第17話:秘密の放課後パーティー(3万円の手作りお疲れ様会)
挿絵を追加しました。
球技大会の閉会式が終わった直後、D組の生徒たちは担任の先生にお願いして、使われていない放課後の空き教室を特別に貸してもらった。
「よし、3万円分、一気にデリバリーと買い出しで使うぞ!」
男子たちが近くのコンビニやピザ屋へ猛ダッシュし、景品のギフトカードを使って、大量のピザ、ポテト、スナック菓子、そしてジュースの缶を机の上に並べていく。3万円という高校生にとっては大金のご予算のおかげで、パーティーテーブルは一瞬にして信じられないほど豪華になった。
黒板には女子たちがカラフルなチョークで『祝・D組総合優勝!お疲れ様会!』と大きくデコレーションを描き入れる。
準備が整い、みんなでジュースの缶を掲げた。
「みんな、球技大会お疲れ様! カンパーーイ!」
カシャン! と小気味いい音が響き、賑やかな放課後パーティーが始まった。
みんながピザを頬張りながら、今日の試合のハイライトで盛り上がる。
「いやー、マジで都姫ちゃんのチア姿見た瞬間、全身の細胞が沸騰したわ!」
「あのドッジボールの剛速球もヤバかったよね! 男子より速かったし!」
「ふふ、みんな大袈裟だよ」
都姫はウルフカットの髪を耳にかけ、左目のホクロを少し覗かせながら、コーラを美味しそうにコクリと飲む。そんな何気ない仕草一つとっても超絶美女な彼女の姿に、周りの男女はやっぱり密かに胸をキュンとさせていた。
すると、一人の女子が「あ、そうだ!」と思いついたように言った。
「せっかくのパーティーだし、都姫ちゃん、前にカラオケで歌ってくれたあの曲、ここで生歌で聴かせてよ!」
「えっ、いいなそれ! 聞きたい!」
周りの男子たちも身を乗り出す。
「えー、マイクないよ?」
「生歌がいいの! お願い、都姫ちゃん!」
クラス全員からの熱烈な視線に、気分屋でゆるふわな都姫は「じゃあ、ちょっとだけね」と微笑んで立ち上がった。
ざわついていた空き教室が、一瞬で静まり返る。
都姫が小さく息を吸い、伴奏なしのアカペラで、放課後の夕暮れが差し込む教室に歌声を響かせた。
その瞬間、あまりの美しさに全員の鳥肌が立った。マイクもスピーカーもないのに、鈴を転がしたような透明感のある美声が、コンクリートの壁に心地よく反響して胸に染み渡っていく。
天才的な歌唱力に、誰もがピザを食べる手を止め、ただただ目の前の女神に見惚れ、聴き入っていた。
歌い終わると、一拍置いてから、教室が割れんばかりの拍手と「ブラボー!」という歓声に包まれた。
「最高すぎる……3万円のピザより、今の生歌の方が価値あるわ……」
「D組に生まれて本当に opinion(本当によかった)……!」
美味しいご飯と、都姫の最高の歌声。
クラスの絆はこれ以上ないほどに深まり、夜が更けるまで、彼らの特別でゆるふわな祝勝会は賑やかに続いていくのだった。




