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その10 大将は威勢よく返事をすると鮨を2人前を握り上げると静奈と涼子の前に並べる

◆◆◆ その10


「じゃあとりあえず生中2つね。」

 注文を終えた静奈は慣れた手つきでおしぼりを使い手を拭いている。


「ごめんね、こんなところで。居酒屋でいいかと思ったけど、なんかこういう雰囲気も悪くないかなって思ってさ。」


「私、こういう雰囲気好きですよ。」

 確かにこういうお店の方が落ち着くかもしれない。


「よかった。あ、あと、ここは私の行きつけだから遠慮しないで何でも頼んでいいからね。」


 そういうと静奈はおしながきとひらがな書きされた貫禄あるメニューを開いて見せた。


「いいお店でしょ、大将が気さくなんで、私よく来るんだ。」

「回らないお寿司屋さんって自分じゃ初めて来たけど、大丈夫?」


「大丈夫って、お勘定のこと?。」

「そう、だって高いんでしょ。」


「大丈夫、大丈夫、今日は私に任せておいてよ。」

 静奈はそういうと、大将が手渡してくれたおしぼりを涼子に差し出した。


「ありがとう。」


 涼子はおしぼりを受け取ると、手をふきながら店内をきょろきょろと見まわす。


 商売繁盛を祈願する神棚、招き猫、熊手などが天井近くに配置されており、昭和感満載だ。


「何か食べられないものはありますか。エビやカニはだめってお客さんが最近は多くなってるんだけど。」


 涼子の視線が一回りして、正面に戻るのを待って、大将が聞いた。


「大丈夫です。なんでも食べられます。」

涼子は答えた。


「大将、じゃあ、お任せで新鮮なやつをお願いね。」

「あいよお。」


 大将は威勢よく返事をすると、手元で鮨を握り始める。ほどなく2人前を握り上げると、静奈と涼子の前に並べた。


「はい、お待ち、じゃあ、中トロからね。」

「ありがとうございます。」


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