで運ばれた。


ゴトンッ!!

『ご苦労じゃったぞ下僕はんッ。下がってよいじょッ!!』

「は、ははぁーー…。死ぬかと思いました…」

「ラキュア様、あまり無茶な扱いは駄目ですよ?」

『み、ミルフィちゃぁぁぁんッ!!?』

ササッササッ

「ラキュア様、この箱…本の様に見開いて開放するタイプですよ。開き口が横についてます」

「箱の本?でしょうか?さぁラキュア様、開いてみましょ?多分私達には無理だと思うので…」

『う、うんそうでしたね…じゃあ私が開きますね…』


ガタッ!!パカッ!!バチバチバチッ!!!

『な、何?バチッって音が成って体にチクチクって来たんだけど…』

「バチッ!?私には何も聞こえませんでしたが…」

「私も特にこれと言って問題は…それより片面に表紙と片面に何か有りますよ?」

「これは指輪か?2つ飾られてますね…」


…あ、本当だ…週刊号の付録かなんかですかね…


『でもこれ、明らかに他にも入ってた痕跡ありますよね…駄目ですよ袋とじだけ抜き取るのは…』

「袋とじ?何でしょうかそれは」

『あ、いえ、何でも無いですよ…』

「小さな窪みが8つと…大きな窪みが1つ…」

「指輪とそれより大きな物が抜き取られていますね。指輪が有ると言う事は恐らく腕輪か足輪か首輪か…ふむ…ラキュア様、そちらの表紙の方は?」

『ん、今めくる』


ペラペラ…ペラペラ…

『んーと…この箱を開いた者へ…』


この箱を開いた者へ


・この箱が開かれた世紀、新たな覇者が誕生する事を意味する。

・この箱は選ばれた者にしか開く事が出来ない。例外として、主君、若しくは別の覇者が開くことが出来る。

・この箱を開いたと言う事は君が選ばれたと言う事になる。君にはこの箱に附属された氏族術式器を所有する権利が与えられる。それを体に嵌める事で、嘗て氷神と崇められた魔族と同じだけの力を得る事が出来る。何故なら、彼も又、これを所有した選ばれた者で有るから。

しかし、これを付けると言う事は、主君の命令には絶対服従を意味する。



・この箱には氏族術式器の他に眷属器が附属されている。

・眷属器は氏族術式器の一部で有る。眷属器は二つで一つで有る。

・眷属器は他者に所有権利を譲り、眷族として従えれる。

・眷属器も又、氏族術式器と同様、主君に絶対服従で有り、氏族長にも絶対服従の意味をする。

・氏族長と眷属者が同じ眷属器を使用する事で、氏族術式器の、力の一部を眷族に分け与える事が出来る。



・氏族術式器と眷属器を完全放棄する事は出来ない。継承者や適合者を失えば再びこの箱へと戻る。

・氏族長が死亡した場合、眷属器は再びこの箱へと戻る。

・氏族術式器は適合者が死亡しない限り、次の代へと継承される事は無い。

・主君が死亡しない限り、氏族術式器は外す事は出来ない。これは眷属器も同様である。

・主君が死亡した場合、契約は破棄され、他の覇者と契約が可能となる。

・氏族術式器は主君から魔力を補給する必要がある。

・主君との契約には、全ての魔力を捧げる必要がある。



主君と巡り合うには、主君が君を探しだすか、君が主君を探し出すしか他ない。

この村で待ち続けるか、己が旅して探し出すかは君次第だ。

私が今知る情報はこの位だ。村の為に役立ててくれる事を祈る。



((( ………… )))


『ごめん…全く意味わかんないです…』

「私もです…この指輪の説明なのは判りますが…」

「これ自体は氷神が残した遺物って事ですよね…覇者とは多分ラキュア様の事かと私は確信しています」

『私が覇者だと確信されても色々と困るのですが…そもそも覇者ってなに…』

「私の予想では魔王の通称かと。勇者の可能性も有りますが…ここ魔族大陸なのでね…」

『やだやだやだやだッ!!私は勇者が良いのッ!!勇者が良いの勇者が良いの勇者が良いの勇者が良いのッ!!』

「どちらにしてもです、この場合ラキュア様は覇王と言う事ですよ」

「ですが、選ばれた者の可能性も有りますよね?」

「その線は無いですね。断言できます」

『なんでよぉぉぉおおおッ!!!』

「ラキュア様、この箱よく見て下さい。明らかに中身足りてませんよね?」

『そ、そうだね…そんなのは開けた時に皆わかった事だよね?』

「ではもう一度3ページ目を見て下さい」


ペラペラ…

「どうですか?もしラキュア様が選ばれた者で有るなら矛盾を感じませんか?」

『矛盾…』

「これ、1項と2項が適用されて居れば、この箱に氏族器?が箱に入ってる事になりますよね?ですが…」

「そうですミルフィさん。この箱には肝心の物が無いのですよ」

『氏族長が死亡していれば全てが箱に還元されているって事ですか…しかし箱に有るのは指輪だけ…』

「氏族長がまだ生きている証拠です。そして3項、これは氏族長が生きているから継承が済んでいないと言う事です」

「継承が済んでないならラキュア様に本を開ける事は出来ない…ですが本は開いてしまった…。となると残されるのは1ページの2項、例外の部分が適用されると言う事ですねッ!!」

