↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
BLACK EATER ―色を喰らう魔王と、四色の英雄―  作者: まーサンタ
第六部 魔獣決戦

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
49/49

第四十九話 空を喰らう翼

 アミムトとの戦いから、しばらくの時間が過ぎた。


 森には静けさが戻っていた。


 焚き火のそばで、赤の武闘家は眠っている。


「……まだ起きないね」


 緑の弓使いが呟く。


「よほど無理をしたんだろう」


 白の剣士が答える。


 青の槍使いは、近くの川から水を汲んできた。


「傷も深くない。今は眠るのが一番だ」


 三人は交代で周囲を警戒しながら、赤が目を覚ますのを待った。


 空はまだ灰色だった。


 それでも――


 木々の隙間には、わずかに緑が戻っている。


 川には青が戻り始めている。


 世界は少しずつ、色を取り戻していた。


 そして――


「……ん」


 焚き火の前で、赤の武闘家が身じろぎした。


「起きた?」


 緑が顔を向ける。


 赤はゆっくり目を開けた。


「……朝?」


「もう昼だ」


 白が答える。


「そんなに寝たのか……」


 赤は身体を起こす。


 しばらくぼんやりしていたが、やがて自分の拳を見る。


「アミムトは?」


「倒した」


 青が答える。


「そっか」


 赤は満足そうに笑った。


「じゃあ、行こう」


 白が立ち上がる。


「無理はするな」


「大丈夫だ」


 赤は立ち上がった。


 まだ疲れは残っている。


 だが、歩くことはできる。


「黒の居城まで、あと少しだ」


 四人は再び歩き始めた。


*


 森を抜ける。


 灰色の木々が途切れ――


 視界が一気に開けた。


 四人は立ち止まった。


「……これは」


 目の前。


 広大な平原を埋め尽くすように――


 灰色の兵士たちが並んでいた。


 一体。


 十体。


 百体。


 その数は、遠くまで続いている。


 カチャ。


 カチャ。


 灰色の鎧が一斉に動く。


 剣。


 槍。


 盾。


 弓。


 すべてが灰色。


「多すぎる……」


 緑の弓使いが呟く。


 青の槍使いが周囲を見る。


「ここを突破するしかない」


 そのとき――


 空から風が吹き抜けた。


 ヒュオオオオッ!


 灰色の羽根が舞う。


 四人が空を見上げる。


「……来た」


 白の剣士が剣を抜く。


 灰色の空。


 そこに、一つの巨大な影が浮かんでいた。


 鳥の翼。


 人の上半身。


 鋭い鳥の脚。


 そして――


 女性の顔。


「アエロー……」


 緑の弓使いが呟く。


 アエローが翼を大きく広げる。


「見つけた」


 声が平原に響く。


「四色の英雄」


 赤が拳を構える。


「お前が最後の魔獣か」


「最後?」


 アエローが笑う。


「私を倒したところで、魔王様には届かない」


 翼を羽ばたかせる。


 突風が巻き起こる。


「すべての色は、すでに黒へ向かっている」


 灰色の兵士たちが一斉に動き出した。


「来るぞ!」


 白が叫ぶ。


 赤が前へ出る。


「よし!」


 赤いチャクラが燃え上がる。


「こいつらは俺たちで止める!」


 白も剣を構える。


「分かった!」


 二人が兵士の大群へ駆け込む。


 ガキィン!


 白い剣が灰色の盾を斬り裂く。


「はあっ!」


 赤の拳が兵士を吹き飛ばす。


「おおおっ!」


 次々と灰色の兵士が押し寄せる。


 白と赤が、二人だけで大群を食い止める。


「緑!」


 白が叫ぶ。


「青!」


 赤も続く。


「アエローは任せた!」


 緑の弓使いが空を見上げる。


「分かった!」


 青の槍使いが隣に立つ。


「行こう!」


 アエローが翼を広げる。


「二人だけで、私を止めるつもり?」


 緑が弓を引く。


「二人だから十分だよ」


 青が槍を構える。


「空から落とす」


 アエローが笑う。


「面白い!」


 翼が大きく羽ばたく。


 ――ゴオオオオオッ!


 猛烈な風が二人を襲った。


「くっ!」


 緑が踏ん張る。


 青は槍を地面へ突き立てる。


「この程度!」


 青い光が槍から広がる。


 地面を走る水が集まり――


 巨大な水流となって二人の周囲を回り始める。


「緑!」


「分かってる!」


 緑の弓から矢が放たれる。


 矢が水流を貫く。


 緑の光と青の水が絡み合う。


 アエローの目が鋭くなる。


「その力……!」


 アエローが急降下する。


「喰らってあげる!」


 鋭い爪が迫る。


 緑が叫ぶ。


「来る!」


 青が槍を構える。


「迎え撃つ!」


 空と大地。


 風と水。


 緑と青。


 二人と一体の魔獣が、激突する。


 一方その頃――


 平原では、白と赤が灰色の兵士たちと戦っていた。


「まだ来るのか!」


 白の剣士が剣を振る。


「何体いるんだよ!」


 赤の武闘家が拳を叩き込む。


 灰色の兵士が吹き飛ぶ。


 しかし、その後ろからさらに兵士が押し寄せる。


 赤が笑った。


「上等だ!」


 白も剣を構える。


「黒の居城へ行くためだ」


 二人の背後には――


 黒の居城。


 そしてその上空には――


 四色の世界を見下ろす、アエローの巨大な翼が広がっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。