#3
「カ〜〜〜イ〜〜〜〜〜〜〜ン!」
大通りに面した建物の二階の窓から、ゆるいウェーブのかかった金髪の女性が手を振っていた。
「ソフィ!」
それを見つけたカインが嬉しそうに少し紅潮しながら手を振り返す。
「今日は早いのね! 早く上がってきて!」
「ああ、ぼくのソフィ! キミは今日も一段と綺麗だ! 今すぐそこまで行くよ!」
カインの足が早くなった。
「ちょ、ちょっとちょっとカインさん」
「あのきれいな人、誰?」
「ぼくの妻のソフィーリアさ! 美しいだろう!?」
「カインさん、走らないで!」
カインはほとんど俺たちを置いていきそうな勢いの速歩きだ。
そんなカインを見て俺は小さくため息を付いた。
「さあ、ここがぼくの家だよ! ちょっと狭いけれど、ゆっくりしていくといい!」
カインが言うと、上からソフィの声が振ってきた。
「あら? カイン、お客様?」
「ああソフィ。今日から暫くの間、ウチで保護することになった子どもたちだ。突然ですまないけれど……」
「あらあら。あらあらあら。小さな子どもがこんなにたくさん! どうしましょう!」
そう言いながら、パタンと窓を締めるソフィ。
「……大丈夫かな」
「見たところ、新婚さんだよね」
「あたしたち、お邪魔じゃないのかな」
皆が不安そうにしている。
かくいう俺も少し不安だったりする――皆とは違う意味だが。
何故なら……。
バターン、と玄関の扉が開く。
「いらっしゃい! どうぞ入って? さあさあ!」
「ソフィの言う通りだ。遠慮はいらないよ。どうぞ入って!」
「お、お邪魔します」
「失礼します!」
皆が遠慮がちに家の中に足を踏み入れると、
「おかえり、カイン!」「ただいま、ソフィ! んー」
カインとソフィが抱き合ってキスをした。
「はわぁ」
皆が顔を赤くする。
特にアリサが真っ赤だ。
「お二人とも、子どもたちみんながびっくりしてますので、そのへんで……」
俺がそう言うと、ソフィがピクリとした。
「あら? あららら?」
そういって、俺にグイと顔を近づけた。
「……グレン? 声が違うけど……」
「……やぁ、ソフィ……」
どうどう、となだめるポーズを取りながら、俺は苦笑した。
「グレン?! グレンだって?!」
「……間違いない、グレンだわ。でも、随分背が小さいわね……声も違うし、それにグレンはもう……」
「ちょ、ソフィ。それにカインも、待ってくれ、ちゃんと話するから!」
慌ててなだめるが、そんな様子を見て今度は子どもたちが騒ぎ出した。
「え、おい、ダイチ! 何言ってんだ!?」
「ダイチくん、ソフィさんのことを知ってるの?」
皆が目を丸くしている。
「グレン、まさか本当にキミなのかい?」
「ダイチ、どういう事だ?!」
「待て、待てって。順に話すから!」
その後、俺が皆を落ち着かせるのには随分苦労を要した。




