第1話:おはよう、新しい私(目覚めと家族、そして大人の事情)
初投稿です。軽い感じで読んでいただければ嬉しいです。
ジリリリリ、とけたたましく鳴り響く目覚まし時計を止め、如月 修は重い体を起こした。
いつも通りの朝。いつも通りの部屋。
しかし、視界に飛び込んできた自分の手が、どうも見慣れない。白く、細く、指先までスラリと伸びた、まるで陶器のような美しさだ。
「……あれ?」
口から漏れた声は、聞き覚えのない凛とした美声だった。
寝ぼけた頭のまま洗面所へ向かい、鏡の前に立つ。そこに映っていたのは、長身で引き締まったスタイルはそのままに、艶のある銀髪をウルフカットにした、神々しいまでの超絶美女だった。長い睫毛に、左目のすぐ下にある艶っぽいホクロ。
どこからどう見ても、一国を傾かせそうな「お姉さん系」の美女である。
普通の男子高校生ならここで絶叫するところだが、修は生まれつきのゆるふわ属性、かつ筋金入りの気分屋だった。
「あ、これTS(性転換)ってやつか。……まあ、いっか。体毛の処理もしなくてよさそうだし、髪型もウルフカットでかっこいいし」
何なら胸にずっしりとした重量感がある。手で測るまでもなく、B99のGカップ、ウエストは60、ヒップは71という驚異的なスタイルだ。
「よし、今日から私は『如月 都姫』。響きが可愛いからこれでいこう」
動揺ゼロ。わずか3分で新しい性を受け入れた都姫は、リビングへと向かった。
リビングに入ると、キッチンにいた母の美夜が振り返り、持っていたおたまを落とした。
「あ、あら?……どちら様……って、修? いや、女の子!?」
「お母さん、おはよう。なんか朝起きたら超絶美女になってたから、今日から都姫って呼んで」
「まあ! 都姫ちゃん!? なんて可愛いの! お母さん、ずっと可愛い娘が欲しかったのよ!」
さすがはゆるふわな修を育てた母親である。驚いたのは一瞬で、すぐに満面の笑みで順応した。
朝食の席では父の玲司もおり、名前の響きを数秒考えてから「都姫か。いい名前だ」と頷いた。
しかし、そこにドタドタと階段を駆け下りてきた大学生の姉は違った。
「ちょっとお母さん朝からうるさ……って、誰よその超絶美人!!……え? 修の声!?」
「お姉ちゃんおはよう。これからは都姫ね」
「いやいやいや! おかしいでしょ!? なんでそんな少女漫画のラスボスみたいな美貌になってんのよ! 私のアイデンティティが崩壊する!」
頭を抱えて混乱する姉をスルーしつつ、都姫は用意された朝食を優雅に食べ進める。
「さて、学校行くか。制服どうしよう。……まあ、とりあえず前のやつでいいや」
さすがに急に女子用の制服はないため、男子用の学ランを羽織る。しかし、長身ウルフカットの超絶美女が着る男子制服は、逆に中性的な魅力を爆発させていた。
学校では、学園長と担任に事情説明をした。
「失礼します……」
都姫が学園長室のドアを開けると、対応した担任の先生と学園長先生が、同時に持っていた湯呑みを落とした。
「き、君は一体……? 如月修くんのお姉さんかね?」
「いいえ、如月修です。今朝起きたら性別が変わって超絶美女になっていたので、今日から如月都姫として登校します」
あまりの超展開に、最初は「そんな馬鹿な」「悪質ないたずらか」と頭を抱える先生たち。しかし、都姫がコテンと小首を傾げ、うるうるとした瞳で「ダメ、ですか……?」と見つめると、学園長室の空気が一変した。
「い、いや! ダメなわけがないだろう!」
「そうだ! こんなに可愛い子が我が校の生徒だなんて、むしろ光栄だ!」
「今日から女子生徒としての登校を許可します! 制服や諸手続きもすぐに手配しましょう!」
都姫の規格外の美貌と可愛さを前に、大人の理屈は一瞬で崩壊。学園長も担任も鼻血を堪えながら、満場一致で即座にOKを出したのだった。
挿絵も追加しました。見たかったでしょ?
俺は見たかった。




