その4 モンペクレーマーは生まれ変わり無事卒園までこぎつけることができた
◆◆◆ その4
「それって、どういうこと?。」
「うまく説明できないんですけど……なんかわかっちゃうんですよね。」
「ふーん……」
涼子は考え込んだ。ほんのこれだけのことであるが、涼子は静奈に対して他の同僚とは違う何かを感じ取った。涼子はこの時から今までとは違った新鮮な目で静奈のことを見るようになった。
「私にできることがあれば何でも言ってね。できる限り協力するから」
静奈の言葉に涼子はうれしくて涙を流して喜んだ。
「私、静奈先生のこと大好きになりました。」
涼子が静奈に抱きついてきたので、静奈も負けじと涼子を抱きしめた。
涼子を責めたてた保護者はあの一件以来、毎日にこやかに子供の送迎をするようになった。そればかりか時折涼子に差し入れまでしてくれる。
モンペクレーマーがなぜここまで変わったのかしばらくは噂でもちきりだったが、きっと夫婦仲がよくなったのだろう、経済的心配がなくなったのだろうということに落ち着いた。そして、無事卒園までこぎつけることができた。
「静奈先生、お世話になりました。」
「まあ、いろいろあったけど、結果オーライってことでいいわよね。」
静奈は涼子に笑顔で言った。
「はい。」
涼子は満面の笑みで答えた。
翌年、涼子と静奈は同一学年の隣り合ったクラスを揃って担任することになった。年長組のきりんとぞう組の名前がついている。
涼子にはサポート先生として中年のパートさんが組み合わされた。子育てが一段落したベテランさんらしい。
涼子にとって初めての年長担任であり毎日張り切って子どもと接している。力が入りすぎるらしく、クラスが騒然としてしまう時もある。サポート先生はそんな時、手を貸してくれるどころか、涼子をちくちくと責めてくる。
若いから仕方がないけれど、もう少しこうすれば、私はこうしてきた、この子はこうしたほうがいい、これじゃあクラスが崩壊してしまう、などなど毎日言葉で責められる。
そのくせ、自分が主体的に動いてまとめる手伝いをしてくれるわけでない。ただ涼子に「こうしたら」と言うだけである。




