その2 子どもたちの顔つきは日々違うらしい。その顔つきから子どもの状態を把握しているというのである
◆◆◆ その2
しかし、子供たちは静奈によくなついている。最初は静奈のことを子供たちもばかにしてなめている。が、いつの間にかしずなセンセーとまとわりつく子供たちに囲まれている。
涼子はそんな静奈に積極的に近づくことはなく、ほかの保育士と一緒になってばかにしながら様子見をしていた。
やがて、あるきっかけで静奈と涼子の距離は一気に縮み、今ではかけがえのない大親友となった。休みの日には誘い合って食事や買い物に出かけている。
「どうしてあんなに子どもと仲良くなれるの?」
涼子は不思議に思って静奈に尋ねた。
「うーん……私には子どもたちのことがなんとなくわかるんですよねえ。」
「なにそれ? どういうこと?。意味が全然わかんないんだけど。」
「えっとね……」
静奈に言わせると子どもたちの顔つきは日々違うらしい。その顔つきから子どもの状態を把握しているというのである。
静奈も不思議がっている。
「涼子先生はどうしてあんなにきっちり面倒がみれるのかなあ?。」
「私はいつも無我夢中でぎりぎりやってるだけなのよ。」
涼子はため息と一緒に静奈に話した。
この会社は保育園経営を主業務としている。ゆるく柔軟に子供を預かるために、希望者は多く、大繁盛である。それがゆえにいろいろな子供と親が集まっている。
涼子は他の保育園で数年働いてから、給料の良さにひかれてここに転職した。ベテランというほどではないが、中堅と呼ばれてはいと返事ができる程度には経験を積んでいる。
転職した当時は慎重に子供と対応していたが、慣れからくる油断から涼子は担当する子供に怪我をさせてしまった。
「ごめんなさい。」
涼子は保護者に謝ったが、保護者からひどく責められてしまった。涼子がすべて悪かったわけではないが、保護者は怒り狂って涼子を攻め立てた。
まるでこういうことが起こることを待っていたかのように責めてくる。涼子に直接、電話で、上司を通じてとこれでもかと責められた。