最後の賭け
アリスデル「遅い、何故現れないの?」
その頃、アリスデルはボロアパートの目の前の電柱の影に隠れていた。いつか現れるであろう、財産泥棒を殺す為に待ち伏せていた。しかし、なかなか現れない。徐々に時間が迫る中、痺れを切らしたのか影から出て、すかさず部屋へ戻っていった。しかし、取手に手を掛けるが何故か開かなかった。ガチャガチャと揺らしても開く様子は無かった。老朽化で歪んだならまだ可愛い方だが、これは内側から何か細工をしてある様子だった。自分が気づかない内に部屋に入られてしまったのだ。流石のアリスデルも頭に血が上ったのか、勢いよくドアを蹴り上げてしまった。
アリスデル「オラッ!!!とっとと開けやがれっ!!中に誰かいるって事は分かってんだよっ!!!」
アリスデルはお嬢様風みたいな性格であるが、実際は機嫌を損なうと剣幕で他人に罵声を上げる程、危ない性格であった。生まれも育ちも大阪生まれで小さい頃から貧乏であった。お金もなく、食う事すら大変だったらしい。しかし、物心ついた頃に自分はお金を稼げる才能がある事に気づいた。きっかけは学校でトランプをしている時だった。クラス全員と戦って、何と1位になった事がある。まぐれという人も多々いて、自分もそうだと決めつけていた。しかし、年が経つにつれて自分は賭けごとの世界で通用するのではないかと気付き始めた。中学生の頃、麻雀の世界大会で見事優勝を収めたのだ。その後も徐々にありとあらゆるゲームの大会に出場し、見事1位を総なめしていた。となると転がり込んでくる大金は結構な額になり、都内にマンションを買う事が出来るくらいになった。
アリスデル「くそっ!!あれがなければ私の全てがっ!!!天才勝負師の証がっ!!!」
そんな貧乏な環境でアリスデルはお金にがめつくようになり、脱税も平気でするようになっていた。良心は痛まなかった。
アリスデル「そう、そちらがその気ならこっちにも手がありますわ。"ブラックコーヒー"!!!」
アリスデルは能力を使って、扉を壊した。扉は粉々に砕け散り、中は煙だらけになっていた。しかし、そんな状況でも構わず進み、アリスデルは畳を引き剥がした。そして、穴の中へ入り、奥へと進んだ。
アリスデル「覚悟なさい、コソ泥共」
そして、梅干し壺かある場所へ辿り着いた。しかし、そこには誰もいなかった。どこか隠れられるスペースも無ければ、掘られた跡もない。アリスデルは不思議に感じつつも、梅干し壺の蓋を開けた。すると中には大量の現金が手付かずで残っていた。誰かが荒らした様子もない。
アリスデル「な、何なの・・・?何故お金が残ってるの?」
アリスデルが困惑している時だった。後ろの方から何か音がし始めた。それは入り口に何かを置いた音だ。帰路を封じられたようだ。
アリスデル「な、何っ!?まさか、陽動作戦っ!?」
アリスデルはここで気付いた。自分の知らない別ルートで中へ入り、部屋のどこかに隠れた。そして犯人自身が中に入るように促し、そこから犯人の身柄を確保しようとしていたのだ。そう、全てはアリスデル本人がこの抜け穴に入るよう仕向けられたのであった。
アリスデル「よくも・・・よくもっ!!!この私をコケにしやがってっ!!!!!」
もちろんアリスデルは激怒だ。自分自身が嵌められたからだ。しかし、アリスデルはここでも影を使って手当たり次第壊し始めた。もう、彼女には自分を嵌めた相手を殺す事しか考えていなかった。そして洞穴はひび割れ、崩壊し始めた。その頃、外では。
村上「もしもしっ!!!警察ですかっ!!!脱税犯がいますっ!!!住所は・・・」
