音響監督の覚書22(バイノーラルコンテンツの脚本)
覚書18でりすLOGのダミヘコーナーについて触れましたけど、今夏『ボイガレダミヘ部』を発足し、第1弾作品として「プラスティックトライアングル」をお届けしました!
芝居についても後程書こうと思いますが、今回は脚本について書いて行こうかと思います。
販売物ではないとは言え、バイノーラルコンテンツの脚本を執筆しましたので、実際に演出をしていて思う事とか、執筆をしている時に意識したことを覚書として残しておこうかと思います。
題材として拙作「プラスティックトライアングル」をベースにしようかと思います。
プラスティックトライアングルとは……
ボイスガレッジチャンネルの月~金夜8時の帯枠「りすLOG」内の月曜日「関根瞳のあっぷとぶんぶん」、水曜日「緒方佑奈のおはなしちゅうなの」、木曜日「稲垣好のおむすびこのみん」の3パーソナリティ、関根瞳、緒方佑奈、稲垣好の3人と番組ディレクターである私で勝手に結成した『ボイガレダミヘ部』(最終的にスピンアウトして独立したコンテンツにしたいと言う目標もあり、「りすLOGダミヘ部」じゃなくて「ボイガレ」としています)の第1弾作品となります。
※ちなみに、私が顧問であり、瞳ちゃんが部長だそうです(笑)
登場キャラクターは3人。
関根瞳演じる『月島瑞恵』。おせっかい焼きでドジっ子お姉さん。
緒方佑奈演じる『三次美和』。スポーツ少女で、さわやか僕っ子。
稲垣好演じる『湯沢つばめ』。コミュ力低めだけど、スキンシップでコミュニケーションを取ろうとする。
※キャラ名は東京・広島・新潟の地名より。瑞恵は本来『瑞江』で、つばめも本来は『燕』。
主人公含め四人共幼馴染み。
三人共主人公の事を実は好きだけど、瑞恵は主人公→美和と思っているし、美和は主人公→つばめと思ってるし、つばめは主人公→瑞恵と思ってる。
主人公に発破をかける瑞恵。
その結果、バスケの1ON1の対決をすることになる主人公と美和。
瑞恵との関係を応援したいつばめは、良い所を見せて関係を進めさせようと試合で応援をする。
そんな物語でした。
意識したポイント1『理由付けをきちんとする』
バイノーラルでダミーヘッドマイクを使用するのであれば、当然ながら一番美味しいのは『耳元の芝居』となります。
とは言え、耳元での会話なんてシチュエーションが当たり前に存在するわけがありません。
なので、そのシチュエーションを作るのが絶対条件になります。
3人の中でつばめが性格付けに置いて耳元で会話をするために「コミュニケーション能力が低く、だけどスキンシップを取ることを厭わない」として、日常的に耳元に話しかけるキャラとしました。
そうしないと、1日目で序盤から耳元で喋らす必然性が作れなかったんです。
そして、『3人の微妙な関係』も耳元で話させるための仕掛けでした。
3人が三竦み状態になっているため、主人公を応援する場合や思いを伝える場面では耳打ちをしてもう一人に聞かせないと言う行動原理にしました。
さらに、『バスケットの1ON1対決』と言うのも、耳元で展開させるために選びました。
他に『相撲』とか『レスリング』『ラグビー』など、『取っ組み合い』になれば出来なくもないですが、男女が気軽にやる競技ではないので、1ON1が最適でした。
これに関してはリスナーからも意見が来ていたので、採用した形になります。
あと、おまけと言うかやりたくてやったのが『満員電車』ですね。
他にも、『バイクのタンデム』とか『狭所の閉鎖空間』とか『おんぶ』とか……一番やりやすいのは『ベッドシーン』ですね(笑)
よくある『耳かき』は正直耳元での芝居としてはやりにくいです、実際は。
あれは耳かきの音がありきでのシチュエーションのはずだったんですけど……なんか最近は耳をのぞき込む姿勢なのかな?ってくらい距離感のバグった耳かきASMR作品がありますよね(愚痴)
でも、耳かきは耳かきで、太ももに頭を乗せて、覗き込まれていると言うシチュエーションが極めてフェチ的に素晴らしいんです!(力説)
なので、僕が演出する作品で耳かきがある時は基本的にダミヘを実際に『膝枕させて』収録しています。
