その13 静奈と涼子は寿司屋に顔を出す 大将のほかに「いちい」と呼ばれる老齢の男性からも一緒に寿司を食べようと誘われるようになったった
◆◆◆ その13
別れ際に、静奈は「年度末まではなんとか耐えて、あとは私がなんとかするから。」と、謎のアドバイスを涼子にしたのである。
小さなないざこざが時々あるものの、そのたびごとに涼子はなんとか耐えきってみせた。静奈はそんな涼子の様子を見ながら寿司屋に誘って慰めた。
そして翌年の三月末、辞令が出た。涼子のサポート先生は、お家で介護が必要な方が出てしまい、少しでも近くの職場が良いということで退職してほかの園に移ることが発表された。
園長は単身赴任の旦那さんのもとに旅立つということでこれも同様に退職する。
「お世話になりました」
「こちらこそありがとうございました。新しい職場でも頑張ってくださいね。」
「はい。頑張ります」
そんな感じで、サポート先生とあっさりと別れたのだった。こうして、涼子の悩みは静奈の予言通りに年度末に解消した。
静奈と涼子は時たま例の寿司屋に顔を出す。大将のほかに「いちい」と呼ばれる老齢の男性からも一緒に寿司を食べようと誘われるようになった。
「ねえ、この店にくる客ってさ、みんな常連なのかしら?」
ある日、涼子がふと静奈に尋ねた。
「さあ、どうなのかしら。」
「常連さんにしちゃあ、いつも賑やかだよね。」
「いつもこんなに混んでるのかしら。」
「お二人さんが来ると、うちは大入りになるんだよねえ。」
と大将。
「うちら二人は招き猫ってことかしら。」
「わたしもわからないわ……」
静奈も涼子も首をひねる。大将やいちいとは寿司屋でしか会わない。
他へ一緒に遊びに行こうなどという援助交際にもつれこみそうな怪しい雰囲気は一切ない。静奈や涼子が店にいればそれだけでたくさんのお客さんが入店するとすれば、招き猫と思われているのかなと涼子は納得した。