松木「うわっ!!地震っ!?」
ベル「いや、これは地震じゃないっ!!!」
クロノス「下に何かいるっ!!!みんな、逃げるんだっ!!!」
村上が警察に電話していた。部屋にはまだ前川と瀬戸がいたが、地響きが起こったので急いで窓から脱出した。実はボロアパートの壁が崩れている事を利用し、裏側から入り、アリスデルの部屋の隣に入った。幸い誰もいなく、壁も薄かったおかげでハンマーで砕いて入り口を作ったのだ。もはや不法侵入ではあるが。
前川「やはり、ここには何かいるわっ!!みんな、シャッターチャンスよっ!!!ほら、ビデオも撮って」
村上「呑気かっ!!!」
そして、部屋の床は何かが噴き出たように壊れて、中からアリスデル本人が現れた。それを見た瀬戸達は驚いた事だろう。最強のギャンブラーと言われた人がこんな所に住み、脱税をし、能力者である事に。
アリスデル「オラッ!!!貴様らかっ!!!」
瀬戸「う、嘘っ!?あれってアリスデル・カロリーヌッ!?」
前川「一体どうなってるのっ!!!」
ベル「しかも能力者だっ!!逃げろっ!!!」
ベルは白いペンダントを取り出した。そして、再び白い姿へと変わった。それを見たアリスデルは
「何っ!?そう言えば、あいつらから白い奴と黒い奴がいるから気をつけろ、とか言ってたな」
と言い出した。それをベルは聞き逃さなかった。
ベル「あいつらだとっ!!プレシャスファミリアの事かっ!!」
アリスデル「さあね、スペシャルだかブラジルだが分からねぇが、貴様らはこの私の秘密を知ってしまった訳ですから、全員死ねぇぇぇぇぇっ!!!」
前川「うおっ!!途中からテンションが変わったっ!!!」
アリスデル「ブラック・コーヒーッ!!!あのアマ共を拘束しろっ!!!」
アリスデルは影を伸ばして、瀬戸達を拘束した。瀬戸達は何とか引き剥がそうとしたが、あまりの力に振り解けなかった。そして、ベルが瀬戸達に気を取られている隙にベルも拘束した。
ベル「しまったっ!!!」
アリスデル「よーしっ!!!これで全員捕まえた、あとは・・・うん?サイレン?これは丁度いいですわ。脱税犯を貴方達に仕立て上げれば、私の評価は更に上がりますわ。貴方達は一生檻の中にいる羽目になるでしょう」
前川「そんなっ!?鉄格子付きの1人部屋なんて嫌だよっ!!!」
村上「やばいな。警察を呼んだのがアカンかったな」
アリスデル「いいかっ!!!貴様ら貧乏人共が私の金を奪うのがいけないのですわっ!!!貴様らはただ私の為に金を貢げばいいんだよっ!!!私は選ばれた存在だから、脱税だろうが何をしてもいいんだよっ!!!私はもうあの頃には戻らないっ!!!あの苦渋はもう飲まねぇっ!!!この世の金は全て、私の物だーっ!!!!!!!!」
前川達が慌てている頃、瀬戸は黙ってしまった。絶望しているのではなく、ただ黙って聞いていた。そして、心の中で感想を作っていた。
・・・何言ってんの?つまらないつまらないつまらないつまらないつまらないつまらないつまらない・・・・・・・こんな子供みたいな事を言っていたのか?ただ駄々をこねているようにしか見えない。口を開けば、金金金金金金金金金金金金金金金金金金金と、五月蝿い。耳にタコが出来る。こんな話を聞きに来た訳じゃない。ただ、私はこの世に存在する生きる価値なき者を始末しに来た・・・始末・・・そうか、私はこんなクズ共を始末する為に力をもらったのか。なら、もう我慢する必要なんてないよね?能力者として、相手を倒してもいいんだよね?何をしてもいいんだね?
