それに触れた
六月の終わり、放課後の教室はやけに静かだった。
窓の外では蝉がうるさいほど鳴いているのに、教室の中だけ音が死んでいるみたいだった。クラスメイトはとっくに帰っていて、残っているのは俺だけ、二年三組の桐島湊だけだ。
掃除当番をさぼった罰として、一人で教室の隅々まで拭くように言われた。別にいい。どうせ部活もないし、帰っても誰もいない家が待っているだけだ。
バケツに絞った雑巾を手に、俺は一番後ろの列の机を拭いていった。
そのとき、気づいた。
一番端の席——窓際の、誰も座っていない席の引き出しに、何かが入っていた。
折り紙だ。赤い折り紙で折られた、小さな人形。
誰かが忘れたんだろう。
そう思って、何も考えずに手を伸ばした。
指先が、それに触れた瞬間——
教室の蛍光灯が、一斉に落ちた。
真っ暗になった空間で、俺の手の中の人形だけが、ほんのりと赤く滲んでいた。
そして、隣の席から声がした。
誰もいないはずの、隣の席から。
「……返して」
俺は息を呑んだ。
声は小さかった。囁くような、でも確かに聞こえた女の子の声。俺はゆっくりと、隣の席に目を向けた。
誰も、いない。
当たり前だ。さっきまで誰もいなかった。でも——机の表面に、何かが滲んでいた。水で濡らしたみたいな跡が、じわじわと広がっていて、その形が、どう見ても、手のひらに見えた。
「誰だ!」
声に出したら少し楽になると思った。ならなかった。自分の声が震えているのが分かって、余計に怖くなった。
手の中の人形が、熱い。
折り紙なのに、体温みたいな熱さがある。俺は反射的に手を開いた。床に落とそうとした。
落ちなかった。
人形は、俺の手のひらに貼り付いていた。剥がそうとしても、指が人形に吸い付いて離れない。赤い色が、手首の方へじわじわと這い上がってくる。
「やばい、やばいやばいやばい——」
独り言が止まらなかった。バケツを蹴り飛ばして立ち上がる。逃げようとした。
足が、動かなかった。
膝から下の感覚がない。まるで床に根が生えたみたいに、俺はその場に縫い付けられていた。
蛍光灯がひとつ、またひとつと戻ってきた。でも光は弱くて、教室の隅に濃い影を作るだけだった。
その影の中に、それはいた。
女の子だった。たぶん、俺と同い年くらい。セーラー服を着ていて、うつむいているから顔は見えない。長い黒髪が顔を覆っていて、ただ、肩だけが小刻みに震えていた。
泣いているのか。
一瞬そう思った。次の瞬間、女の子がゆっくりと顔を上げた。
俺は声も出なかった。
顔があるべき場所に、目だけがあった。鼻も口もなく、ただ真っ黒な目が二つ、まっすぐに俺を見ていた。
「返して、って言ったのに」
口がないのに、声が聞こえた。頭の中に直接響くような声で。
「触ったら、もう離せないよ」
赤い色が、俺の肘まで達していた
どのくらいそうしていたか分からない。
気づいたら俺は教室の床に座り込んでいた。足の感覚は戻っていた。手のひらを見ると、赤い色は消えていて、人形も消えていた。蛍光灯は全部ついていて、窓の外はまだ明るかった。
夢だったのか。
そう思いたかった。でも右手の甲に、小さな赤い痣が残っていた。折り紙を折ったような、鶴の形をした痣が。
翌朝、俺は学校に着くなり担任の田村先生に呼び止められた。
「桐島、昨日の掃除だけどな」
怒られると思った。
「あの席、拭いたか?一番後ろの窓際」
「拭きました」
先生は少し黙った。それから、妙に低い声で言った。
「そうか。……何か、触ったりしてないか」
俺は一瞬固まった。
「触ってないです」