『うへぇ…。主君、若しくは別の覇者が開くことが出来る。ってバッチリ書いてありますよ…私、誰かの主君になるって事ですか…』

「ラキュア様…私はラキュア様が主君みたいなものですよ…」

『み、ミルフィちゃん…嬉しいけど…なんか違うよね…』

「ラキュア様…私もですよ」

『あーはいはい…』

「ですがこれって…既にこの村に継承者が居るって事ですよね?伝承される程の凄い御方の力が有るのなら、この村は私達が居なくても…」

『それは確かに…この指輪と似たピカピカ装飾品を、腕と脚に身に付けた人居たかな…』

「朝や夜は割と軽装な方が多いですからね…足首や手首なら目立つ気もしますが…」


(((「んーー…」)))


「ところでラキュア様、こちらの指輪どうしますか?」

『どうと言いますと…?』

「ラキュア様は覇者ですので、指輪の所有権を持つと言う事ですよ」


…なんか当たり前の様に覇者とか呼ばれるの嫌だなぁ…決定事項なんですかねこれ…


『えぇ…所有権持ってても肝心の氏族術式器が無いですよ?既に持ち主が居るのに、勝手に持ち帰ったら窃盗に成りませんかね…』

「ら、ラキュア様が窃盗ッ!!駄目ですよッ!!そんな悪い事はッ!!」

『ですよねッ!!ミルフィちゃんなら止めてくれると信じてましたッ!!』

「し、しかし…この様な貴重そうな物を手に入れられるのに…」


テトテトテトテトッ

コンコンッ!!

「シルバさん、選別の準備が整いましたので大部屋までご案内させて頂きます」


『うげッ!!この声はッ!!』

「ラキュア様ッ驚いてる場合じゃ有りませんよッ!!早くこの箱を仕舞わなくてはッ!!」

『え?あッ!!そうだったッ!!下僕よッ!!我は証拠隠滅に取り掛かるッ!!肩車を急げッ!!』

「は、はははいッ!!それでは失礼しますッ!!」ヒョイッ!!


コンコンッ!!

「シルバさん?ラキュアさん?ミルフィさん?どなたも居ないのですか?」


((『い、居るで御座いますよッ!!少し待つので御座るよッ!!』))


『下僕ッ!!早くしてッ!!』揺さ揺さッ!!

「わかってますよッ!!ですから揺らさないで下さいッ!!」

スタタタタタッ!!ガサガサッ!!ゴトッ!!


ガチャリ

「さぁさぁッ!!ラキュア様行きましょうか」

『そ、そうだな下僕よッ!!さぁミルフィ隊員も良くのだぞいッ!!』

「ら、ラキュア様…もう少し言葉を何とか…」


それぞれが時間を潰し、不思議な箱を調べている間にお昼が過ぎて居たようだ。

ミーミルが使いとして部屋へと訪れ、ラキュア達は急いで不思議な箱を仕舞い大部屋へと案内された。



ガラガラガラッ!!

「御祖父様、連れて参りました」ペコ

「ホッホッ!!きたかッ!!さぁさぁ入って下されッ」


テトテトテトッ

「大分居ますね…」

「ホッホッホッ!!アタシ達は違うよッ!!適当に腰をかけて構わぬぞッ!!」

「それではお言葉に甘えて…」

「ラキュア様こちらへ」

『ミルフィちゃんの御膝が良い』

「ら、ラキュア様ぁ//はいッ!!どうぞッ!!」ぽんぽんッ!!


「さて、この後の予定もある。早速だが紹介していくぞッ」

『予定?』

「そうじゃ、山に向かうと言うなッ!!狩りで見せた方が良いじゃろ?」

「それもそうですね…」


ザサッ

「ではワシから簡単に…ワシの得物はこれじゃ。弓も扱えるが荷物を持つのが嫌いでの、近接を希望するが、どちらも可能とだけは伝えておくわい」カチャッ!!シャキンッ!!カチャ!!


『ナイフ?良いのあれだけで…確かナイフって…』

「これは小太刀じゃッ。ナイフよりも刃先が長いが剣よりは短いのじゃよッ!!」

『ふ~ん…』

「ラキュアちゃんが不満なら後で弓にかえるわい。さて、次良いぞ」

「御祖父様、行く事が決まっている私から…。」

「うむ」


ザサッ

「私はミーミル。私も得物は小太刀です。ですが御祖父様とは逆で弓を希望します。軽い投擲も身に付けて行くつもりです。力には少し自信が有ります。以上です」カチャッ!!