瀬戸「・・・スピリット」
瀬戸は再びスピリットを呼んだ。すると瀬戸の影は形を変えながら、影から浮かび上がってきた。それはあの黒い服を着たスライムであり、かつて名取を消したスピリットだ。もちろん顔はないが、代わりに大量のスライムがドバドバと流れている。瀬戸もそのスライムを全身浴び、「アームド」と言った後に黒い衣装へと変わっていた。ついでに彼女を拘束していた影は一部剥ぎ取られて、体内に吸収していった。もちろんこれを見た前川達とアリスデルは驚いたが、もっと驚いたのはベルとクロノスであった。
クロノス「あれはっ!!まさか、彼女はスピリット使いになったのかっ!?」
ベル「何故だっ!?スピリットが使えるのはごく稀だっ!!それを彼女が使えるなんて!!!」
クロノス「恐らく、何かが彼女の心境に変化をもたらした筈だっ!!」
前川「うひょーっ!!!これが噂の怪物・・・て、まさか瀬戸ちゃんがっ!?」
ノワールガール「違う、今の我はノワールガール。今、彼女の体はこの我が借りてる」
村上「な、なぁ、うちは夢でも見てんのかっ!?これ、ノンフィクかっ!?」
松木「で、でもでもっ!!動いているよっ!!それに私自身叩いてみたけど、現実やった!!!」
アリスデル「ば、馬鹿な・・・私が推し負けるなど・・・」
ノワールガール「さて、これから貴方にある賭けをしましょう」
アリスデル「賭けですって!?」
ノワールガール「To be,or Not to be・・・生きるか死ぬか」
アリスデル「く、クソがーっ!!!!」
アリスデルは影でノワールガールを捕まえようとしたが、体は貫通するものの体内に何故か飲み込まれていた。必死に引っ張ろうとするも固くて動かない。すると今度はデス・ライムが彼女の方へ腕を伸ばした。そして、そのまま鷲掴みにして、ボロアパートへ投げつけた。
アリスデル「ぐはっ!?」
ノワールガール「あれ?大したことないですね。やはり、ギャンブラーとしては上達しても能力者としては未熟ですね」
アリスデル「ぐ、クソが・・・舐めてんじゃ・・・ぐ*$%☆♪$%〆☆」
ノワールガールはアリスデルに更に重い一撃を与えた。顔面は歪み、口と鼻から血が出て、足元がおぼついていた。アリスデルはそれでも負けずと抵抗をするも、影は少量しか出なかった。魔力も少なくなったようだ。そして、アリスデルはそのまま倒れてしまった。しかし、ノワールガールは容赦しない。倒れたアリスデルの髪を掴み、顔を近づけた。その顔はまるで怪物じみた顔付きだった。
アリスデル「ひ・・・た、助け、て・・・」
ノワールガール「この勝負、我の勝ちですね。賭けは我の勝ち、では敗者の貴方はこのスピリットに包まれなさい」
アリスデル「こ、この私、が・・・ゲームに、負ける・・・なんて、あ・・・ありえな」
ノワールガール「あり得るんですよ。・・・Good Luck」
ノワールガールの呼び掛けに応じるかのようにデス・ライムはアリスデルを飲み込み始めた。アリスデルは必死で抵抗するもネバネバするスライムが絡みついて、引き剥がしても引き剥がしてもスライムが垂れてくる。そして、アリスデルは断末魔を叫びながら、デス・ライムに飲み込まれてしまった。飲み込んだ後はデス・ライムはノワールガールの中へ戻っていき、黒衣装もペンダントの中に入ってしまった。そして、再び瀬戸へと戻った。
瀬戸「ふぅー、なんかどっと疲れたー」
ベル「あ、あなた、どうして・・・?」
前川「き、来た来た来た来た来た来た来たーっ!!!!!!!これこそ、私が望んだ超常現象よーっ!!!!!!」
松木「す、すごい・・・」
村上「あ、あの〜、サツが来るで」
しばらくして、パトカーが複数台集まって来た。来た時にはもぬけの殻だった。幸いな事にここには住人が1人しかいなく、大家は病院に行っていた為に被害に巻き込まれなかった。ただ、その住人だけ連絡どころか、一体誰だったのかは誰も知らなかった。ちなみに瀬戸達はベルの運転するワルドリアンで逃げていったのであった。
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???「ここが地球か?」
???「プッチーン♪♪」
???「ここにスピリット使いの反応がする。よーし、行くぞっ!!プチモンッ!!!」
???「プチプチーッ!!!」