耳かきの音だけ効果音で付けたりしてますけどね。
演者本人にして貰う場合もありますが、テストの時に上手だった場合に限ります。
おっと、耳かきに対する熱い想いが爆発してしまいました……
何にせよ、無用に近づくのは演者も単純に恥ずかしいし芝居をする上で『原理』が無いので無理が生じるんです。
でも、理由があれば、必然性があればこそ演技をすることが出来るので、そのあたりを雑に「耳元で芝居して」と言うのは、演者に対してのリスペクトが無いと言っても良いくらいです。
意識したポイント2『感情・距離感の設定』
耳元で何かをすると言うのは、基本的には『通常ではない』のです。
人間には【パーソナルエリア】と言う、その人が緊張しない「他人との物理的な距離・エリア」が存在するのですが、それを完全にぶっちぎってるわけです。
つまり、何らかの感情なり信頼などが無いと接近するにも無理が生じます。
恋人関係であればそりゃ0距離になりますし、仲間や幼馴染であれば耳打ちするくらいは普通の事でしょう。
恋愛感情でもって相手に攻める時だって距離を出来るだけ詰めたくなるものですし(そして、その距離こそが相手との心の距離♪)、逆に憎んでいる場合や怒っている時も距離感が圧倒的に近くなります。
ナチュラルなテンション感で0距離と言うのは通常ではないので、そのあたりの感情になるように仕込むことで距離感を作り出します。
意識したポイント3『性的な言動』
この手のコンテンツで一番美味しいのは、性的な刺激となります。
それは仕方がない!
だって、至近距離が一番美味しいってことは、上記説明の通り基本的には『ドキドキするような距離感』であり、そのドキドキの最も大きな感情は『性的なもの』ですから。
なので「気がありそうな言動」とか、「息を感じる距離感」を効果的に入れる必要があるわけです。
この作品では、意味深な台詞だったり、バスケや満員電車での肉体的な接触だったり、最後の告白だってそこまでの伏線を回収してその行動原理が「好きだから」と言うところに『思い出してドキドキさせる』と言う意味合いがあります。
最後に4人の関係性がどうなったか示唆しないのも、ダミヘのドラマとして無い方が美味しいからですし、あとそれぞれ3人のファンが推しの演じたキャラのハッピーエンドとかを想像の中で完結してくれれば、勝手にマルチエンディングとなるわけですから♪
そんなわけで、普通のドラマと違って耳元で展開するシチュエーションを整えると言うのがバイノーラルコンテンツのドラマ脚本における絶対的な重要点となります。
逆に言えば、こういう要所を抑えていない脚本を演出する場合は多少脚本自体を手直ししたり、セリフ外の『行動』で補足したり、役者に感情の流れを説明して繋がっていない部分を補完したりしています。
演出する側も脚本を十分に理解するに至らない場合もありますが、役者はなおのこと完全に理解しているとは限りません。
自分で脚本を書いてなお、やはり本職の作家のスキルは凄いなと感じます。
特殊な収録方法であり、それを活かすためにはそれぞれのポジションが意識しなければならないのが「ダミーヘッド収録」なわけです。
演者の頑張り以前に、脚本段階からしっかりと取り組まないと良い物が作れないからこそ、面白いんですよね♪
久しぶり過ぎて、書式を忘れていました(笑)
小説とかコラムは本来頭1文字空白を入れるべきでしょうけど、ここではしてなかったようですね。
一発書きなので誤字報告とか有難いです!
なお、『プラスティックトライアングル』は下記アドレスにアクセスして視聴して下さい。
『りすLOG 月曜日 関根瞳のあっぷとぶんぶん』第224回
https://youtu.be/Yf3alhMPJX8?si=bID76UcipKzplphB&t=105
『りすLOG 水曜日 緒方佑奈のおはなしちゅうなの』第224回
https://youtu.be/qsm4zVExty8?si=wxHOCMFmJk1uJX9d&t=272
『りすLOG 木曜日 稲垣好のおむすびこのみん』第81回
https://youtu.be/aSvTXT1AkuQ?si=wO-IDwvSO21LN5lA&t=57