ザサッ

「俺はボッス。ジョイスと同じ中年組だ。得物はコイツ、長剣だ。まぁここに居る奴等は粗方弓が使えるんで俺は近接で希望する。次」


ザサッ

「ワシはジオジルじゃ、得物は小斧と拭き矢じゃ。決め手に欠けるが近接を希望するぞ」


ザサッ

「私はセルシナ。まだ若いけど遠距離の教官を任されていたわ。ミーミルにも良く教えていたけど…多分私より上手いのでしょうね…昨日見ちゃったし…。近接は得意じゃないの、だから弓と投擲での遠距離を希望します…。ジョイスさん次どうぞ…」


((「………」))


「どうしたジョイス」

「長老…私は辞退しても良いでしょうか…」

「何故じゃ…お前程の腕前なら…」


ササッスルル…

「長老…私の脚はまだ万全では有りません…今は良くても途中で脚を引きずり出せば役には立てません…それに妻やディスタの事を考えると…無駄死はしたくないのですよ」

「ふむ…確かにまだ月日は経っておらんかったな…ならば日を追って…」

「長老さん?いつになるか分からない治療を待つなら、私達は彼を置いてでも討伐に向かいますよ」

「うぐぐ…」

「そう言えばディスタさんは?」

『ほんとだ、居ないですね…大人顔負けだとか言ってましたが…』

「ディスタは呼んでおらん、コチラに問題が起きるからの。代わりなら呼んだのだがな…」

『問題?代わり?』


ダダダダダダダ!!

ガラガラガラッ!!

「す、すまんッ!!今…警備から戻りましたッ!!はぁはぁ…」

「やっと来よったか…さぁバロッシュ、彼女達に挨拶とお前のいつもの得物を紹介してやりなさい」

「え、えぇ!?ここでですかッ!?何故にッ!!」

「何だい…なにも説明せずにつれて来たのかい…まぁ良いからこの子達に自己紹介するんだよッ!!」

「ブ、ブネ婆ッ!!了解っすッ!!…俺の名はバロッシュだッ!!老若男女問わず色々と頼られる男だッ!!取りあえず来てくれッ!!と言われてはせ参じたぜッ…ッフッ。そして、俺の得物はこの槍だぜッ!!どんな害虫やイノシシだって俺の一突で止めてやってるのさッ!!実は今さっき、倒れそうな木からこの槍で子供達を救ってやったぜッ!!そんな凄いお兄さんをやってるぜッ!!こんなもんで良いか?まだ足りないよな?」


((( ……… )))


「ん、うんそれで簡便してくれ…お前の悪い癖が出とるわい…紹介する者は以上じゃよ…」

「さてワイズよ、後は頑張るんじゃな」

「分かっとるわい、コヤツら次第じゃがな…さて、ラキュアちゃんよッ退屈で済まんかったなッ!!これから山まで狩をする予定なのじゃがお主もくるか?」

「ラキュア様、ここは私だけでも大丈夫ですが」

『えぇ…それこそ退屈ですよ…私達も行きますよッ!!』

「そうかそうかッ!!では支度をせねばなッ!!荷物を纏めて村をでるぞぃッ!!」


ザサッ!!

「えぇ?長老ッ!!俺、警備から帰って来たバッカなんだがッ!!」

「つべこべ言わずについて来んかいッ!!」

「クッソ―ッ!!てか何で俺なんだよッ!!」

「ラキュア様、私達も外へ…」

『うん下僕…。ミルフィちゃんもッ!!』

「はいッ!!ラキュア様ッ!!」

「長老、私達もこれで…」

「うむ…」

「バロッシュ、ディスタの分まで頑張って下さいね。まぁ私は君を高く評価しているので問題ないと思いますがね…」ボソッ


グイグイグイグイッ!!

「離せ離せーッ!!せめて仮眠させてくれーーいッ!!」



ラキュア達は、長老とミーミルを含む選別の為に選ばれた村人達と共に、ウルフ達が貪る雪山へと向かう。



シャキンッ!!グサ―ッ!!プシャーッ!!シュシュシュシュシュッ!!

キンキンッ!!ザシュッ!!ボボボッ!!ドガンッ!!シュトンッ!!


「クソッ…退く気配がしねぇ…」

「ハインズ様…主君から伝達が…」

「こちらに渡…」

バチバチバチッ!!

「ぐッ!!くはぁぁぁぁ…これは…まさかッ!!」ガササッ

「は、ハインズ様ッ!!」

「アナタッ!!どうしたの急にッ!!」

「すまんリーリア…俺は大至急フリズヘイムに戻らなきゃならない…」

「な、何故ッ!!こんな時にッ!!」

「俺の…クランズボックスが…誰かに開けられた…」

「そんなッ!?まさかッ!!」

「ディンガードッ!!伝達にこの事を伝え、俺の代わりを此処によこす様に頼めッ!!可能で有れば主君にフリズハイムまで氏族長の増援もだッ!!」

「分かりましたハインズ様ッ!!」

「リーリア、俺は行く…ここは任せたぞッ」

「アナタッ!!」

「大丈夫だ…少し見に行くだけさ…娘の様子と共にな…。お前達ッ!!後は任せたぞッ!!」


グググッ!!シュゥゥウウンッ!!!…


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