嘘をついた。先生はじっと俺を見てから、「そうか」とだけ言って職員室に戻っていった。その背中を見ながら、俺は思った。
先生は知っている。
一時間目が始まっても、俺は授業が頭に入らなかった。右手の痣がじくじくと熱を持っていた。
隣の席を、ちらりと見た。
空席だ。今日も誰もいない。でも机の表面をよく見ると、うっすらと文字が彫られているのに気づいた。小さくて読みにくいけど、確かにそこにある。
授業中をいいことに、俺はそっと身を乗り出して読んだ。
──触れた者は三日で忘れる。忘れたとき、連れて行かれる──
「桐島」
先生に名前を呼ばれて、俺は飛び上がりそうになった。
「どこ見てるんだ、黒板を見ろ」
「す、すみません」
前を向いた。黒板には今日の日付が書いてあった。
六月二十七日、月曜日。
三日後は、六月三十日だ。
放課後、俺は図書室に向かった。呪いのことを調べようと思ったわけじゃない。ただ、一人で家に帰る気になれなかった。
図書室には一人だけ先客がいた。窓際の席で分厚い本を読んでいる女子。
同じクラスの朝倉詩音だ。成績優秀で、あまり人と話さない。俺とは今まで一度も会話したことがなかった。
適当な席に座って、スマホで「折り紙 人形 呪い 学校」と検索した。ろくな情報は出てこなかった。
「それ、自分で調べても無駄だよ」
急に声をかけられて、俺は画面を伏せた。朝倉が本から目を離さずに言った。
「桐島くん、右手」
俺は自分の右手を見た。シャツの袖から、鶴の形の痣がはみ出していた。
朝倉がようやく本を閉じて、こちらを向いた。その目は静かで、怖いくらい落ち着いていた。
「その痣、私も去年持ってた」
「去年?」
俺は思わず立ち上がりそうになった。声が大きくなって、司書の先生に睨まれた。もう一度、今度は小声で繰り返した。
「去年、その痣があったって……どういうことだ」
朝倉は周りをさっと確認してから、俺に向かって顎をしゃくった。こっちに来い、ということらしい。
俺は鞄を持って朝倉の席の向かいに座った。朝倉は閉じた本を脇に寄せて、机の上で手を組んだ。
「あの席に座ってた子、知ってる?」
「知らない。俺、今年転校してきたから」
「そう」朝倉は少し考えてから続けた。「一年前に、いなくなったの。橘さんっていう女の子。ある日突然、登校しなくなって、そのまま」
「いなくなった? 家出とか——」
「違う」
朝倉の声は静かだったけど、有無を言わせない響きがあった。
「連れて行かれたの。あの人形に」
朝倉が語ったのは、こういうことだった。
二年前、誰かがあの席の引き出しに赤い折り紙の人形を入れた。誰が、なぜ入れたのかは分からない。ただ、触れた者には痣が現れて、三日以内に呪いを解かなければ記憶を失う。記憶を失った瞬間、連れて行かれる。
「橘さんは三日目の朝、教室で突然ぼーっとして、それで——消えた。先生も生徒も全員見てたのに、誰も止められなかった」
「消えたって、どこに!?」
「分からない。警察も動いたけど、手がかりゼロ。しばらくして、みんなあの席のことを話さなくなった。先生たちも。まるで最初からなかったみたいに」
俺は右手の痣を見た。鶴の形が、さっきより少しだけ濃くなっている気がした。
「お前は、どうやって助かったんだ」
朝倉は少し間を置いた。
「私は触れたんじゃなくて、触れようとした橘さんを止めようとして、かすっただけだから。痣は薄かった。それでも二日間、ずっと怖かった」
「解き方を知ってるのか」
「知らない」
俺は頭を抱えたくなった。
「でも」と朝倉が続けた。「調べた。一年間ずっと。いつかまた誰かが触れると思ってたから」
朝倉は鞄から一冊のノートを取り出した。表紙に『記録』とだけ書いてある、くたびれたノートだ。
「この学校、明治時代に一度火事で全焼してる。その火事で死んだ生徒が三人いて、全員この教室があった場所で見つかった。全員、手に火傷の痕があったって記録が残ってる」
ノートを開くと、古い新聞記事のコピーや、手書きのメモがびっしり貼られていた。
「人形の呪いはたぶん、その火事より前からある。もっと古い、この土地そのものに根付いた何かだと思う」
「思う、って……」
「確信はない。でも一つだけ分かってることがある」
朝倉は俺の目をまっすぐに見た。
「あの人形は、返してほしいものがあるの。奪われた何かを。それを返せば、呪いは解ける」
俺は昨夜の声を思い出した。
──返して──
「何を返せばいいんだ」
「それを、三日以内に見つけなきゃいけない」
図書室の窓の外が、橙色に染まり始めていた。
今日が終わる。残り、二日だ。
その夜、俺は眠れなかった。
布団の中で天井を見つめながら、朝倉のノートの内容を頭の中で繰り返した。明治の火事。三人の生徒。奪われた何か。
午前二時を過ぎた頃、右手の痣が疼いた。
熱い、というより、引っ張られるような感覚だった。何かに呼ばれているみたいな。俺は起き上がって、手のひらを見た。暗い部屋の中で、鶴の痣がうっすらと赤く光っていた。
窓の外を見た。
道路を挟んだ向かいのマンション。その屋上に、人影があった。
セーラー服の、女の子。
俺は息を止めた。距離があって顔は見えない。でも長い黒髪が風に揺れていて、こちらをじっと見ていた。
一分くらい、お互いに動かなかった。
女の子がゆっくりと手を上げた。何かを指差すように。俺は視線を追った。
学校の方角だった。
次に目を戻したとき、屋上には誰もいなかった。
翌朝、俺は始業前に朝倉に連絡した。昨夜見たものを伝えると、朝倉は五秒ほど黙ってから言った。
「今すぐ学校来て。一人で教室入らないで」
俺たちは昇降口で合流して、誰もいない時間の校舎に入った。朝倉は昨日のノートに加えて、もう一冊薄いファイルを持っていた。
「昨日の夜、市立図書館のデータベースで調べた。明治の火事の記事、もう少し詳しいのが見つかった」
ファイルを開くと、古い記事のプリントアウトが入っていた。
朝倉が該当箇所を指で示した。
──火災は深夜に発生。逃げ遅れた生徒三名の遺体が翌朝発見された。奇妙なことに、三名の遺体はいずれも同じ教室跡で発見され、手には赤く染まった紙片が握られていた。紙片は調査されたが、何が書かれていたのか判読できなかった──
「赤い紙」と俺は言った。
「折り紙と同じ色」と朝倉が言った。
俺たちは顔を見合わせた。
教室に入ると、問題の席はいつも通り空っぽだった。俺は引き出しを開けた。当然、人形はない。消えたままだ。
でも机の天板の裏側に、何かが貼ってあった。
朝倉が屈んで見た。
「……紙だ。古い紙」
丁寧に剥がすと、薄くて黄ばんだ和紙が出てきた。文字が書いてある。墨で、細い筆跡で。
朝倉がゆっくりと読み上げた。
「奉納、鶴一羽。願いを込めて折りたる鶴、社に返すまで魂ここに留まる。持ち去りし者は三日のうちに——」
そこで文字が途切れていた。残りは染みで潰れて読めない。
「奉納」と俺は繰り返した。「神社に、鶴を納める予定だったってことか」
「たぶん。折り紙の鶴じゃなくて、本物の願掛けの鶴。それが持ち去られたまま、ずっと戻っていない」
「誰が持ち去ったんだ」
「分からない。でも」朝倉は立ち上がって、窓の外を見た。「この学校の近くに、古い神社がある。知ってる?」
知らなかった。転校してまだ三ヶ月だ。
「瀬戸神社。廃社になってて、今は誰も管理してない。学校の裏山を十分くらい登ったところ」
「そこに返せばいいのか」
「たぶん。でも問題がある」
朝倉は俺の右手を見た。痣は昨日より明らかに濃くなっている。鶴の輪郭がくっきりして、羽の細部まで見えるようになっていた。
「返すべき鶴が、どこにあるか分からない。あの人形が鶴そのものなのか、それとも別に本物があるのか」
俺は考えた。昨夜の女の子の姿を思い出した。屋上で、学校の方角を指差していた。
「学校の中にある」
「根拠は?」
「あいつが指差してた。外じゃなくて、この建物の中を」
朝倉はしばらく俺を見てから、ノートを開いた。
「明治に火事で焼ける前、この場所には何があったか調べた。元々は寺子屋だった。その前は——」
朝倉の指がページの上で止まった。
「神社の、末社だった」
俺たちは同時に顔を上げた。
「この学校自体が、元々神社の敷地だったってことか」
「そう。つまり」
朝倉がゆっくりと言った。
「鶴は、ここから出ていないかもしれない。ずっとこの建物の中に、隠されたまま」
昼休みまでの時間が、砂時計みたいに落ちていく。
今日が終われば、残り一日だ。
鶴を探すのに、俺たちは昼休みを全部使った。
手分けして、使われていない準備室、資料室、体育倉庫の隅まで調べた。でも何も見つからなかった。授業が始まって、俺は席に着きながら右手の痣を見た。
鶴の形が、羽ばたこうとしているみたいに見えた。
気のせいじゃないと思った。
放課後、朝倉が職員室から戻ってきた。顔色が少し違った。
「田村先生に聞いた」
「何を」
「この校舎、改築前の図面が残ってるか。先生、なんで聞くんだって顔してたけど、教えてくれた」
朝倉が手に持っていたのは、A3サイズにコピーされた古い図面だった。現在の校舎と見比べると、明らかに違う部屋がある。
「ここ」と朝倉が指差した。「今は壁になってるけど、改築前は小さな部屋があった。用途は——」
図面の隅に、小さな文字で書いてあった。
奉納品保管室
俺たちは顔を見合わせた。
該当する場所は、二年三組の教室のすぐ隣だった。今は完全に壁で塞がれていて、外からは部屋があったとは分からない。
「壁を壊すわけにはいかない」と俺は言った。
「壊さなくていい」朝倉は壁をノックしながら歩いた。音が、途中で変わった。「ここ、空洞になってる」
壁の一部が、古い板張りで塞がれているだけだった。ペンキを何度も重ね塗りされて、継ぎ目が分からなくなっていた。
朝倉がスマホのライトで照らすと、かろうじて輪郭が見えた。
「開けられるか」
「やってみる」
俺は端に指をかけた。古い板は最初びくともしなかったけど、力を込めると少しずつ動いた。埃と黴の臭いが漏れてきた。板が外れた瞬間、暗い空間が口を開けた。
朝倉がライトを向けた。
狭い空間だった。人が一人入れるかどうか。壁際に古い木箱がひとつ、置かれていた。
俺は身を屈めて中に入った。木箱の蓋を開けると、中には布に包まれた何かがあった。丁寧に広げると——
鶴だった。
折り紙じゃない。和紙を何枚も重ねて、丁寧に折られた大きな鶴。百年以上経っているのに、色は鮮やかな赤いままだった。
触れた瞬間、右手の痣が激しく疼いた。
廊下の電気が落ちた。
暗闇の中で、気配がした。
振り向かなくても分かった。いる。すぐ後ろに。
俺はゆっくりと立ち上がって、鶴を両手で持ったまま振り向いた。
女の子が立っていた。
昨日より近かった。二メートルも離れていない。口も鼻もない顔で、まっすぐに俺を見ていた。でも今日は違うものがあった。
目が、濡れていた。
涙を流せる口も鼻もないのに、真っ黒な目の端から、水みたいなものが伝っていた。
「これを探してたのか」
俺は鶴を差し出した。
女の子は動かなかった。
「瀬戸神社に返せばいいんだろう。一緒に行く」
その瞬間、廊下の向こうから足音が聞こえた。田村先生だった。角を曲がってきた先生は、俺たちを見て立ち止まった。
女の子を見て、先生の顔から血の気が引いた。
「桐島、その鶴を——」
「知ってたんですね」
先生は答えなかった。
「改築のとき、誰かがここに封じた。外に出したら危ないから。でもそれじゃ解決しない。ずっとここで待ち続けてる」
先生がゆっくりと目を閉じた。
「……私が封じた。十五年前、同じことが起きたとき。それが間違いだったのか」
「返してあげなきゃいけなかった」
先生は長い沈黙のあと、静かに言った。
「……案内する。裏山への道」
夕暮れの裏山は、思ったより深かった。
田村先生が先頭で、俺が鶴を持って、朝倉が後ろに続いた。女の子は俺のすぐ隣を歩いていた。先生には見えていないみたいだった。朝倉には薄っすら見えているようで、時々そちらをちらりと見ていた。
十分ほど登ると、瀬戸神社が現れた。
鳥居は苔むして、社は半分朽ちていた。でも石造りの台座だけは、しっかりと残っていた。台座の上には、鶴を置くような形の窪みがあった。
俺は台座の前に立った。
鶴を置こうとして、止まった。
女の子が俺の隣に並んでいた。さっきより輪郭がはっきりしている。
よく見ると、セーラー服の胸元に名前が刺繍してあった。
橘 芽衣
橘さん、一年前にいなくなった、あの席の子。
「お前、ずっとここにいたのか」
返事はなかった。でも肩の震えが、止まっていた。
俺は鶴を、台座の窪みにそっと置いた。
その瞬間、風が吹いた。
山全体が息を吸ったみたいな、大きな風だった。鳥居の苔が揺れて、朽ちた社の扉が軋んだ。
右手の痣が、熱くなった。燃えるように熱くなって——すっと、消えた。
跡形もなく。
朝倉が小さく息を呑む声がした。
俺は隣を見た。
橘芽衣は、笑っていた。
口がなかったはずなのに、笑っていた。
目が細くなって、温かい光を帯びていた。ありがとう、と言っているみたいだった。声は聞こえなかったけど、確かにそう言っていた。
彼女の輪郭が、ゆっくりとほどけていった。
夕日の中に、溶けるように。
最後に赤い光がひとつ瞬いて——消えた。
山が、静かになった。
蝉の声だけが、遠くから聞こえていた。
帰り道、三人は誰も喋らなかった。
校舎に戻る手前で、田村先生が立ち止まった。
「……橘のこと、覚えていてやってくれ」
それだけ言って、先生は職員室に戻っていった。
俺と朝倉は昇降口の前に並んで立った。
「終わったな」と俺は言った。
「終わった」と朝倉は言った。
少し間があって、朝倉が口を開いた。
「来年も、誰かが触れるかもしれない」
「神社に返したから、もう人形は出ないんじゃないか」
「そうだといいけど」
朝倉はノートを胸に抱えたまま、空を見上げた。夕焼けが濃くて、雲の端が赤く燃えていた。
「私、また調べ続けると思う。この学校のこと」
「なんで」
「橘さんみたいな子を、もう出したくないから」
俺は少し考えた。
「俺も手伝う」
朝倉が俺を見た。少し驚いたような顔だった。
「転校生なのに」
「関係ないだろ」
朝倉はまた空を見た。それから、ほんの少しだけ笑った。
「……よろしく」
七月が始まる前日の夕暮れに、俺たちの奇妙な関係は始まった。
そして翌朝、誰かが教室の引き出しを開けるまで、あの席は静かに空っぽのままだった。




